夏のはじめ/村上春樹「小説家の役目はテキストをパブリックに提供すること」

Posted at 13/07/08

【夏のはじめ/村上春樹「小説家の役目はテキストをパブリックに提供すること」】

暑い日が続く。そして夕方には激しい夕立。梅雨明け後の、夏のはじめの、毎年のこと。

モモ (岩波少年文庫(127))
ミヒャエル・エンデ
岩波書店

昨日は夕方、雨が上がった後丸の内丸善に出かけ、ハヤシライスを食べてからミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波少年文庫、2005)と藤宮史『木版漫画集 黒猫堂商店の一夜』(青林堂工藝社、2012)を買った。実は『モモ』はまだ読んでいなくて、ふと読みたくなったのだ。少し読んだけど、結構好きそうな感じだった。

木版漫画集 黒猫堂商店の一夜
藤宮史
青林工藝舎

『黒猫堂商店の一夜』は、ますむらひろしの猫マンガに似ている印象だが、これが全部木版でやっているならすごいことだと思う。今、あまり言葉が入ってこない感じがあるので、また改めて読んでみるといいかもしれないと思う。


考える人 2013年 08月号 [雑誌]
新潮社

今日も夕方大手町に出かけ、丸善で本を物色して『考える人』45号(新潮社)を買った。河合隼雄物語賞・学芸賞の発表。今ひとつピンと来ないが、村上春樹の講演録が収録されていて、この人らしいと思う。ずいぶん親しかった印象があるが、村上は河合の本をほとんど読んでいないのだそうだ。村上は、「小説家というのは分析的な種類の本はなるたけ読まない方がいい」と基本的に考えているのだそうだ。「小説家の役目はテキストをパブリックに提供することにある。テキストは総体としてブラックボックスであり、読者はそれを受け取って好きなように咀嚼する権利があるから、読者の手に渡る前に著者によって咀嚼されてしまったらテキストの意味が大きく損なわれてしまう」からだ、というわけだ。

私が最近あまり分析的な本を読まないようになったのも同じような理由なのだが、やはり村上という人はそういう人なんだなと思った。しかし私のようなものにとって、そういう考え方が当てはまるのかどうかはよくわからないところがあるなあとも思う。

そのほか、数学が特集されているのだが、どうもよくわからないことが多い。これも気合があるときに読んでみるような種類の特集なんだろうなと思う。

オアゾの外に出ると雨が降り出していたが、庇伝いに交差点を走り抜けて、日本橋の地下通路に入り、コレドの地下でパンと夕食を買った。この日月は華やかな東京の雰囲気を味わっていなかったので、高島屋の中を少しウィンドウショッピングした。月曜だからか、店内に人が少なくて、少し物悲しい感じがした。

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