常識に隠されたシステムは見つける気があれば見つからないこともない
Posted at 14/03/08 PermaLink» Tweet
昨日は『99%の人が知らないこの世界の秘密』が面白くてずいぶん盛り上がり、自分の気分もかなり明るくなったということを書いたのだけど、まあなんでもそうなのだけど、結局本を読んだりするときに一番大事なのはリテラシーの問題だ、ということを思う。
99%の人が知らないこの世界の秘密 にだまされるな! | |
内海聡 | |
イースト・プレス |
こういう本を嫌う人も多いけれども、それを嫌う理由というのは、『ウソ』が書いてあるから、ということらしい。「江戸しぐさ」が嫌われたのもそこだなと思うのだけど、まあ眉唾物でもそういうものだと認めた上で楽しむ、というのはできるし、それが余裕のある大人の楽しみかただ、と私などは思う。
エビデンス・ベーストの考え方が自分の思考法の根幹になっている人には、そこがなじめないのだろうなとは思うのだけど。
昨日も書いたようにこの本は陰謀論だと思うのだけど、陰謀論が主張することの一つ、「与えられた常識」とか「世間的に権威のある言説」にウソが多い、ということ自体は結構その通りだと思う。
現代語訳 論語 (岩波現代文庫) | |
宮崎市定 | |
岩波書店 |
論語に「郷原は徳の賊なり」という言葉があるのだけど、つまり田舎の有力者みたいな人というのは、「鼻持ちならない偽物」だと東洋史学者の宮崎市定が訳していて、これはそうだと思う。つまり物事に対してラジカルな姿勢で臨まず、世間的な平穏を重視して何かを変えたいと思う人たちを抑圧しようとする傾向というのは、多かれ少なかれいろいろな人にある。常識というのは、彼らの武器として用意されたようなものだ。
また、この世界にはいろいろな「システム」があって、それが普通の人に対して抑圧的・破滅的に働き、「彼ら」の利益だけのために動いている、というと陰謀論になるが、世の中を動かしている「システム」というもの自体はもちろんあるわけ(国家とか市場とかをはじめとして)で、その上に「隠されたシステム」みたいなものがあってそれは多くの人には見えていない、ということもまあある程度本当だと思う。
でもそれは、見つければ見つけられないものでもない。だから「隠されている」というほどのことでもない気がする。ただ見つける気がなければ見つけられないだけで。
例えばDモーニングの対談で堀江貴文が言ってたことだけど、「東大」というものほど外から見たのと内から見たのとで見えかたが違うものも珍しい。入ってしまえばどうってことはないのだけど、外から見たら燦然と輝いている。つまり、入ってしまえばその時点である種の特権が与えられているに等しい。
ドラゴン桜(1) (モーニングKC (909)) | |
三田紀房 | |
講談社 |
堀江が言っていてまた私もそう思うのだけど、対談相手の「ドラゴン桜」の作者が言うように、本当は「東大は簡単だ」と言っていい部分がある。「常識」というのは、「東大は超難しいし特別の人しか受からない」ということで、それ自体がシステムの一部になっているから、東大生に無意識的な特権が与えられることになっているわけだ。
東大合格には方法があるわけで、その方法がつかめたら結構思ったより何とかなるものだ。というのが「ドラゴン桜」という作品の主張だが、つまりそれは「常識を破壊」、「システムを破壊」するものでもあったわけだ。でもまあ、未だに神話は生きてはいるけれども。
ちょっと話が中途半端だが、とりあえず今日はここまでで。
今朝起きてからのイベントで言えば、別冊マガジン4月号が出たことで、『進撃の巨人』第55話が読めたことだ。今回は本当に面白くて、『個人的な感想です』の方にもいろいろ書いた。
まあ書いてみると思うけれども、『進撃の巨人』の世界観も、実に陰謀論的なものがベースにあるんだなと思う。「情報を支配する存在が敵だ」と言う感覚が諫山さんたちの世代にはあるというけれども、それこそがある種の陰謀論で、でも感覚的には凄くよくわかる、ということでもある。
ネトウヨのようにマスコミをマスゴミと読んでぼろくそに言って溜飲を下げているだけでは陰謀論としても底は浅いわけだけど、『進撃の巨人』は[さらにその先に広がる世界」に話は到達するのではないかという期待は多いにある。
盛り上がってはいるけど、やはりなんか疲れが出てるということもまた、事実なようで、また書く元気があるときに続きは書いてみたいと思う。
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