みだりに思うなかれ/モーニング新連載・肥谷圭介「ギャングース」/男の社会性・女の個人性・河合隼雄物語賞
Posted at 13/03/07 PermaLink» Tweet
【みだりに思うなかれ】
昨日。一月ぶりに松本へ操法を受けに行く。ぎっくり腰とその影響など見てもらったが、やはり腹の動きがよくないということで、その元の元はやはり頭が休まっていないからだということ。いろいろと普段の過ごし方など、考え直してみることにした。
仕事を済ませ、夕食を取り、入浴し、母に愉気し、自室に戻って、普段は何かしら本を読んだりiPhoneでネットを見たりするのだが、寝る前一時間は本を読まないことにしてみる。寝る前の頭の負担をなくし、頭の活動を休めてから寝ることにした。
朝起きてからも、最近は寝床の中でごちゃごちゃいろいろ考えて、それをモーニングページに書いていたのだけど、しばらくそれをやめてみる。寝床の中では何も考えないようにする。「莫妄想」。妄想するなかれ、とも読めるが、みだりに思うなかれ、というふうにも読める。「思うこと」自体をみだりにはしない、節制する、ということを試してみる。机の前に座り、ノートに向かってから「思うこと」をはじめる、ということをやってみる。暇つぶしに本を読まない。読みたくなって読むのはいいが、手持無沙汰だから何かを読む、ということをやめて、そういうときはなるべくノートに向かう。ブログを書いたり清書をしたりするために今のようにPCに向かう場合もあるが、PCは基本的に目が疲れるので、それも必要以上には見ないように心がけた方がいいように思う。しばらくその線で行ってみよう。
【モーニング新連載・肥谷圭介「ギャングース」】
今朝は6時過ぎに目が覚める。久しぶりに、暖房ゼロで寝たが、もう大丈夫だな。起きてからはストーブをつけていないとまだ寒いが、今日の最低気温はマイナス1.1度だからだいぶ暖かくなってきている。今日は地元が資源ごみの日。雑誌のバックナンバーの処分を少し考えたが、まだ読む可能性があるものが多いので今日はやめた。連載中でまだ単行本になってないマンガを読めるようにしているので、バックナンバーは常にある程度たまっている。
7時ごろ車で出かけてセブンイレブンに行き、モーニングを買う。コーヒーの店売りがはじまったので試しに飲んでみる。100円でレギュラーサイズ、挽きたて、というところがサークルKとは違うが、1種類しかない。どちらが優位性があるかな。サークルKは140円以上するが6種類ほどのポーションが置いてある。東京の地元のローソンはどうだったか。コンビニのコーヒー競争は有り難い。缶コーヒーのブラックは不味過ぎる。
今週の『モーニング』。新連載・肥谷圭介「ギャングース」。オレオレ詐欺などの「半グレ」系犯罪集団「カンパニー」の事務所に侵入して金庫を盗みだし、一発逆転して「この国を買う」ことを目指す三人。主人公のカズキは「キモイおたく」で中等少年院に入っていた頃も周囲から暴行を受けるばかりだったが、そこで工具を使う技術を習得し、「関東で最も工具に詳しい18歳」になっている。(ちなみにここは誤植があって「工具に群しい」と書かれていた。まさかわざとではないと思うが)情報を得て、見張りが「コンビニにトイレに」言っている隙にドアの錠を壊し、事務所から金庫を盗みだす。この描写がなかなかスリリングで、50ページ以上を一気に読ませた。重い話が続くのだけど、ドライブ感があるので読める、という「裏社会」もの。義理や人情の話に走りがちな従来のやくざマンガ系とは一線を画し、どちらかというと最近の少年マンガ(と言ってもマガジンや別マガの主たる読者は高校生くらいらしいが)にある中二病系のビッグになってやるゼいじめられてる俺でも系がメジャーのおとなマンガに耐えられるように洗練されたという感のある作品という印象。ある意味蘊蓄系でもあり、やくざと「カンパニー」の対比や、「カンパニー」の人間関係の構造から、盗み出しやすい金庫とそうでない金庫の違いとか、職務質問されにくいのはどういう車種かとか、役に立つような書いていいのかそんなこと系の知識も満載。でも微妙に市民社会のルールにはちゃんと超えない一線を守っているウェルメイド感もあり、ある意味安心して読めるのでそこにどうも作り物めいた雰囲気も漂ってしまうのだが、そういうふうに感じるのは私にとってそういう世界がいろいろ人から聞いても結局は自分の経験してきている世界とは違うという感じからある「よそのセカイ」感が強いからなのか、描写がまだ手加減中なのか、その辺のところはよくわからない。ただまあ書いてみて思ったが、これだけ語る気になるというのはやはり面白いと思ったからなのだと思う。「期待したい」と言っていいのかどうかはネタがネタだけに微妙だが、この号は「買いだ」と言っていいと思う。
ピアノの森(20) (モーニングKC) | |
一色まこと | |
講談社 |
今週は『ピアノの森』も掲載されている。ついにカイのファイナルの演奏が始まった。コンチェルト1番は前奏が4分続き、そのあとでピアノがバーンとはいるが、その導入の描写が期待を裏切らない。「最高に輝いている場所の真ん中にいる」カイだが、そこにアクシデントが…といつもの展開。いつもの展開だが、すぐ心配になる。心配しても仕方ないことだけは確かなのだが。(笑)次回に期待。
かわぐちかいじ「深蒼海流」。源平ものだが、どうも鞍馬寺に入る前の牛若と徳子が恋に落ちるという展開、なんだろうか。今までのところは大河ドラマの焼き直しに見えていたが、ここからが本ちゃんになりそうだ。「ジャイキリ」はETU惨敗。そこからどう立ち直るんだろう。「宇宙兄弟」はムッタに対する疑惑が膨らむせりか。その真意を知って…みたいな展開。「特上カバチ!」は悲惨な展開だったが、ようやく光明が見えて来た。
【男の社会性・女の個人性・河合隼雄物語賞】
モーニングは以前から不法滞在外国人ものとか、金融屋ものとか、社会の裏表の境目みたいな作品がけっこう掲載されていて、私はあまりそういうのが好きではなかったのだけど、たとえば『ピアノの森』でも主人公のカイは非合法”赤線”地帯で「まともな人間が足を踏み込めない」森の端という地域で誰の子どもだかわからない状態で生まれ育った少年だし、そういう世の中の表裏というものを取り扱った作品が案外多い。どうしても男性雑誌というものは少年雑誌も含めて「社会」を扱うことが多いのだろう。その辺のところは女性雑誌、少女雑誌とは異なる感じになる。男はなんだかんだ言って社会的に生きなければならないことが宿命づけられているからだろう。
心の深みへ: 「うつ社会」脱出のために (新潮文庫) | |
河合隼雄・柳田邦男 | |
新潮社 |
これは今読んでいる河合隼雄・柳田邦男『心の深みへ』で述べられていてうーんなるほど、と思ったことなのだが、河合は「日本の男性は個人主義的でない方法で集団的に生きる生き方をうまく見につけている。ところが、女性は今までその下積みでしたね。日本的な生き方をそれほど身につけていない。そこに西洋的なものが入ってきたため、女性の方が西洋スピリットに対する適応度が高い。今の離婚が急増している現象など、まさにその表れではないでしょうか。」と言っている。これは確かにそうだなあと思う。今、奥さんにやられっぱなしの男性が多いのは、結局「日本的な考え方が西洋的な考え方に駆逐されようとしている」という現象の一環に過ぎない、ということなのかもしれない。いずれにしてもあんまり面白い話ではないが。
まあ少女誌・女性誌は基本的に自分の生き方を追求する、まさに西洋近代的な考え方が貫かれていることが多いし、それが売れるということは買う側も共感しているということだろう。社会というものは変化して行くものだから、今の社会がこうであるということがどのくらい重要かは立場や場合によって違うけれども、確実に変化して行くものであることは確かだ。裏社会の状況などは、30年前はもとより、10年前と比べてもかなり変化しているだろうと思う。
最近やはり、というかこの本を読んで、河合隼雄は読んでおくべきというか、自分にとって重要な存在だということは再認識してきた。いろいろ賛否はあるが、大きな存在だったと思う。私はもともと文章の練習を、河合が朝日新聞に週一で書いていたコラムを書写することではじめたという経緯もあり、自分にとって重要な師匠のひとりであるなあということを再認識した。一度だけ講演を拝聴したことがあるが、面白い話だった。今年は「河合隼雄物語賞」というのが創設されるらしい。選考委員は『博士の愛した数式』の小川洋子、『獣の奏者』の上橋菜穂子、『ブレイブストーリー』の宮部みゆきの三人。対象は児童文学を含む出版物のようだが、ぜひ獲りたい賞だなと思う。頑張るモチベーションになる。
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