雪かき/水野敬也『夢をかなえるゾウ』はとてもKindle向きの本だと思った/「成功者のイメージ」と「観察者かプレイヤーか」/「キーワード」の重要性と自己啓発本の「価値」
Posted at 14/01/09 PermaLink» Tweet
【雪かき】
昨日は職場にいるうちに雨が雪に変わっていたのに気づかず、帰るときに10センチほど積もっていたのに驚いた。これは朝の雪かきが大変だなあと思いながら帰ったが、気温が高くて夜のうちから屋根から溶けた雪が滴り落ちる音がして、さてどうなるんだろうと思った。
起きてみるとそれから新たに降った雪はわずかだったようで、10センチくらいの積雪の状態があまり変わっていなかった。6時半頃まで布団の中でぐずぐずしたが、起きだしてモーニングページを書いた。なんだかたくさん書くことがあって7ページも書いたのだが7時過ぎに外に出てとにかく車を出せるように雪かきをする。ガレージから道までの間を先に雪をかいたのだが、運転して外に出ると路上にもかなり雪が残っているところがあって、そこは私が描かなければ誰もかかないだろうと思われるところだったので、帰って来てから時間があったらやることにした。
とりあえず先ず最初にセブンイレブンに行って『別冊少年マガジン』と『モーニング』を買う。ようやく「進撃の巨人」の続きが読めるというのは朝から、というか前の日から待ち遠しいことだった。国道に出ると雪のせいかかなり渋滞していて、店舗に入るのに少し手間取った。職場へは裏道を行くという案も脳裏をかすめたが、こういう日は大きい道の方が安全だし結局は速いという鉄則を確認し、国道を走る。思ったより混んではいなかった。
職場で資源ごみを集めて収集場所に持って行く。こういう日は古紙は出せないのでわりあい簡単に済んだ。少し雪かきをするが、こちらはあまり積もっていなくて簡単に済んだ。帰りも道は混んでいるし道路も脇の方に雪が積んであるので車が通れる幅が狭く、対向車とのすれ違いに困るところがいくつか。国道が混んでいるためか交差点にはみ出して信号待ちをしている車があって、間を縫うように国道を横切るはめになった。帰りは坂道で少しハンドルをとられた個所があり、慎重にと思う。
帰ってきてまた雪をかく。車の通る経路のところをかいたがもう道路に密着していて取りにくいところがあった。気温も高いしそのうち解けるだろうとあまりこだわらないことにした。実家の前に行くと向かいのうちが少しかいてくれてはあったが自分でもそれなりにやることに。ここはなるべく丁寧に、と思って大体いいかなと仕上げにかかったとき、別の向かいの家の人が出てきてあとはこちらでやりますからと言ってくれたのでお任せすることにした。
雪かきもそうだが、この地域は暖房はほとんど石油ストーブなので、冬の間はいろいろと仕事が多い。草刈りをする必要は普通はないが。まあ人間が暮らすということは、環境整備にはそれなりに手間がかかるということだなと思うし、やっているうちにけっこうそれはそれで面白くなってくるものだと思う。
【水野敬也『夢をかなえるゾウ』はとてもKindle向きの本だと思った】
昨夜、cakesで糸井重里さんと堀江貴文さんの対談を読んでいて、そこで言及されていた水野敬也さんの『夢をかなえるゾウ』という本が面白そうだなと思い、Kindleで買ってみた。これが面白くて、どんどん読んでしまった。
夢をかなえるゾウ | |
水野敬也 | |
ミズノオフィス |
読みながら思ったのだが、こういう本が一番電子書籍に向いた内容だなと思った。バンバン読める。それはとてもいい本だということなのだが、紙の本だと読んでいて何となく不安に思えて来る点でもある。本を買って、面白くてあっという間に読んでしまうと、面白かったのに何だか損した気がするのは私だけだろうか。何かすぐ読めてしまうんじゃないかなという予感がかすめると元が取れるのかなという気がしてしまうのだ。
もちろんこういう本、つまりいわゆる「自己啓発本」系統の本は読みものではないから読めばいいというものではなく、何が大事かを知ってそれを実行しなければあまり意味がない。だから本の値打ちは読めてしまう時間の短さでは決まらないのだけど、読みにくい本を一生懸命読んでその内容を味わういわゆる「読書の喜び」に慣れている身からすると、内容に関わらずすぐ読めてしまう本というのは物足りない気持ちを抱いてしまうアンビバレントな面があるわけだ。
それが電子書籍で読むとそういう気持ちにならないですむ。電子書籍は紙の書籍よりはある程度は安くなっているし、その点でお得感がある。コレクション的な価値から買うものではないから、場所を取らないのも有り難い。むしろ、端末さえ持っていればどこでもいつでも読めるわけだし、ふと思い出して考えて見たいような内容を持つ本はむしろ電子書籍の理想じゃないかと思った。自己啓発本やハウツー本、体調が悪くなったときの対処法が書かれていたりするような本などは、なるべくぱっと読める端末に入っていることが望ましい気がする。
この本の内容自体は、今まで読んだ「自己啓発本のまとめ」みたいな内容で、一つ一つは「どこかで読んだことがあるもの」という印象だが、それについてやる前に浮かびがちな考えとかやったあとに得る思いとかそういう形で分かりやすく噛み砕かれていて、主人公が変な神様ガネーシャに翻弄されつつ不承不承課題を実行していくうちにその意味を理解し、「自分を変えていくこと」に目覚めていくという構造が良くできているなあと思う。見た目よりずっと構成は緊密だし、これは本当に頭のいい人にしか書けない本だなあと思った。
【「成功者のイメージ」と「観察者かプレイヤーか」】
それにしても、最初に前提となる「成功者のイメージ」が例によってあまりに成金的というか、「お金があればこういうことが出来るよ」というイメージが貧困に見えて辟易するのだけど、しかしそれは最近の「自己啓発本」だけに見られる特徴なんだろうか、と少し考えてみたら、そう言えば80年代にも『BIG TOMORROW』という、こういう価値観を前面に押し出している雑誌があったなあということを思い出した。(調べてみたら今でもあったので少し驚いた)
当時、私のまわりでは国立大学ということもあるのか、お金に関してあまり欲しがるような姿勢を見せるのはかっこ悪いという空気があって、それを求めないストイックなポーズをどちらかというとみんな取っていたような気がする。しかし内心はどうだったかは分からないし、多くの人が民間企業に就職してそれなりの給料を得ているわけだから、本当にストイックでもなかったんだろうと思う。しかし私などは幼少のころからそういう雰囲気が自分の周囲に全くなかったので、なぜそんなものに憧れるのか不思議でならなかった。
私は中学生くらいの頃からプレイヤーよりは観察者、みたいなことをよしとする傾向みたいなものが出てきて、そういうこともあって自分自身が資本主義社会のプレイヤーとして参加しようという意識にならなかったのだと思う。
しかし実際には私は観察者というよりはプレイヤーだな、ということは本当はいろいろな場面で感じてきていたなあと思う。演劇をやっていた時も結局は主役を張りたいと思っていたし、自分の戯曲を上演したいと思っていた。働いて稼いでみても誰かに雇われて働くよりも、自分で経営した方がずっと面白い。文章を書いていても誰かをサポートして編集の側に回るよりも、結局は常に自分の書きたいことを書いていたいのだ。
だから結局は金を稼がなければ生きられないのなら、自分自身が資本主義社会のプレイヤーの一人になっていろいろ工夫する方が楽しいに決まっている。金をどう使うかのイメージは自分で自分の理想像を作ればいいわけで、別に「豪邸、高級車、女」というありきたりなイメージである必要はないわけだ。
【「キーワード」の重要性と自己啓発本の「価値」】
そんなふうに考えてみると、20代の頃の自分と今の自分の感覚や考えがつながって、すごく自分という人間の中での一体感が出てきた感じがした。
そんなふうに一体感が出てきたのは、『BIG TOMORROW』という言葉を思い出したからだ、と思う。つまり、自分の中で『BIG TOMOROOW』という言葉が、自分のイメージを喚起してモノを書いたり考えたりする気持ちになる「キーワード」だった、ということなわけで、この頃場を思いついたために自分の中の感覚が見事に整理された。そういうカギになる言葉の威力は本当にすごいし、思いつけて良かったと思う。
思いだして見ると80年代は、若者にモラトリアムが許され、何でも出来るような気にしてくれる時代だった。それがいいか悪いかは一言では言えない。生きにくい時代に社会に出た人間は、その社会の中でプレイヤーとして戦うか、その社会の構造自体に異議を唱え、変革者として戦うかしかない。70年前後までは、とにかく生きるために働いたり事業を興したりするという選択肢か、貧困を克服できない社会へのアンチテーゼとして運動したり革命を志向したりするという選択肢しかなかっただろう。
現在でも革命はともかく、基本的にその二つの選択肢が80年代よりも大きくなっていると思う。しかし、80年代と違うのは、その二つを無理に分けずに、プレイヤーとして頑張りつつ社会も変えていく、みたいなスタンスの人が増えているように思う。それはある意味、運動思想としてのマルクス主義がほとんど死に耐えたことにあるのだろうと思う。マルクス主義はどうしても戦闘的になってしまうので、その両者を両立するということが志向できず、袋小路に入ってしまうことが多かったからだ。それはとてもよいことだと私は思う。
80年代はそのどちらでもない、「自分の好きなことをやればいい」という価値観がようやく市民権を得てきた頃だった。ただ、「どうやったら自分の好きなことがやれるのか」という方法論はほとんどなくて、みな手探りだったように思う。
現代の自己啓発本は、必ずしも「成功」のみを求めるものではない。『ずっとやりたかったことを、やりなさい』などもある種の自己啓発本だが、原題が"The Artist's way"であることからもわかるように、成功するということも含めて、自分が真に目指したいものを目指すことが出来ることをガイドする本だ。
自分自身がこの本に出会って本当に良かったと思っているので、私は自己啓発本には肯定的なのだが、もちろん自分にあった本を見つけ出し、実践することが大切なのは間違いない。
そんなふうにこの本はさまざまなことを考えさせてくれる本だ。
今日は『進撃の巨人』が掲載された別冊少年マガジンを読んで書きたいこともいろいろあるのだが、このエントリも長くなったのでそれは『個人的な感想です』の方で書こうと思う。
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