2013年12月9日は『進撃の巨人』の出版ラッシュだった/人は何を読みたいか/きっと面白い本/心の隙間とトラウマになる読書/読者とはだれか/何をどう書くべきか
Posted at 13/12/09 PermaLink» Tweet
土日は更新をお休みさせていただいた。おかげでしっかり休養が取れた。
【2013年12月9日は『進撃の巨人』の出版ラッシュだった】
別冊 少年マガジン 2014年 01月号 [雑誌] | |
講談社 |
今日は『進撃の巨人』関係の出版がラッシュだった。連載中の本誌『別冊少年マガジン』の1月号(51・52話掲載)。これがドラマCD付き。アニメのキャストでリヴァイとミカサが主役。100円増しでこの企画はいい。同じく今日発売の単行本12巻の続きが2話分読めるということに続いて、『進撃の巨人』の読者を本誌購読に誘導しようという努力が感じられた。そのかいもあってか、私は朝6時半に近くのローソンで買ったのだけど、再びお昼を買いに行ったときにはもう売り切れていた。多分かなり部数は出ているだろう。
DVD付き 進撃の巨人(12)限定版 (講談社コミックス) | |
諫山創 | |
講談社 |
その単行本12巻だが、私は昨日限定版を地元の文教堂書店で購入した。その前にやはり地元の福家書店に行ってみたがまだ売ってなくて、販売量の多い文教堂なら、と思って行ってみたら案の定売っていた。「地域によって限定版のみ発売日が早まる」というアナウンスがあったが、地域というより書店の流通力によるのではという仮説が的中した感がある。わずか1日の差ではあるが。
進撃の巨人 Before the fall(1) (シリウスコミックス) | |
作画・士貴智志 | |
講談社 |
それからスピンオフのライトノベルを原作にした『進撃の巨人 Before the fall』の第1巻も今日発売。これは『進撃の巨人』関係の「2ちゃんねる」まとめサイトを見ていて知ったもの。2ちゃんねるには話題になっているものの書き込みが必ずあるので見落とすことが少なくなる。重宝している。
このマンガがすごい! 2014 | |
宝島社 |
公式ガイドブック第3弾の『ANIMATION SIDE 吼』は当初今日発売の予定だったが来年2月7日に延期になった。もし今日発売が実現していたら、4冊同時投入になったことになる。私のように常に待ちわびているファンにとっては同時投入より数週間ずつずらして出してもらった方が嬉しいのだが、イベントをつくることによって盛り上がりをつくろうという作戦なのだろう。アニメが9月に終了して以来、10・11月と本誌の発売のみが楽しみのよすがだったが、ここにきて一気に盛り上がっている。2ちゃんねるの書き込みも盛んになっているようだ。また『このマンガがすごい!2014』でも6位に入り、また単行本年間売上部数でも『One Piece』の4巻が1位から4位を独占しているのに続いて5位から15位まで『進撃の巨人』1~11巻が独占し、12巻の初版発行部数が通常版・限定版合わせて220万部とまさに『One Piece』に迫る勢いを見せているなど、年末に向けてさらに印象を強めようという意図もあるのだろう。
さて内容だが、本誌連載はさらに謎が明らかにされていく展開。内容は、ニックとクリスタ(ヒストリア)というウォール教関係がメイン。それ以上はネタバレなので本誌を見てほしい。
単行本12巻はユミルが存在感。表紙にもなってるが。また、かなり修正があった印象。一番大きいのは、最後の50話終了後に4ページの追加があったこと。これも書きたくてうずうずするが、ネタバレなので自重しよう。ただそのおかげでいつも嘘予告はなし。まあそれは望み過ぎだろう。限定版付録は『イルゼの手帳』のOAD(オリジナルアニメDVD)。単行本5巻の冒頭に掲載された短編を増補してのアニメ化。3.5話という仕立てで、アニメ前半のオープニング・エンディングも付き、ほぼ放送1回分の長さ。とても丁寧な仕上がりになっている。物語の枠はハンジの話なのだが、劇中劇の主人公がイルゼ・ラングラー。声は國立幸(こくりゅう・さち)。巨人の描写も丁寧で、ストーリーも見ていて泣けるものだった。もう2回見た。お勧め。
『Before the fall』1巻。もともとライトノベルは3巻あるのだが、立体機動装置考案のヒントとなる話(職人アンヘルが主人公)が第1巻、「巨人の子」とされたキュクロの話が2~3巻という構成なのだが、このマンガ版は最初からキュクロの話。アンヘルの話は組み込まれるのか、それともキュクロだけで行くのかはまだわからない。私は連載誌である『月刊少年シリウス』はプロローグしか読んでいない。絵はきれいな細い線で描かれていて、巨人は原作に比べて相当醜い。達者ではあるが、好みは分かれるところだろう。諫山さんは帯に「こっちは圧倒的に高い画力で巨人の世界が描かれてますので」と書いているのだが。
ARIA (アリア) 2014年 01月号 [雑誌] | |
講談社 |
いろいろと新しい情報が入ってきて巨人成分が補給された感がある。OADはあと数回は見るだろう。『ARIA』連載中のリヴァイ外伝、『悔いなき選択』も含めて楽しみだ。
【昨日今日買った本】
ギャングース(2) (モーニングKC) | |
肥谷圭介 | |
講談社 |
そのほか入手した本・雑誌について。どれもまだ未読。昨日買ったのは『このマンガがすごい!2014』(宝島社)、肥谷圭介『ギャング―ス』2巻、ふみふみこ『めめんと森』(祥伝社)。今日買ったのは海野弘・解説監修『ヨーロッパの図像 神話・伝説とおとぎ話』(パイインターナショナル)。どれも面白そうで楽しみだ。
めめんと森 (フィールコミックス) (Feelコミックス) | |
ふみふみこ | |
祥伝社 |
【人は何を読みたいか/きっと面白い本/心の隙間とトラウマになる読書】
この三日間、更新を休んだのは忙しかったこと、疲れていたこともあるが、文章を書くことについての方針に迷ったこともあった。糸井重里『インターネット的』を読んで、自分の文章について思うところがあったからだ。
インターネット的 (PHP新書) | |
糸井重里 | |
PHP研究所 |
人がその人の文章を読んで感動する、あるいはその人の文章がまた読みたくなるのはなぜだろう。それは、その人が持っている世界に対する見方、「世界観」にうなずいたり感動したり、あるいはまたそれを味わいたくなったりするからだろう。糸井さんは自分の持っているそれを「落語的世界観」と表現しているが、エピローグではその世界観の重要性をさらに強調している。それはとてもよくわかる。
とてもよくわかるのだが、自分にとっては少しわかりにくい、というより、考えにくい。それよりは、「特色を出す」と考える方が分かりやすいように思った。それではどうやってその特色を出すのか、ということを考えて、この考えもそんなにやりやすいわけではない、と思った。
このサイトを読みに来たくなるもの。このサイトでなければ読めないもの。それを用意すること。それを考えていくと、いったい人というものは何を読みたいんだろうか、どんなものを読みたいんだろうかと思う。
考えてみたら、出版というものはすべて「人はこんなものを読みたいだろう」あるいは「人はこんなものを読むべきだ」と考えて、試行錯誤した結果が現れているのだ。インターネットでも、商業的なものを目指したサイトでは皆そうだろう。最近では個人ブログでもそういうものが増えているし、現にそれなりに成功している人も多く、いろいろと参考になる。
そうやってリサーチしてみる(するつもりで書店の書棚を見てみる)と、「この本はこういうことを狙っているのだろう」とか、「こういう狙いで本を出しても当らないだろうな」とかいろいろ思うことがあって面白い。というかもともと私という人間はそういうものの見方をする人間なのだ、ということを思い出した。
純粋に自分が何を読みたいんだろうか、と考えて書店に行っても、正直最近はそんなに食指が動く本がない。その中でマンガは例外的に本を買っているが、やはり買い方は保守的だなと自分で思う。これはきっと面白いだろう、という攻めの姿勢で読んでいない、というか。
ヨーロッパの図像 神話・伝説とおとぎ話 | |
海野弘 解説・監修 | |
パイインターナショナル |
そういう意味では今日買った『ヨーロッパの図像』は狙った本だ。純粋に「読みたい」と思ったというよりは、「きっと面白い」と思って買った本だからだ。
「読みたい」と思う本は、基本的に心に隙間があるとき、それを埋めてくれそうな感じで望むものだという気がする。しかし「きっと面白い」という本は、自分の心に隙間は必要ない。
ただ、「本当の面白さ」を感じるには、「心の隙間」は必要なのだと思う。今一番面白いと感じている『進撃の巨人』も『ぼくらのへんたい』も心の中のある種の闇に感応していることは明らかだ。作者の諫山さん自身がそう言っている『進撃の巨人』はもちろんなのだが、『ぼくらのへんたい』をはじめとするふみふみこさんの作品も、「トラウマになるような場面」を描こうという意識があるように思う。多分、それは私自身が面白いと感じるためにかなり必要な要素なのだと思う。そのことと「心の隙間」とは、かなり関係がある。そしてそのことは、ようやく最近分かったこと。自分の心の隙間を、相当長い間見つめていたからなのだが。
ぼくらのへんたい 4 (リュウコミックス) | |
ふみふみこ | |
徳間書店 |
【読者とはだれか/何をどう書くべきか】
今の日本で、ネットも見ず、マンガも見ず、本も雑誌も新聞も全く読まない、という人はほとんどいないだろう。ということは、すべての人が潜在的な読者なのだ。今自分の目の前を歩いている人が、そうなのだ。電車で目の前でスマホでマンガを読んでいる人がいる。喫茶店でパソコンをのぞいている人がいる。その人たちは一体何を読んでいるんだろうか。その人たちが読みたいもの、その人たちが読むべきものを知ることは、自分が書くべきものを考える上でとても役に立つことだろう。
「何」を「どう」書くべきかを考えている。たとえば最近思ってることをうまく書いてもらった、と思ったのが「インターネットもぐもぐ」さんの記事。「一番大事なのは「自分が当たり前だと思っていることこそ丁寧に書く」」というのは全くその通りだと思った。しかしなかなか実行できてないので、注意して書こうと思っている。
潜在的な読者は、私の世界を知っているわけではない。だから私の世界について、つまり私が当たり前だと思っていることについてこそ、丁寧に説明しなければいけない。それが書いてなければ、私の世界に入って来ようがないのだ。
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