51回目/和辻哲郎『日本倫理思想史』を読み始めた
Posted at 13/08/13 PermaLink» Tweet
【51回目/和辻哲郎『日本倫理思想史』を読み始めた】
51回目の誕生日。知らない間に時間は流れている。
日本倫理思想史(一) (岩波文庫) | |
和辻哲郎 | |
岩波書店 |
先日から精神文化に関することを考えていて、土曜日に仕事が終わった後車で出かけ、ふらっと入った地元の書店で目についたのが和辻哲郎『日本倫理思想史』1巻(岩波文庫、2011)だった。精神文化という言葉を考えていて、このことばには何が正しく、何が美しく、何が本当かといった価値基準というか、そういうものが含まれている気がして、ただ特に、「正しさ」という問題についてはあまり考えてきていなかったなということを思って、手にとって読んでみたのだけど、縄文時代や弥生時代のことから書き起こしていて、そこから何を読み取ろうとしているのか、興味がわいたので買ってみることにした。歴史の中から倫理思想を読み取るというのは、やっていそうでやっていなかったことなので、ちょっと面白いかもしれないと思う。
私はもともと「民主主義」というものがなぜ「正しい」か、ということをものすごく考えていて、最終的に「民主主義は数ある思想の一つに過ぎず、絶対的に正しいものではない」という結論に達した、という経験があって、それ以来「数ある思想」のどれか特定のものに結局肩入れできないままずっと来ているのだが、肩入れする市内はともかく、自分自身の思想と言えるものを持った方がいいと思うようになってきたし、もし既存の思想が納得できないなら自分で作ればいい、という気がしてきている。余談。
進撃の巨人マル秘解体全書 (青春文庫) | |
青春出版社 |
そのほか平安堂では全部で4冊買った。『進撃の巨人マル秘解体全書』(青春文庫、2013)はいわゆる『進撃の巨人』の謎本で、私が気がついていなかった伏線みたいなもの(と言えるかどうか)が書かれていてなるほどと思うところがあった。それから『アニメージュ』9月号。これも『進撃の巨人』の特集。
アニメージュ 2013年 09月号 [雑誌] | |
徳間書店 |
それから渋谷陽一による鈴木敏夫のインタビュー、『風に吹かれて』(中央公論新社、2013)。ジブリのプロデューサー、鈴木敏夫は著作もインタビューものも結構読んではいるのだが、この本はまた別格に面白い。渋谷陽一が「鈴木敏夫自身が気づいていない鈴木敏夫を引き出した」と豪語するだけのことはあると思った。まだ106ページ、『アニメージュ』を立ち上げたあたりの話だが、名古屋時代、高校生までの話も含めて、とても面白いと思った。
風に吹かれて | |
鈴木敏夫 | |
中央公論新社 |
日曜日の朝に上京し、新宿でロールキャベツを食べて、紀伊国屋とアドホックとアニメイトをのぞいて日本橋に出、丸善に立ちより高島屋で和菓子を買って帰宅した。帰るとスタジオジブリの広報誌『熱風』の8月号が届いていた。これは『風立ちぬ』の特集。もちろん、この映画に肯定的なサイドの記事が並んでいるわけだけど、(広報誌なのだから当然だが)宮崎駿・庵野秀明・松任谷由実の対談が掲載されていて、これは同じものがいくつかの雑誌に出ているのだけど、この『熱風』に収録されたのが一番面白いと思った。ほかのメディアで掲載されているのは、なんだかいろいろ省かれた部分があって、実はそこが面白かったりするのだった。
日本倫理思想史(二) (岩波文庫) | |
和辻哲郎 | |
岩波書店 |
昨日は銀座に出て韓国料理を食べ、教文館とブックファーストをのぞいて『日本倫理思想史』の2巻を探したら両方の店になくてショックを受け、丸善丸の内本店まで出て買って帰った。夜、夕食の買い物にアリオ北砂に出かけたとき、何か精神文化に関係する本はないかと思って本棚を見ていたら濵田恂子『入門 近代日本思想史』(ちくま学芸文庫、2013)というのがあり、立ち読みしていたら和辻哲郎の近代日本思想史上の位置が割とわかりやすく書いてあるなと思ったし、ほとんど知識のない和辻の思想について基本的なガイドラインを述べていて、これはいいかもしれないと思った。もう一つは、福沢諭吉・西周ら明治維新直後・明六社の世代から、私が直接教えを受けたり同時代の思想家として読んでいた(つまり多くは現存の)井筒俊彦、今道友信、滝浦静雄、広松渉、村上陽一郎、市川浩、中村雄二郎、湯浅泰雄と言ったところまで言及していることだった。私が一番近しく感じたのは彼らではなく社会学畑の見田宗介だったが、村上の授業は欠かさず出席していたし、湯浅の授業も面白く、今道も美学藝術学に賭ける並々ならぬ気迫を感じさせられた。井筒のイスラム関係の本や、中村の述語集なども座右においていた時期があった。
入門 近代日本思想史 (ちくま学芸文庫) | |
濵田恂子 | |
筑摩書房 |
つまりこの本を読むことで、自分自身の位置もわかる部分があるかもしれないという意味もあった。もちろん倫理学や思想というものは日本の中で閉じているわけではないから、ヨーロッパや中国、アメリカの思想鴨参照していく必要があるし、その中で日本の思想シーンというものがワールドワイドの中でどういう意味を占め得るのか、そういうことを考えていく必要もある。このあたりを考えることは私個人の必要だけでなく、日本の現状と方向性を考える上でも、世界の現状と方向性を考える上でも大事なことだと思うのだ。
いろいろやりながら、久しぶりに本を読むことが生活の中心になりつつある。更新回数が減ってしまっているが、生存報告と読書(というか書籍購入)報告を少しだけ。
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