花のような民族/「ふみふみこ三か月連続刊行キャンペーン」など
Posted at 13/01/08 PermaLink» Tweet
【花のような民族】
一昨日。久しぶりに木場周辺を散歩。バスで木場駅に出、洲崎神社を参拝した後、木場公園へ。朝のうちは晴れていたのに午後は曇ってきたが、薄日が差していてそんなに寒くなかった。たこを揚げる人、キャッチボールをする子ども、バドミントンをする親子。何でもアリなところがこの公園の良さだなと思う。広々して木陰があちこちにある代々木公園や、ポプラ並木のきれいな水元公園もいいけど、地元の木場公園は悪くない。
アートと音楽 ──新たな共感覚をもとめて | |
クリエーター情報なし | |
フィルムアート社 |
そのあと現代美術館へ。しばらく行ってなかったが、特別展の音と美術のコラボみたいなもの(「アートと音楽 ──新たな共感覚をもとめて」)もよかったけど、常設展の充実ぶりに驚いた。現代美術館の常設展と言えばリキテンシュタインの『ヘアリボンの少女』を見に行くようなものだったが、今回の常設展にはウォーホールの『マリリンモンロー』とともに展示されておらず、それだけコレクションの充実ぶりが際立ってきたように思う。というか今回は都美館から引き継いだコレクションの展示が結構多かったんだな。日本のものが中心だった。
思ったことは、というか同行者と話したことは、日本の現代美術というのは、「きれいな作品」が多いということ。きれいじゃないと売れない、美術館に収蔵されない、という傾向がある。逆に言えば、きれいであればそういう機会が増えるということ。現代アートというのは、というかアートというものは本来、普通の意味できれいでないものもいくらでもあるわけで、ただ日本人はきれいなものが好きだから、きれいなものがつくられ、流通していくという傾向が強いんだなということ。それはそれで悪くないけど、アートが映し出す人間存在というものはきれいなだけではないわけだから、そういうものももっとリアルに評価されていかないといけないという面はあるのだけど、日本人はどうもそういうものを評価し、それも口先だけでなく金を払って評価するという面が弱いということは思った。ここから先は私が今考えたことだけど、俺は反骨精神を評価するぞ、という人はいてもそれに対し金を払ってアーチストの反骨精神による作品を買う、という人がいない。村上隆なども売れるのは海外がほとんど、というのも多分そういう理由だろう。当然ながら村上の作品はきれいなだけではない、というか見たくないものを見せられている感が強いわけだから、それを買うというのはそれだけ自我が強靭な人であるわけで、残念ながら日本人にはあまり多くないということではないかという気がする。
ただ、自分が思う人間性の本質みたいなものが表現されているなと思う作品なら、それは買ってもいいなとは思う。そしてそれは多分やはりきれいさのあるものだなと思うし、ということはつまり私も含めて日本人というものは、人間存在をある意味で「きれいなもの」だととらえているんだろうなとは思った。花のような民族なのだ、たぶん日本人は。
【「ふみふみこ三か月連続刊行キャンペーン」など】
荒天の武学 (集英社新書) | |
内田樹・光岡英稔 | |
集英社 |
昨日はお昼頃丸の内から日本橋に出て、蕎麦を食べて丸善で原稿用紙ノートを買い、朝食用のパンとレバーペーストとチーズなどを買って帰宅。しばらく休んでいたが、夕方また出かけて神保町へ。三省堂で内田樹と光岡英稔の対談『荒天の武学』(集英社新書、2012)を買う。これは今途中まで読んでいるが、(80/249ページ)今みたいな時代を認識し、また自分の立つべき足場を確認しなおしている今の自分みたいなものには参考になる、というか自分自身の眠っている部分を呼び起こしてくれるところがある本だなと思った。この本に関してはまた書くことになると思う。
そらいろのカニ (バーズコミックス スピカコレクション) | |
ふみふみこ | |
幻冬舎 |
それからせっかく神保町へ来たのだからと書泉ブックマートへ行き、とりあえず書棚をめぐっていたらふみふみこの見たことのない本が二冊あったので買った。犬も歩けば棒にあたる。『そらいろのカニ』(幻冬舎、2012)と『さきくさの咲く頃』(太田出版、2012)。この二冊は『ぼくらのへんたい』2巻(徳間書店、2013)と出版社は違え「ふみふみこ3か月連続刊行キャンペーン」の一環だということで、こんなふうにマイナーなポジションの、でもよい作品を描くマンガ家が取り上げられていくというのはよいことだなあと思った。
さきくさの咲く頃 | |
ふみふみこ | |
太田出版 |
神保町かどのガヴィアルでカレーを食べて半蔵門線と丸ノ内線を乗り継いで銀座に出、少し銀座を歩いて山野楽器や教文館書店や木村家を覗いたが、ミキモトの店頭展示の写真を撮っただけで何も買わないで帰った。
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