草刈りと蜂/メッテルニヒの保守的なたましいに共感する/マンガを読む:『ギャングース』とか/再び草刈り

Posted at 13/08/29

【草刈りと蜂】

夏がだんだん終わって行く。必ずつけなければいられなかった冷房も、一日つけずに過ごせるようになってきた。草刈りをしていると、蜂が出る。今年の夏は、いつもに比べて随分蜂が多い気がする。暑かったからだろうか。家の庇に巣を作られると、気がついたらすぐに落としてはいるのだが、なかなか蜂を殺しながら巣を落として家を維持するのも心が痛むところがある。

草刈りは軍手をし長袖を着てしないと虫に刺されたり草で腕を切ったりしてしまうわけだが、今日はあまり普段着ない藤色の長袖のポロシャツで草刈りをしていたら蜂に付きまとわれた。先日石垣に出来た蜂の巣を落としたとき、黄色の雪掻きスコップで落としたら蜂を怒らせて耳たぶを噛まれた?時があった。あの時、こういう色は危ないのだなと学習したのだが、藤色のシャツも考えてみたら花の色だし、そういうふうに見えるものは危ないのかなと思う。明日はもう少し地味な色のシャツを着てやろうと思う。


【メッテルニヒの保守的なたましいに共感する】

メッテルニヒの回想録
メッテルニヒ
恒文社

書くもののテーマが広がってなかなか収拾のつかせ方がよくわからなくなってきているのだが、人のたましいのあり方として保守と革新というものはあると思った。メッテルニヒの文章を読んでいて共感するのは、この人物の保守的なたましいに対してなのだなと思う。彼が10代後半ストラスブールで、つまり革命の混乱のさなかにあったフランスで教育を受けていたということは知らなかった。つまり彼は安全地帯で啓蒙思想や革命思想にふれた専制君主たちやその理想家肌の取り巻きたちとは違い、熱に浮かされた革命家たちや舌の根の合わない理想家の言だけでなく、怒涛のように暴れまわる「人民」という名の民衆や、脅され論破されて陥落して行く古い権威たち、あるいは戦う力を失った貴族たちのありさまにも直接触れていたということだ。

フランスを引き取った後彼はフランクフルトやマインツに滞在し、フランスから亡命してきた貴族たちの社交界にも出入りして、「アンシャンレジームの滅んだ理由」を知ったという。そういう彼の怜悧な眼差しが、ナポレオンを倒し、30数年にわたってヨーロッパをリードした最後の封建貴族の牙城を守り通したのだ。彼はナポレオンが本当に失脚してから1848年の自らの失脚までの32年間を「平和な時代」という。しかしその時期はあちこちで自由主義とそれと結びついた国民主義という名の民族主義が吹き荒れ、産業革命が進行してヨーロッパはその形を変えつつあった。最後にその爆発により彼自身は失脚するわけだが、30数年のそのヨーロッパの形の維持は確かに健闘したと言ってよく、またウィーン会議・神聖同盟という新たな形が、保守的にではあるがヨーロッパ連合の先駆けとなったという視点は確かにあり得ると思った。


【マンガを読む:『ギャングース』とか】

人間のたましいには確かに守ろうとする働きと変えようとする働き、新たなものを得ようとする働きがあって、それはいつも拮抗している。その変えようとする働きをとても強く表現したのが『進撃の巨人』なわけだが、その冒険心と仲間との絆という「男の子」の二大テーマがここにはある。

昨夜は少し仕事を引きずって仕事を片付けたのが2時前になってしまったが、今朝起きてモーニングページをして山への道の草刈りをして(そこでまた蜂に遭遇して進路を変更したのだが)朝食後モーニングを買ってきて読んだ。最近この雑誌も雰囲気が変わってきたところがあってあまり読む気がしないものが増えているのが残念なのだが、まあそれも時代というものか。「会長島耕作」どこまでやるの。「深蒼海流」牛若と知盛の対決。牛若と徳子が両思いだという設定が物語の肝になっていて、そう言えばそういうものは読んだことがなかった。まあ中宮であり天皇の母でもある建礼門院をそういう存在として扱うのは不敬だという縛りがずっとあったからだろう。そういうものが弱くなったことがいいことかどうかわからないところもあるのだが。「ジャイキリ」第三ゴールキーパー・湯沢という新キャラが面白そう。「ビリーバット」種明かしの始まりか。「コウノトリ」麻酔医は変わった人が多いという話。そうなの?「きのう何食べた?」主婦の実力。「神の雫」第12の使徒。「グラゼニ」結婚話が混乱し始めた。「インベスターZ」だんだん面白くなってきたかな。「ミリオンジョー」これは今週一番おもしろかったかもしれない。ついに感づいた女が悪の仲間に入ってしまう。このへんのやり取りがリアルっぽくてよかった。「ギャングース」これも良かったなあ。サイケの兄貴のクズっぷりのリアルさ、アヤミのアニへの思い、サイケが兄をヒーローと呼ぶこと、ヤンが「お前らでガンガン稼げるって考えてんだよ。それ以上に俺はまだお前らと一緒にいてえんだよ」というのにタケオが感動したりするとことか、社会の底辺で生き抜いている少年たちのたましいの熱さ。「ライスショルダー」攻撃テリトリーが見えてることが発覚。先が楽しみ。「カバチ!!!」田村が剣道の道場に入門。予想外の展開。それにしても『ピアノの森』、全然再開しないなあ…

陰陽師 玉手匣 3 (ジェッツコミックス)
岡野玲子
白泉社

あまり考えがまとまらないので昼前にツタヤに出かける。何を買うというあてもなく本を見ていたら岡野玲子『玉手匣』3巻(白泉社、2013)が出ていた。さらに見ると肥谷圭介『ギャングース』1巻(講談社、2013)が出ていて、どうも何となくほだされてこれも買った。『玉手匣』は「陰陽師」の原作から離れてかなり自由に展開している印象。大江山に酒呑童子を退治に行き、その餌に博雅を女装させて使うという思いがけない展開。最近ようやくこの作品がけっこうBL風味が強いのだということに今更ながら気づいてきたのだが、ついに「男の娘」まで。……というのが正解かどうかわからないが、酒呑童子がずいぶんみやびに描かれていて、面白かった。

ギャングース(1) (モーニングKC)
肥谷圭介
講談社


【再び草刈り】

山の中(といっても家のすぐ裏なのだが)で草刈りをしていると、本当に家の周りの小さな草を刈っているのとは違い、蔓草も10メートル以上野放図に伸びているのがたくさんあったり、蜂だけでなくいろいろな虫がそこここに顔を出していたりして、人間と自然の境目の最前線にいるような感じがする。その中に分け入っていくということは、ある意味山の中に迷い込むことに似ていて、本当にそこから先に入って行っていいのか、迷う気持ちもある。しかし自分の先祖が200年くらい前からずっと、この道の草を刈ったり柿をもいだり芋を掘ったりしてそれを担いで降りてきた道なんだなと思うと、なんだかすごいことをしているような気もするのだった。自然と戦うというのは変だし、なるべく仲良くやりたいとは思うのだが、自然の力はやはり相当圧倒的で、けっこう思い切ってやらないと勝負にならないところもある。自然に触れるというのは、そんなに生易しいことじゃないよなと思いながら、ちまちまと草を刈っている。

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by Luke Peterson

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