水底/名作劇場みたいな『進撃の巨人』/イギリス史知識のブラッシュアップ/歴史学と歴史もの

Posted at 14/01/06

【水底】

深い海の中に沈んでいくような感触。水底から泡が一列に立ち上っていく。人工培養されたクローンのように、私は水中で静かに立っている。立っている?そう、姿勢としては。でも私の意識は、ただ光を感じているだけ。体の奥の方で、心臓が鳴っているのを感じる。それが何の音だったのか、それさえも忘れ果てて。

今日はなんかちょっとぼうっとしているのであまり文章が書けない。


【名作劇場みたいな『進撃の巨人』】

TVアニメーション 進撃の巨人 原画集 第1巻 [#1~#3・PV・ED収録] (ぽにきゃんBOOKS)
ポニーキャニオン

アニメ『進撃の巨人』の原画集第1巻をもう一度見ていた。前も書いたけど、最初によく知らないで買った時はわからなかったけど、原画の一枚一枚が凄いなと改めて思う。アニメーションというものは、こうやって作るんだなということがよくわかったし、「線画」がとても重要なのだというのは初めて認識したようなところがある。

欄外に書いてあるコメントも、今日はとても楽しめた。「超大型巨人」に壁を破壊される前のシガンシナ区の日常風景の描写がすごく印象的なのだけど、荒木監督がそれについて「自分が想定した以上に人間の生活感が出て、「すげえ、名作劇場みたいだ」と思った覚えがあります」と書いているのが可笑しかった。


【イギリス史知識のブラッシュアップ】

イギリス史10講 (岩波新書)
近藤和彦
岩波書店

今日は丸善日本橋店で近藤和彦『イギリス史10講』(岩波新書、2013)を買った。こちらはイギリス史の泰斗、近藤先生の一般向けの本。専門は近世・近代だけど、先史時代から現代までの英国史を概観するという趣旨。私は結局イギリス史はやらなかったけれども、今なお興味の尽きない王国であることに違いはない。啓蒙書ではあるけど、このくらいの難度の本に触れていないと何かがあってそれに関連した歴史に言及するときに自分の知識が正確なのかどうかに自信が持てなくなってしまう。歴史知識のブラッシュアップをする必要を、最近少し感じている。

ただ、それ以前にこの本はすごく読みやすくて面白い印象を受けた。肩肘張らない気持ちで読んでみたいと思う。


【歴史学と歴史もの】

新史論/書き替えられた古代史 1 「神と鬼のヤマト」誕生 (小学館新書)
関裕二
小学館

昨日横浜で関裕二『新史論/書き換えられた古代史』の『1「神と鬼のヤマト」誕生』と『2「神武と応神「祟り王」の秘密』(小学館新書、2013)を買った。これは古代史ものとしては作者の教養の広さと深さ、新しい知見の取り入れ方などに面白いなという印象を受けて、買ってみた。

こういうものは歴史学界の動向からは独立して書かれているわけだが、読者は歴史書そのものよりもむしろ多いことが多いだろう。そういう意味で標準的な日本人の歴史認識の陰影をとらえるには、こうした本でどのようなことが書かれているのかということを全体的に捉え見ると面白いのではないかと思う。

この本を読んでいると、自分の印象から出発して、考古学的な発見などをきちんと把握し、その上での調査や、文献の読み方、仮説の立て方みたいなものがわりと面白いなと思う。必ずしも実証的でないところはこのあたりはこう考えているんだなと思いながら読むのだけど、何というか毛嫌いするほどのものではないという気がする。

それよりは、「歴史学」ではこんなことが書かれ、「歴史もの」ではこういうことが書かれている、というような観点から、日本人の古代認識の全体像を立体的に見てみると面白いのではないかと思う。

結局、古代史を紐解くということは、われわれ日本人の原像、アイデンティティみたいなものをどう考え、われわれがどういう自画像を描くのかということにつながっていくので、本居宣長・平田篤胤以来の重要なことであることは間違いない。

どちらにしても、「日本人の原像」みたいなもののイメージというものは多かれ少なかれ恣意的になってしまうことはやむを得ない。このあたりのところはそういう意味で高度に政治的であるだけにいろいろと難しくはあるのだが、この人の見解を少し読んでみたいと思ったのだった。

ただ最近本当に本が多すぎるので、この本はKindleで買ってもよかったかなとあとで思った。

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