本を探す勘が戻ってきた気がする
Posted at 13/02/25 PermaLink» Tweet
昨日の日曜日は郷里の方で実家の属する組中のお稲荷さんの初午の行事があり、上京が午後になった。帰りに丸の内の丸善によって本を物色したら山下和美『数寄です!』3巻(集英社、2013)が出ていたので買った。この本は昨日から今日にかけて読んだが、数寄屋や日本の建築にかける関係者の熱意のようなものがすごく伝わってきてこの世界もいいなあと思った。鳥取県の智頭町の話が中でも面白い。ここには諏訪神社があって、御柱祭もやっているというのは驚いた。疎開保険の話も面白い。魅力的な街づくりをしていると思った。山下さんのマンガだけでなく、蔵田さんの文章も面白いし、だんだんうまくなっているように思った。私はツイッターでは二人ともフォローしているのだが。
数寄です! 3 (愛蔵版コミックス) | |
山下和美 | |
集英社 |
それから店内のHMVでCDを少し見る。ワールドミュージックのコーナーにカエターノ・ヴェローゾが何枚かあったが今日は買わず、同じブラジルでもアストラッド・ジルベルトという人の『いそしぎ』を買った。これは1964-5年のアルバムで、「いそしぎ」や「Fly me to the Moon」などスタンダードナンバーをボサノバっぽく歌っていて、ああこういうのもありかなと思った。
いそしぎ | |
アストラッド・ジルベルト | |
ユニバーサル ミュージック クラシック |
昨夜から高校時代のことを思い出し、ずっとウィングスを聞いていた。"Band on the Run"、"Venus ans Mars"、"Wings Grestist"、そして"London Town"。リアルタイムで最初に買ったのはLondon Townだった。あのころはビートルズが解散してもうずいぶん経った、という印象だったけど、考えてみたらまだあのときはまだジョンが生きていた。本人たちにそのつもりがあれば、まだ再結成だってできただろう頃。あれから35年。ずいぶんの月日が流れた。
London Town | |
Wings | |
Capitol |
今日はあまり時間がなかったが午後出かけることにした。毎朝書いているモーニングページ用の原稿用紙ノートが無くなってきたので日本橋の丸善の地下へ行って2冊買った。そのあと読むべき本がないかと勘を頼りに店内を見ていて、これかなと思って買ったのが安部公房『(霊媒の話より)題未定 安部公房初期短編集』(2013、新潮社)。少し読み始めたが、思ったより読みやすい。安部公房という人はいろいろな書き方で書いていて、こういう書き方をしてもいいんだなあ、と思わせてくれるところがある。戯曲も書いているし、SFも書いているし、ある意味自由自在に、時代に限定されずに時代を超越した作品を書いている感じがする。一つの目標にすべき作家かもしれないと思った。
(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集 | |
新潮社 |
横浜に出る。東海道線の中で安部公房を読もうと思ったが例によってツイッターに時間を取られてしまい、あまり読み進められなかった。表題作の「(霊媒の話より)題未定」(表題作というのも変だが)は戦時中のサーカスの話で、想像もつかないが何か時代を超えた感じがすでに出ている感じがする。しかしまあ、安部に限らず大衆小説を読んでいると江戸時代の話なのに現代みたいな人が出てくるなあと思ったりすることはあるので、時代を超えているという感じがどういうことを表しているのかということは考えたほうがいいという場合もあるなと思う。安倍の話は、時代を超えた本質、というような本来の意味で超時代的な感じがすると思うけれども。
ぼおるぺん古事記 三: 海の巻 | |
こうの史代 | |
平凡社 |
横浜で話をし、お茶を飲み、食事をして、帰りに有隣堂による。店内を物色していたらこうの史代『ぼおるぺん古事記(三)』(平凡社、2013)が出ているのに気付き、購入。今回は天孫降臨からトヨタマヒメの出産までで、全部よく知っている話ばかりだったがこうの史代流の味付けが面白く、また一気に読んだ。おまけマンガの「おとうと」という話のオチに爆笑させられた。この人のセンス、ほんと好きだな。
評価と贈与の経済学 (徳間ポケット) | |
内田樹・岡田斗司夫 | |
徳間書店 |
東京に帰ってきて、朝のパンなどを買い、ついでにもう一度丸善をのぞいてうろうろしていたら内田樹・岡田斗司夫『評価と贈与の経済学』(徳間ポケット、2013)というとんでもない本を見つけた。この二人の対談というだけで意表をついているが、その内容がまた面白い。勢い込んで話し始めて途中で尻切れトンボになっていたり、こう言ってはなんだが適当に話がされている感じが面白いのだが、内田氏はこの本の校正に一年三か月かけたのだそうだ。岡田氏は半日。(笑)
こういう本を見つけられるというのは、本を探す勘が戻ってきたなあという気がして嬉しかった。私はやっぱり本に愛されてるんだなと思う。そう思っている方が、いい本に巡り合える。
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