この国の「正義」/自分を休めるために強制的に自分を状況から引きはがす
Posted at 13/12/03 PermaLink» Tweet
【この国の「正義」】
昨日。午前中いっぱいかかって『かぐや姫の物語』の感想をブログに書く。ここにも書いたけれども、この映画には実にたくさんのことがつぎ込まれていて、一つの文章で書ききれるようなものではない。それを多面的に書けば一冊の本が書けそうなくらいだ。ただまだ公開して間もない映画でもあるし、内容に関して昨日はかなり踏み込んで書いたので、やや書きすぎだった気もする。書きたりないという思いと、書きすぎたという懸念。いろいろな意味で複雑極まりない映画だと思う。
いろいろ難しいことをいわれているが見てみたら萌えアニメだった、と言う評をツイッターで読んで、まあ確かにかぐや姫のキャラクターは容貌といい性格設定といい相当魅力的だ。確かにそこのところを抜きにして語るべき作品ではなくて、おそらくはだからかなり難しいことをやっているのに観客はたくさん入っているのだろうと思う。女の子の可愛いくてきれいなのはそれだけで正義なのだ、この国ではいま多分。この国だけでもなかろうが。
續 さすらいエマノン (リュウコミックス) | |
鶴田謙二 | |
徳間書店 |
日曜日、映画の帰りに日本橋丸善に寄った時に買った鶴田謙二『續さすらいエマノン』(徳間書店、2013)をぱらぱらと読む。コミックリュウで連載されていたのは全部読んでいるのでストーリーは知っているのだが、ラストが『思い出エマノン』にループしているのが印象的。
【自分を休めるために強制的に自分を状況から引きはがす】
いろいろやって、というかネットにしばらくつかまってしまって、夕方4時くらいに出かける。会員証兼クレジットカードの不在票が入っていたので、集配局まで取りに行くことにした。東陽町駅前の深川郵便局の方が近いのだが、集配局は西大島駅から5分の城東郵便局。バスで行ってもいいが、歩くことにした。20分ほどだろう。明治通りをひたすら北に歩く。夕方で自転車も多く、ライトをつけていないのが多くて、坂道(江東区は平坦だが、地盤沈下が進んでいるので橋の部分が高くなっていて、橋の前後がかなり急な坂道になっているところが多い)でブレーキをかけながら危なっかしいスピードで降りてくる自転車が結構ある。外を歩くときはなるべくメガネをかけず目を休めて遠くを見ながら歩くことにしているのだが、こういう状況ではさすがにそれもできない。黄昏時は「誰そ彼」時だ。大島一丁目から斜めに入り、城東電気軌道の跡の緑道を通ってダイエーの前の城東郵便局へ。窓口は空いていてすぐ受け取れた。
それから西大島駅に出て都営新宿線に乗る。神保町まで乗って210円。高い気がしたが、考えてみたら東陽町から神保町も190円で、20円しか違わない。しかし200円を超えるか超えないかでこんなに印象が違うんだなと思う。まあバスに乗ってればそこで200円かかったわけだし、と思っていいことにする。すずらん通りを歩いて何軒か本屋に入って糸井重里『インターネット的』を探すが、もう目録にも載ってないことが分かった。amazonで買うか、となんだかなあという気分。すずらん堂、東京堂などを見て三省堂へ。カレンダーフェアをやってるのに気付いて8階の催場へ行き、『七十二候カレンダー』を買う。これは数年前から母が俳句をやるのに季節を感じられるように買っているもので、田舎の書店で探してもなかったので見つかってよかった。
何を食べようか考えながら新御茶ノ水まで歩き、ラーメンにしようと思って途中のラーメン屋に入る。ラーメンと豚丼のセットで、量もあるし割とおいしかった。あとで確認したら旭川ラーメンだった。へえ。さて『インターネット的』どうしようかなあ、と考えて、そうじゃんここは神保町じゃんと思って、『文庫川村』まで戻ったが、もう店を閉めているところだった。そうじゃん神保町の古書店は6時までじゃんともう一回思い直して時計を見たら6時半だった。だめじゃん。
仕方ないのでがいあプロジェクトで朝食用のパンを買った後、新御茶ノ水に戻り、千代田線に乗る。カレンダーが丸めずにそのまま大きな平たい袋に入れられていて、電車の中でちょっと始末に困る。大手町で降りて、地上に出る。いつもと違うルートで、丸の内仲通のイルミネーションなど見ながら、オアゾの丸善へ。なんか私は、こういう都会的な風景が好きだなあと改めて思う。田舎にずっといると、この風景を補給したくなるのだ。
3階に上がり、だめだと思いつつ『インターネット的』を探し、なくて、そうだ、昨日立ち読みした『かぐや姫の物語』のビジュアルガイドを買おうと思って探す。映画のコーナーに見つけて、買った。
かぐや姫の物語 ビジュアルガイド (アニメ関係単行本) | |
角川書店 |
その時立ち読みした『CUT』の宮崎駿の対談で(『CUT』本誌は多分自分が持ってる)、休みの日はどこということもなく川のそばとかを散歩する、という話があって、「とにかく一人になる時間の絶対量が必要なんです」と言っているのに深くうなずいた。川のそばを散歩している人というのは、おじさんばかりなんです。おばさんはいないんです。おばさんはもっと現実に根付いているんでしょう。おじさんばかりが呆然と川を見てるんです、ということを言っていて、なんだかそうなんだよなあ、と思って可笑しかった。おじさんはどうしても「滅私奉公」的になる。それは感情というよりけっこう本能的なもので、そこに陥らないようにするにはかなりの工夫が必要なのだが、たぶんそのあたりが不器用な人が、自分を取り戻すのに一人で居る時間が必要になって、川のそばで呆然としているんだろうと思う。私もそういうことになりがちなので、すごくよくわかるなあと思った。強制的に自分を状況から引きはがしてぽつねんと一人にしないと、どんどん自分が分からなくなっていくのだ。
私が都会の夕暮の中を歩くのも似たようなもので、都会の空気を吸うのと状況から自分を引きはがして一人になるのを一緒にやろうとしている。そういう時に都会の洗練された若い女性店員に応対を受けたりするのがやはり何か心を温かくするものがあるのだけど、でもたとえば石神井川の川辺を歩いたりするのでも何かまた違うものが満ちてくるということはあるんじゃないかなと思った。なんだかそういうことを考えていると気持ちが幸福になってきて、もう少しひとりの時間の楽しみ方にバリエーションをつけてもいいなと思った。「アーチストウェイ」でいうアーチストデートということになるだろう。
大手森の成城石井で少し買い物をして東西線で帰路に。いろいろやっていたら寝たのは1時になった。今朝は朝の瞑想のうち一日の予定をありありと思い浮かべるというのをやってみたら体調が少し変わった感じがする。「念」というのもこういうものかもしれないと思ったり。いろいろ意識しながらやってみよう。『インターネット的』は結局Kindleで買った。
インターネット的 (PHP新書) | |
糸井重里 | |
PHP研究所 |
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