本質を見るか、構造と機能を見るか/自分との距離を測りながら読む本
Posted at 13/09/22 PermaLink» Tweet
【本質を見るか、構造と機能を見るか】
このところ日曜日には更新できていない。それは余裕がないから、つまり忙しいからであるわけだけど、なぜ余裕がないかと言えば仕事や生活の上でやらなければならないことやそっちに関係して気になることが多かったりすることもあるわけだけど、自分のやりたいことが多すぎてその順序があまりよくつけられないうちに時間が無くなって行ったり、体力的に余裕がなくなって更新するまでに至らないということも多い。
今年は何のかんの言っても仕事が忙しい。ここ数年の中では一番忙しいと思う。生活上のことでもいろいろあってなかなかやりたいことをやる時間がないということもある。そういう中で朝から草刈りをしたり、自分の会計の収支を複式簿記で完全に記録したりやることを自ら増やしている面もあるから、余裕がなくなるのもむべなるからである。身体についてもいろいろ考えながら自分の調子を見てはいるのだけど、この夏はすごく暑くて湿気が多かったせいもあってなかなかすんなりとは秋の体に移行していけず、様々な不調が噴き出している感じがする。深いところの疲れというのはどういうことが理由なのかはよくわからないけれども、またそういう中で自分のあり方みたいなものを根本的に考えようとしているところがあるせいでもあるだろう。
わたしは本質的なものにあこがれを感じている面があるのだけど、どうもそういうものがよくわからないというところがある気がする。物事の構造的・機能的な側面を理解するのは割合好きだし理解もしやすいと思うのだが、存在の本質の奥の奥みたいなものを考えだすとよくわからない。よくわからないまま考えようとはするのだけど、まあいえばそこに至ろうとして悪戦苦闘するのが自分の物語というものなのかもしれない。
武術と医術 人を活かすメソッド (集英社新書) | |
甲野善紀・小池弘人 | |
集英社 |
ただ、そういうところに至るために、むしろ自分ができるのはそういう構造や機能みたいなことを一つ一つきちんと押さえていくことなのかなと今は思っている。特に重要だと感じているのがテンセグリティの問題。身体が成り立っているのがテンセグリティ的なものによる、という感覚は先日甲野善紀・小池弘人『武術と医術』を読んで以来ずっと感じているのだけど、今朝寝床の中でつらつら考えて、その感覚は個人の身体だけでなく、社会や国家、宇宙や自然についても、また生命とはどういうものかを考える上でも、少なくとも私が考えていくうえではキーになる考え方であるように思った。
【自分との距離を測りながら読む本】
午前中は『進撃の巨人』関係の動画やまとめサイトを見てずいぶん時間を使ってしまったが、気圧の変化かなかなか体調が上がらない。書こうと思っていたこと、やろうと思っていたこともあったのだけどなんとなく体調が下がってきて何もしないまま午後が過ぎそうな感じになってきたので、読もうと思っていたfinalvent『考える生き方』の続きを読んだ。
考える生き方[Kindle版] | |
finalvent | |
ダイヤモンド社 |
今日読んだのは沖縄での生活から難病の発症のところ。多発性硬化症というのはきいたことはあったが、具体的な症状の一つとして視力が失われるということがあるとは知らなかった。沖縄での生活も、異文化に入っていくというのはどういうことかといった問題や、オーシャンビューの県営住宅で過ごす話など、へえっと思うことがたくさんある。この人の文章には共感できるところが多いし、ああこんなふうにして問題を解決していこうとするのか、すごいなと思うところもいろいろあって面白いのだけど、圧倒的に違うのは結婚して四人の子どもを持ったこと、沖縄に住んだこと、難病を経験したこと、の三つが私にない経験だということだ。もちろん私が経験していて彼が経験していないこともあるのだけど、何というか、彼の言い方で言えばとくに勝者でもない普通の人間の生き方というものが、すごく参考になる感じが面白いし、ツイッターやブログでの彼の発言の意図がよくわからなかったところなども、この本を読んでいくと理解しやすくなるところが多いと思った。
今日は最後まで読んでから書こうと思っていたのだけど、いろいろと思うこともあるし時間もなくて読み切れなかったので、ここまでのところの「感想」だけを書いておこうと思う。
後ろの方を読むとICUの出身のようで、また米軍文化が残る沖縄に移住した経験もあり、またテクニカルライターや技術翻訳というアメリカナイズされたグローバルスタンダードに関わる仕事をされていたこともあるからか、何かを調べようとしてアメリカの育児書やアメリカの標準医療の本を調べようとするところが印象的だった。日本のものよりアメリカのものの方が信頼できる、という感覚も言われてみればわからなくはないのだけど、私だったらそうしない、というかそうしてこなかったなあと思う。ただ、考えてみたらそういう方向性だってないわけじゃないよな、とは思った。
わたしは英語を読むのがそんなに得意ではないから数十ページの英文をさらっと読むという習慣はないので、なかなかそこまでやる気にはならないが、逆に言えばそういう技術的なものなら調べながらなら自分が本当に深い関心を持っていることなら調べられるだろうと思う。ま、実際にやるかどうかは別の話だけど。
育児の経験はないからわからないが、自分の体の不調ならまあ野口整体の本を読んだり、ネットで調べたりするのが基本的な方向性だし、普段なかなかやる時間が取れない活元運動をしっかりやろうとするくらいで、ただそういうことも考えて調べて解決しようという態度そのものは同じだと言えなくもない。
他のところにも書いたけど市民意識みたいなものをデフォルトで持っておられるように思うので、そこら辺のところも自分とは違うように思うが、現実問題として市民社会を採用するしかないならフリーランスや自営業者が増えたほうがより民主主義を実現しやすいという考え方は似ていると思う。
そんなふうにこの本は、自分との距離を測りながら読むことができるのですごく面白いし刺激的なのだけど、逆になかなか読み進められなくて困る、というものでもあるのだった。
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