精神と身体の立て直し/創作の練習/シチュエーション
Posted at 13/02/07 PermaLink» Tweet
【精神と身体の立て直し】
私自身にとってどうも変わり目の時期らしく、いろいろなことが起こるのだけど、けっこう精神的に、あるいは肉体的にもきついことが起こったり、やりたいことがやれてなかったりしていろいろ何をどうしたらわからないような感じになっていて、なかなかブログも更新できなかったりしていたのだけど、なんだか少しずつ光が見えてきた感じがある。
整体入門 (ちくま文庫) | |
野口晴哉 | |
筑摩書房 |
ここのところどうも体のあちこちが調子が悪くて困っていたのだけど、昨日整体の操法を受けに行って、「活元運動をもっとしっかりしてください」と言われ、そういえば最近あまりきちんとやっていないということに気がつくという体たらくだった。これは最近医学的なことを少し勉強せざるを得ない事情があってそちらの方に頭が傾いていたために何となく整体的な身体観や生き方から遠ざかってしまっていたという面があるなあと思った。他の人のことを考えるときは医学的な観点も必要だ(整体的観点を押し付けるのを好むわけではないので)が、自分自身のことを考える、あるいは自分の身体をととのえるという面においてはもっと徹底していかなければいけないと改めて思った。
改訂新訳ライフヒーリング(旧ライフ・ヒーリンク゛) You Can Heal Your Life | |
ルイーズ・L・ヘイ | |
たま出版 |
精神的な面でもいろいろ問題があったのでかなり精神的にきついところがあったのだけど、5日にも書いた『ライフヒーリング』を読み、そこに書かれていたメンタルなエクササイズのようなことをやってみた。いろいろ自分の問題をさらに自覚してより落ち込むといったこともあったのだけど、逆にそういうメンタル的な危機にあったからこそか、その記述がよく入って来る部分もあり、むしろ精神的な基盤のようなものがしっかりして来つつある、と感じている。精神的な基盤というのは結局、自分自身をいつくしみ受け入れることができる自分である、ということなのだが、なかなかこれは口で言っても本当に理解したり受け入れたりできることではなくて、自分が危機にあって今までの方法では自分を守ることができなくなった時に清水の舞台から飛び降りるようなつもりになって初めて理解し受け入れることができることなのだと思った。
【創作の練習】
書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫) | |
保坂和志 | |
中央公論新社 |
もう一つ大きかったのは、なかなかやりたいことがやれない、ということだった。やりたいことというのは小説を書くことで、やはり私は小説を書いているときが一番生きているという実感があるというか、書くことに生きる意味が感じられるのだけど、何を書いたらいいか分からないという感じで考えている時間がここのところ相当長くて、どうにも行き詰る感じになっていた。
やりたいことをやるためにはまずやることだ、というようなことをよく読むのだが、とは言っても何を書きたいのかがはっきりしなければかけないよ、とずいぶん悶々と悩んでいたのだ。小説を書いている間は、どんなに長い小説であっても、何というか夢のように過ぎていく。どんなに長い小説にでも終わりはあるので、書き終えてしまうとまた何を書けばいいのか悩む日々がはじまるというのが、自分にとって大きな問題だった。
ここのところバレエダンサー(あるいはコリオグラファー)への道をテーマにした『テレプシコーラ』を読んだり、ピアニストへの道をテーマにした『ピアノの森』を読み返したりしていたのだけど、あるいはまたサッカーのプレイヤー、あるいは監督を主人公にした『ジャイアントキリング』を読み返していて、たぶんそういうことで思うところがあったのだろう。何を書くということがはっきりしないならば、書く練習をすればいいのだ、ということに思い当ったのだ。
考えて見れば当たり前なのだけど、小説だって書けば書くほど上手くなるという面はある。私は昔から文章を書くのは好きだったが、小説は書き始めてからまだ10年にはならないし、自分で納得のいくものが書けたのも数少ない。作品全体ではなく一部に納得できるというものが書けたのも2007年ごろからだし、まだまだ練習が十分だとは言えない。また結局はほとんどぶっつけ本番で書いているので、細かい部分のバリエーションが十分に書けるとはいえないうらみがある。
だから書くべきものがとりあえずなければ、とりあえずはまず練習すればいいのだ、ということに気づくのが遅れた。小説の書き方みたいな本はたくさんあっても、具体的にどうすればいいかということがきちんと書かれている本はそうはなくて、その中でも特に覚えているのが保坂和志『書きあぐねている人の小説入門』のとにかく描写の練習が大切だ、という話だった。
だからまず、描写であるとかキャラクターの設定であるとか構成であるとかそういうことを具体的に練習するつもりでやればいいのだということにようやく思い当り、これで「小説を書く」ということがようやく「いつでもやれること」になったと思った。そうなると不思議なもので、書くべきシチュエーションが天から降ってきたのだ。
内容についてはまた書くべき時に書こうと思うけれども、とにかくいろいろな意味でようやく方針が立ってきた。
今でも午前中はなるべく創作の時間に当てるということでやってきたのだけど、なかなか何をやればいいのか分からず千々に乱れる感じがあったが、上に述べた三つのトレーニングというかエクササイズを実行して行けばいいなと思った。身体的トレーニングとしての活元運動、精神的トレーニングとしての『ライフヒーリング』のエクササイズ、創作力トレーニングとしてのさまざまな小説の練習。もちろんシチュエーションが降ってきたのでそれについてはまずは取り組むが、書くべきものがない時はまずは練習すればいいのだという腹がくくれたことはけっこう大きいなと思った。
【シチュエーション】
降ってきたシチュエーションというのは、生と死の間にある場所、みたいな場所だ。今まで書いていた『往還』では主な舞台が人跡まれな山奥ということになっているのだけど、それもまた人間のいるべき場所ではない、ということで生と死の間にある場所ということになる。どうも私はそういうものに魅かれるらしく、生と死と言って語弊があるとすれば、日常と非日常の境目と言ってもいいけれども、そういう場所を舞台に書くと言葉がひとりでに出て来るところがあるのだなと思った。以前書いて応募して没になった作品にも川に架かった長い橋を冬の寒い日に雪のちらつく中、車道で車がびゅんびゅん追い越して行く中を歩いてとぼとぼと渡って行く場面を書いたときに、こういう場面になると自分の中からいろいろなものが出て来るんだなということを感じたことがあった。自分の中で探るべき場所が見つかったのも、自分にとってはすごく有り難い。
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