価値観難民/食べ物へのこだわり/ハレより日常、創造の源泉としてのいらだち
Posted at 13/10/06 PermaLink» Tweet
【価値観難民】
今日はいろいろなことを考えていたのだがなかなか書くところまで行かず、出かけた後帰ってきてからは眠くなってしまい、ものを書くのが遅くなった。
書く内容をノートに書きだしていて、果たしてこれはブログに書くべきことなのか、と考え込んでいる。ただ内容としては、ツイッターで書いたことや昨日までブログで書いたことの展開なのでそんなに不自然でもないのだが。書くことで前に進む、という部分はあるからやはり少しだけでも書いておこうと思う。
長い間、自分がどういう人間なのかよくわかっていなかったし、何を求めているのかもよくわからなかった。これだろうか、あれだろうかといろいろあてはめてみたりしたけれども、しっくりした答えが出ることはなかった。
やりたいことをやれている感じがしていたこともあるし、でもずっとそれをやっているのが正解かどうかも分からなかった。同じことをしているつもりでも、だんだんやっていることが変わってきたり、一つのことをやっていてもダブルミーニングみたいな感じになってくることもあったし。
特に作品をつくる、演劇作品をつくるということは、もともと自分自身の解放、オルタナティブな生き方に自分を開くことということを求めていたところがあったのだけど、そのうち作品作り自体の楽しみが強くなってきたし、そこにまたメジャー化=近代資本主義への自己の投入を是とするか非とするかという問題も起こってきた。オルタナティブへの道と作品作りの楽しみ、それから「自己売り渡し」への拒否感のようなものから結局そこには乗らなかったわけだけど、近代社会システムの中に生きている以上、そこに自己を投入しなければ得られない深さもまたあるということには気づかざるを得なかった。
近代社会、ないしは伝統社会そのものを生き直してみたいという感じもあった。詳しくは書かないが、もともと私はある種オルタナティブな場で育ってきているので、伝統社会や近代社会への憧れや、オルタナティブへの嫌悪のようなものももともとみんな持っている。教員になったのも、歴史を専攻したのも、中世史や市民革命を研究しようとしたのも、そうしたものをもう一度確かめたいというものだった。結婚もまたそういうものだったのだなと今では思う。
わたしはもともと何かの中心になって物事を動かすところや、何かを受け継いで発展させていくようなマインド、二代目マインドというか後継者マインドみたいなものがあるのだけど、受け継ぐべきものがなんなのかわからず、それ自体を自分で探すか作り出さなければならないというところがあった。
これじゃない、というところから仕事をやめ、離婚し、研究からも離れたけれども、だからと言って自分が分かったわけではなかった。高等遊民みたいだ、と言われてそんな気になっても見たけれども、本当はそんな近代的なものでもなかった。私は本を読むことが好きであることは確かなのだけど、いわゆる読書本みたいなものは面白いと思えなかったし、今思うとオーソドックスな読書本や、あるいは読書人に好まれる書店の品ぞろえというのは、日本近代の正統的な文系教養の延長上にあるものだということが分かる。私はそういうものでもない。
まだ近いのが70年代的オルタナティブの路線だが、世代的には80年代的ポストモダンでもあり、まあ私はそういうものも理解できてなかったのだけど、90年代的なおたくリア充の二分化の方向にももちろん合致していない。ただその中で、マンガを読むという楽しみが拾えたのはよかった。
結局、自分の所属する価値観のようなものをずっとつかみ損ねてきたのだ。二代目マインドを持っているような人間にとって、はっきりした価値観を持つというのは本当はすごく大事なことだったのだと思う。出かけて地下鉄の中でツイートしながら、『価値観難民』という言葉を思いついたのだけど、これこそが一番自分のあり方をよく表現している言葉だと思った。
自分の苛立ちというのは、何かの価値観に基づいて現実がそうでない、と感じる苛立ちなのではない。私自身が確かな価値観を持っていないことに対する自分への苛立ちだったのだ。
だからそれを一つ一つ確かめていくことこそが、今自分が一番やるべきことなのだ。
【食べ物へのこだわり】
たとえば、自分はどんな食べ物が好きなのか。どういうことにこだわりがあるのか。自分としてはあまりないつもりだったのだけど、考えだしたらこういうことがこだわりというべきなんじゃないかと思うようなことがいくつか出てきた。ツイッター上で書いたことだけど、まとめておく。
まずお米が好き。特に白米。銀シャリ。子どものころ、いろいろ理由があって麦飯ばっかりだったから、麦の入ってないご飯が食べたいなあとずっと思っていた。大学に入ってとんかつ屋に行って、銀シャリがお替り自由だと知ってここは天国かと思った。毎回3杯はおかわりしたなあ、当時。今は朝はパンにしているけど、それで昼が麺だと少し機嫌が悪くなる。昼を麺にするなら朝はご飯を食べたかったなと思う。一日二回は白米を食べたい感じだ。
そのパンもいろいろ好みがある。『ルヴァン』系の硬くてもいいからちゃんと天然酵母を使い国産小麦で石窯で焼かれた系のカンパーニュとかがベスト。まあ譲ってカンパーニュ系の丸いパンならまあいいという感じではあるが。そうでないものも食べないわけではないが。
あと野菜。自然の方で完全に旬のものであれば、だいたいなんでもおいしく食べられる。有機野菜についていろいろ言われてはいるけど、やはりスーパーで売ってるものよりおいしいと思う。
あと好きなのは、クルミとかナッツ系のもの、レーズンとかクランベリーとかの干し果物系のもの。栗鼠っぽい好み。
飲み物はコーヒーと日本茶。コーヒーは淹れ方で味が変わるからこれはどれがだめということはないけど、銘柄指定ができるならマンデリンかガテマラ、コロンビアを指定することが多い。日本茶は、まだ研究中という感じだけど、おいしく入った煎茶が一番好きだ。日本茶は銘柄とかも探すけど、高島屋でなんとなく買った愛国製茶の少し高めのブレンド茶がやたら美味だった。ああいうのは産地が分からないから困るんだけど、静岡のどこかだった。宇治茶とかもブレンド茶だから奥が深くてまだよくわからない。でも本当においしいお茶を飲めたときはすごくうれしい。
こだわりがあるのはそれくらいかな…味付けとしてはあっさり目の方が好き。こってり系はたまにでいい。一時体調が悪かったときは脂っぽいものは全然だめだったけど、最近はそれほどでもない。お酒で言えば、最近はめっきりビールを飲まなくなったし、日本酒も量を飲む気はしない。お酒はスコッチとかブランデーとかスピリッツを何かで割ったものとかを少々、というくらい。ハーブ酒みたいなのもいい。ワインも高いのは美味しいな、という程度。発砲系で好きなのはシャンパン、スパークリングワインだけど、これはなんか心が浮き立つような華やかな気分になりたい時には好きだ。
そんなふうに書いてみるとこだわりとか好みとかは結構あるのだなと思う。普段、自分がものを食べるときはその中でいろいろ新しいものを探したりいつも食べてる安心できるものを探したりしながら食べているので、自分では何でも食べられるつもりでいるのだが、他の人と食事したりするとこれはダメ、これは嫌い、これは避けたい、みたいなものが結構あることに気がつく。
実際、ことほど左様に本当はすべての面で方向性みたいなものを持っているのだと思う。そういうことに自覚していないだけで。そういうことをもう少し考えて、自分というものをもっときちんと確かめるべきだと思った。
書くことによって前に進んでいける。自分はこれだ、ということを知らないと前に進んでいけない部分があるのだろうと思う。
【ハレより日常、創造の源泉としてのいらだち】
そのほか、たとえば自分は花見や紅葉狩りのような観光や、クリスマスのようなイベントがあまり好きではないということがある。それは受け身であることがあまり好きでないこととそういうハレの日より日常を充実させていきたいというか、日常を充実させることが先決だと感じているところがあるんだろうなと思う。その辺のところをもう少し考えてみたいと思ったのと、きのう書いた作品の力について考えてみようと思ったのだけど、それは明日以降の課題にしようかなと思う。
諌山創さんのブログで見かけた町山智弘さんのネットラジオで聞いた見るべき映画は何かという話題と、重なっているところがあると思った。「いらだち」が創造につながっていくということについて、考えてみたいと思う。
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