進撃の巨人、日曜美術館、ソマリランド/木暮太一さん、『茶柱倶楽部』、曽野綾子さん

Posted at 13/05/20

【進撃の巨人、日曜美術館、ソマリランド】

今日は雨の一日。雨が降って気圧が低く、体調もいまいちだったせいか、なんとなく気が滅入ったり、ものを考えたりしている時間が長かった。昨日は出かけていたのだが、その間にいくつか注目している番組を録画してあって、今日はそれをいくつか見ていた。

一番何度も見たのが『進撃の巨人』第7話(東京MX)だった。物語はエレンが巨人に食われ、ミカサが暴走するところだったが、ミカサの心情に即した丁寧な描写がとてもよかった。謎の巨人の登場がストーリーに明るい影を投げる、原作で分かりにくいところをうまくピックアップしてわかりやすい演出にしていて、アニメはアニメとして大変上質な作品に仕上がっていると思った。

しかしこの作品は複雑で精巧で派手なアクションシーンが多いため、作画はかなり大変だろうと思われる。原画のクレジットに73人の名前が挙がっているというのがツイッターやニコニコ動画でも話題に上がっているのだが、確かに膨大な原画を使用して、それでもなお静止画像がかなり多い。ジブリ並みの精度に仕上げるとしたら数年はかかるだろうと思われる、しかしそうすごくは多くないだろう予算の中で、大変健闘していると思う。

来週が一つのクライマックスになる。今から楽しみだ。

二つ目は『日曜美術館』(NHK教育)、ラファエロの特集。いま、アジアに初めてラファエロの作品群が来日して、西洋美術館で展覧会が行われているそうだが、今日の特集は『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキマリをゲストにラファエロの画業と幅広い活躍について取り上げられていて興味深かった。ああそうなんだなるほどなあと思ったのは、ラファエロがある意味で究極のギリシャ・ローマおたくで、ローマ時代の浴場を再現したり、ローマ時代の遺跡とそっくり同じものを再現したりしていたということ。同じ画家の立場からヤマザキが、「アテネの学堂」を描いたラファエロが「本当に描きたい、好きなもの、好きな人たちをたくさん描いていて羨ましい」と言っていたのが可笑しかった。なるほどそういう見方もあるのかと思った。

三つ目はBS11の週間ニュース番組『Onze』で取り上げられていた『ソマリランド』特集。先日このブログでも取り上げた『謎の独立国家ソマリランド』の著者、高野秀行をゲストに、高野のその前の仕事であるコンゴにいるという謎の恐竜の話から、ソマリランドで撮った写真や映像をいろいろ見ることができたのは面白かった。高野秀行という人自体がどういう人なのか見ることができたのもよかったし、本で読むのも面白いがこういう映像やトーク、画像を見るとよりリアルにそういうものが感じられるところがあるのがよかった。高野の著書は今4刷1万7000部売れているそうで、これはこの手のノンフィクション作品としてはかなりのヒットと言っていいのではないだろうか。それでも高野氏本人が手にする印税は300万程度であまり割が合う仕事ではないなあとは思うのだが…

番組もコメンテーターが何かと話題のあったAPF通信の山路徹で、実際にソマリアの首都モガディシオにも行ったことがあるということもあり、その辺の話はされていたのだが、レポーターの側が今一つ勉強不足で(ちゃんと本を読んだのかいまいち疑問)もう少し突っ込んだ話になるともっと面白かったのにと思った。特集の時間は20分ほどだったから、まあたとえば『クローズアップ現代』ならもっと集中度の高い映像になったとは思うが、BS専門のマイナーな放送局ということもあってちょっと残念な感じではあった。しかしたまたまこの番組を番組表で見つけ、見ることができたことはよかった。


【木暮太一さん、『茶柱倶楽部』、曽野綾子さん】

ずっと「安月給」の人の思考法
木暮太一
アスコム

最近読んだ本、買った本。木暮太一『ずっと「安月給」の人の思考法』(アスコム、2013)は読了したが、とても面白かった。この本については思うことがたくさんあって、一度かなり長大なブログ記事を書いたのだが、結局アップしなかった。何かまとまった形にして書いてみたいと思う。しかし『給料』の観点から、自分の仕事の仕方や生活の仕方を見直してみるという今までありそうで実はなかった見方の本で、実は結構多くの人に勧めてもいい本だと思った。この木暮という人は『ぼくたちはいつまでこんな働き方をするのか』(星海社)という本が一時ネットで話題になっていた時に注目して、読んではいなかったのだけど、なんとなく記憶に残っていた人だった。かなり共感できるところが多いので、また何か読んでみるだろうと思う。

茶柱倶楽部 4 (芳文社コミックス)
青木幸子
芳文社

青木幸子『茶柱倶楽部』4巻(芳文社、2013)。日本茶の話題満載で、そうそう新しい知識が披露されているわけでもないけれども、前よりずっと読んでいるとお茶を飲みたい感じが出てきていて、まあつまり良い作品なのだと思う。

人間関係 (新潮新書)
曽野綾子
新潮社

今日丸善に出かけて買ったのは曽野綾子『人間関係』(新潮社新書、2013)。曽野綾子のエッセイというのは途中で読むのをやめてしまうことがよくあったのだけど、少し思うところがあって、今関心があることにかなり関連してくる気がした。それにしても、幼いころから視力が極端に低く、初めて自分の顔をまともに見たのが目の手術をした後の50歳の時だった、という話はかなり驚いた。恵まれたアッパーミドルの家庭に育った人が、どうしてここまで人というものを見るのに冷徹なまなざしを持てるのだろうということを不思議に感じていたのだけど、そういう身体的なハンディキャップがあったのだなということを理解して、納得するものがあった。そういう人は、より深いところで自分との対話を続けなければならないところがあり、おそらくそれだけ視力が低いということは自分の中であきらめなければならなかったこと、断念したことがすごくたくさんある人だろうと思うし、逆に言えばしかしこれはやる、ということに関しては尋常でない力を発揮することができただろうと思う。もちろんそれがすべてではないだろうが、ある人の世界観に触れるときにはその人の生活歴に触れることでよりその人の考え方、世界の見え方が立体的に理解できるという面はやはりあると思った。

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