すべては世界に近づくためにやっている/生きようとする力と禁欲:生と知/楽しさというファクターの重要性/「抜け感」がすべてを決める
Posted at 12/11/14 PermaLink» Tweet
【すべては世界に近づくためにやっている】
今日は旧暦10月1日。旧暦では通例10月、11月、12月が冬なので、そういう意味でももう冬に入ったと言っていい。ディーラーに電話してタイヤ交換(ついでにいくつかの修理も頼んだ)を依頼したら1週間先になった。ここ二、三日天候が不順なので、みんな一気にタイヤを冬用に変える気になったのだろう。さっき運転していたら前の車の屋根に雪が積もっていた。どこから来た車だろうか。友人の波多野君のFBによると阿蘇山ではもう雪が降っているらしい。九州で雪が降るなら長野県で雪が降ってもおかしくはない。それにしてもつい最近まで夏みたいだったのに、一気に冬だ。
いろいろ目まぐるしく状況が変わって行くとき、ともすれば自分をきちんと掌握しているのか見失っているのかさえふとした拍子にあれっと思ったりすることもある。しかし私の場合、「すべては世界に近づくためにやっている」のだ、ということを忘れないようにすればいいのだ、と朝起きた時布団の中で思った。
自分自身が掌握している自分に対して、他の人からそれでいいのと言われた時、自分自身にとっては当然のことなのでなぜそれがそれでいいのか理由が説明できなかったりすることがあるわけだが、そういう機会になぜ自分がそれをそれでいいと思っていたのか思い出すことで、自分自身を再検証できることはいいことだと思う。まあ余裕がないときはそれをし切れないことも多いわけだけど。
毎朝起きぬけにモーニングページを書くことを習慣にしているのだけど、モーニングページを書き始めるとその段階でもう創作脳・文章脳になってしまう。まあそれは朝起きてまず絵筆をとっておもむろにキャンバスに色を塗り始めたり、夢で見たことを忘れないようにスケッチブックに柔らかい鉛筆でデッサンやクロッキーを描き始めることと同じで、もうすぐに「あっち側の世界」へ入ってしまう。まあそれはそれで悪いことではないし、朝起きてすぐというのは元気もあるので創作もはかどるのだけど、そうなると徹底的にそのほかのことが疎かになる一日になる。毎日創作さえしていればいいという状況ならそれでもいいのだけどまあなかなかそういうわけにはいかず、特に身体状況を自分で把握して行動を調節しなければいけない状況があるかどうかチェックした方がいい時にそれをやると、自分の体調に構わずものを書き始め、書き終えるまで振り返らなくなるから少々いけない感じになることもあるし、またそういうことが気にならなくなる。
だから今日などは、モーニングページを書くことよりも自分の身体の点検と修復の方に重点を置いてやってみたのだが、創作もまたある意味世界の近づく手段であり、まあその過程そのものでもあり結果でさえあるわけだが、しかし自分の身体を通じて世界に近づくという面もあるわけで、身体の中を探ることの方に重点を置きたい感じがするときはそちらの方を優先した方がいいと思った。まあどちらをとるかは直感を優先することになるけど、すべてはそのための道なのだと思う。
【生きようとする力と禁欲:生と知】
しばし人の生きようとする盲目的な力というものについて考えていて、そういえばヨガでそういう生きようとする力のことをシャクティと言ったなと思って少し調べてみると、それはクンダリニーと同じものであり、宇宙に遍く満ちている根源的エネルギー「プラーナ」の人体内における呼び名であるということをウィキペディアで読んで知った。
「クンダリニーは、受精後の肉体の形成にはじまり、人間を終生にわたり成熟・進化させる究極の力であるとか、あらゆる種類の神々の原料であるとさえいわれる。」
なるほどこれはすごいものなのだなというか、野口整体でいう生きようとする力そのもののことを言っているのだなということが理解できた。まあインド哲学というものはずいぶん根源的な思考をしてそれにすべて名称を与えてるのだなと改めて驚く。クンダリニーとかシャクティという名称は今までも知っていたけれども、それが自分の知っている知識体系でどこに当てはまるのかようやく理解できた感じだ。
しかしまあ仏教ではその力も含めてある意味執着の根源としてそれを否定的にとらえるフェイズもある。もちろんそういう面はキリスト教にもあるし、禁欲を要求するすべての宗教にはそういう面があるわけだけど、禁欲というのはある意味「知」の条件でもあり、知と生の間を往復する人間はある意味そういうアクロバット性が要求される。しかしそこには無限の豊饒があるわけで、世界に近づくということもまたそういうことであるのだろうと思う。
【楽しさというファクターの重要性】
少しまた仕事外で考えなければならないことが発生していたのだが、とりあえずは今日の午前中は大丈夫そうだということになり、まあそういうわけで自分の身体に対しもっと向き合う必要があるなと思ったこともあるので、今日は活元の会に出かけた。出がけに電話が何本か入ったために出るのが少し遅れて道場につくのに少し遅刻してしまった。今日は一人での活元運動の後、相互運動を二人の方としたのだが、やっている間にだんだん自分の動きが楽しくなってきた。特に、大柄な男性と組むと自分の動きも大きくなり、自分が動くことに張り合いが出て来るというか、ずいぶん楽しくなってきて、ああ、活元運動の楽しさってこういうものだよなあと久しぶりに感じることができた。そういうことを思いだせると自分ひとりでやっているときもあの感じでやればいいのだという感じになって、いい感じになりやすい。まあ何事もそうだけど、楽しさというのは重要なファクターだなと思う。
【「抜け感」がすべてを決める】
JPN(通常盤) | |
Perfume | |
徳間ジャパンコミュニケーションズ |
何となく天候が不順で雨さえぱらついていて、空はどんよりと暗く、本当にユーミンの「12月の雨」みたいな天気の中、遅刻ぎりぎりに出かけた車の中、もともとセットしてあったクラシックではどうも気持ちの切り替えができないなあと思い、何をかけたらいいだろうと車の中にあるCDについて頭を巡らせていたら、そうかPerfumeだ!と思い当った。というわけで『JPN』をかける。これが大当たり。どんよりした曇り空をいっぺんに楽しくしてくれる、「抜け」のあるサウンド。やはりポップ系の歌謡曲や、歌謡曲っぽいメロディラインのきちんとあるポップスロックみたいなものの魅力はこれだよなあと思う。今思うと宇多田ヒカルでもよかった気がするが、でもこんな雨の日は倦怠感はいらないわけで、ただひたすら「抜け」ている彼女らのサウンドは気持ちを切り替えさせるのに十分だった。
おしゃれの想像力 | |
辻直子 | |
幻冬舎 |
「抜け」という言葉を読んだのは昨日読んでいた『おしゃれの想像力』なのだけど、「「抜け感」がすべてを決める」という章があった。それはつまりは「決まりきっていない自由さ」みたいなものだというふうに自分では理解したのだけど、おしゃれでいえば着崩すとかカジュアルダウンするとか肌を見せるとかそういうことにくくられがちだけど、コンセプト的にいえば「着地点を少しずらす」、そのことによって自分らしさをより演出する、というふうに語られていた。同じアイテムでも着方ひとつで「抜け」ができる、超異素材同士を組み合わせることによって、あるいはテイストを弱めてよりパーソナルなバランスを表現することによって、真逆なものを加えることで行きすぎを弱めて二面性を持たせることによって、「抜け」を表現する。まあこれは全くワクワクするような叙述で、自分が着こなしを考えるときに意識することばかりだし、また今いちになりがちな時にこうしたらいいというヒントにもなっていて、昨日読んでいるときはわりと「当たり前じゃん」的な感じで読み飛ばしていたのが、実は強烈に印象に残っていたらしい。
パリ流 おしゃれアレンジ! 自分らしく着こなす41の魔法 | |
米澤よう子 | |
メディアファクトリー |
ジェーン・バーキン perfect style of J (MARBLE BOOKS Love Fashionista) | |
メディア・パル |
昔からそういうことはよく考えてはいたが、少し前に「パリジェンヌのおしゃれ」的な本を読んでから特にそういうものを強く意識するようになり、ジェーン・バーキンやカトリーヌ・ドヌーブの着こなしなどにすごく興味を持つようになっていたのだが、バーキンが存在そのものが「抜け」みたいな人なのに対し、ドヌーブは正統派美女であるのに『赤いブーツの女』みたいな変な映画にも出てたりしてむしろこの人どういう人なの?と感じさせるところが面白いのだけど、今回この本を読んでて印象に残ったのはブリジット・バルドーだった。「BBの無造作だけどニュアンスのあるヘアースタイルに憧れます。フランス人らしい「抜け」を感じるから」という記述にまさにそうだなあと思った。あの豊かなブロンドヘアーを持ったり下げたり真ん中分けにしたり自由自在。彼女の髪型は何であんなにニュアンスがあるのだろう。確かにまさにそれはフランス的、と言ってもいいかもしれないと思った。
Catherine Deneuve―perfect style of Deneuve カトリーヌ・ドヌーヴ パーフェクトスタイルオブドヌーヴ (MARBLE BOOKS Love Fashionista) | |
マーブルトロン |
ブリジットバルドー パーフェクトスタイルオブベベ (マーブルブックス) | |
メディア・パル |
まあそういうわけで、私という人間は下手をするとすぐ一色になりがちな人間なので、それを何よりも恐れているところがあり、常に「抜け」を作って自分にジャストフィットなライフスタイルを追求するということになっているのだなと思う。だからクラシック一色に染まったり、田舎暮らし一色に染まったりすることができない。そこにポップスや都会的な「抜け」を作ることで一気に自分の生活が華やぐ。結局おしゃれにしても生活にしても仕事にしても何にしても、常に「抜け」を作ることでいかに自分らしさを作るかということに血道をあげているのだなということが実感できた。たぶんこういう文章もそういうことばかり考えて書いているんじゃないかという気がする。だから何を最終的に言いたいのか分かりにくくなってるんじゃないかと思うが、いずれにしても「抜け」のない文章は書いていると自分が死にたくなるので難しいなと思う。
そんな雨の日の午後。落葉松の黄葉が美しい。
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