散歩一回目/「特集・ヤンキー」/子どもの夢は自立/顔を描くときに脳みその中も描く/ノリと気合/散歩二回目
Posted at 12/11/12 PermaLink» Tweet
【散歩一回目】
今日は昼ごろ東京駅に出かけ、ユニクロで少し服を買った。モバイル会員にならないかと言われていいですよと言って会員登録をしていたらやたらと時間がかかってしまい、お店の人に恐縮されてしまった。そのあと丸善へ行って本を物色したが何も買わず、オアゾの5回の蕎麦屋で盛と天丼のセット。食後に蕎麦湯が来たがなかなかねっとりしており、これは確かに蕎麦粉をお湯に溶いているのだなと思った。蕎麦も東京の蕎麦らしく、なかなか美味しかった。
おしゃれの想像力 | |
辻直子 | |
幻冬舎 |
丸善は丸の内本店が2階のコミック売り場が工事中でほとんどマンガを見られなかったので結局食後に日本橋店まで歩いた。文具売り場でモーニングページ用の原稿用紙ノートを二冊買った。最近は創作の第一稿もこのノートに手書きで書いているのでかなり冊数を使う。
原稿ノート タテ セミB5 C167 | |
ライフ |
それからコミック売り場に行ったが結局何も買わず、1階でちょっと気になった辻直子『おしゃれの想像力』(幻冬舎、2012)を買った。これは基本的にスタイリストの著者が女性の服装のコーディネートについての考え方について述べた本なのだけど、どうもいろいろなことに通じることが書かれている気がする。蛯原友里をモデルにいろいろな表現をしていて、さすがだと思った。
硬派銀次郎 第1巻 | |
本宮 ひろ志 | |
サード・ライン |
【「特集・ヤンキー」】
帰ってきてポストをのぞくとジブリの広報誌『熱風』の11月号が届いていた。特集は「ヤンキー」。故・ナンシー関によるおたくとヤンキーの対立構図の話や、イギリスの労働者階級の60~70年代のモッズとロッカーズの対立構図や、ヤンキー文化と重ねて語られている相田みつをやいわゆる元ヤンの有名人たち、あるいはビジュアル系アーティストたち、そのた綺羅星のごとくヤンキー系有名人の名前が挙がっていた。しかし面白かったのは本宮ひろ志のインタビューで、『硬派銀次郎』(リンク先は電子書籍)というマンガの話。先ず主人公は親しみが持てるいい顔が描ければあとはどうでもいいと決め、第二に何を売りにするかという話で、それが面白かった。
【子どもの夢は自立】
自分の子どもが4歳くらいの時に冷蔵庫を開けて「アイスを食べていいか」と聞くから「自分で決めろ」と言ったら決められなくて泣き出したのだという。私だったら間違いなく「じゃあ食べる」と言って食べたと思うが、本宮は泣いてる子どもに「食べていいよ」と言ったら嬉しそうに食べたのを見て、「子どもの夢ってのは野球選手やサッカー選手なんてそんなきれいごとじゃなくて、絶対自立だ!」と思って、主人公の売りを「中学生だけど働いて自立していて誰からも文句を言われる筋合いがない」というものにしたのだそうだ。ってことは私は子どものころから自立していたということなんだろうか、と思ったのだが。
それで3番目に考えたのがストーリー、4番目に考えたのが「時代の風」なのだという。少年ジャンプで書いていた時はずっと時代の風を吹かせてホームランにする、という戦いをずっとしていたのだそうだ。「男一匹ガキ大将」は確かにそういうマンガではあった。
「ホームランってのはね、地響きするんですよ。野球場でバッターがホームラン打つと、スタジアムがドーンとなって震えるじゃないですか、あれと同じように社会現象としてね。」という言葉も印象深かった。
【顔を描くときに脳みその中も描く】
それから、「俺のファンは一人もいない」というのが基本スタンスだというのもなるほどと思った。マンガはつまらなければすぐ消えていく世界だから、名前で連載などできないという意味だ。また、彼のマンガの女性は奥さんのもりたじゅんさんが描いているのだそうだが、魅力的な女性はなぜ描けるか尋ねたら、「鉛筆で顔を描くときに脳みその中も描くの」と言われたのだそうだ。これもなるほどなあと思った。
【ノリと気合】
世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析 | |
斎藤環 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
また斎藤環のインタビューで最近作の『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(角川書店、2012)の話をしていて、若者文化にはオタク・サブカル・ヤンキーの三つの区分があるが最近はサブカルの勢力が弱まってオタクとヤンキーの二極対立構造になっているという話になって、サブカルというジャンルが一番私が近いところにいたものかなと思いちょっと読んでみたいと思ったので夕方神保町に出かけたときに三省堂で立ち読みしてみたのだが、あまりにヤンキー系有名人の名前が並んでて少しくらくらしてしまったので結局買わなかった。今少し『熱風』を読み返していて「ノリとキャラが理解できないとスクールカーストで下位になっちゃう」という話が出ていて、ヤンキーの要素はノリとキャラみたいな感じになっていたが、まあヤンキーかどうかはともかくノリというものの重要性は確かにあるなあと思った。
つまりノリというのは意味のない会話をどこまでおもしろがれるか、みたいなところがあるわけだけど、まあ高校から大学にかけてノリということに関してはどんどん「よく」なっていったなあと思う。しかしノリの会話には論理的構造がなく、そういう人間が強者である学校社会に過剰適応した子は社会になると使い物にならなくなる、という話も分かる気がした。社会でも「ノリ」的な部分はないことはないがそれだけではやってけないことは確かで、確かに新社会人の完全に勘違いしたヤツというのはノリだけで社会を渡っていこうとするヤツだよなと思ったりした。そしてその「ノリ」というものはそれに乗りきれない人間に疎外感を与えるものだからまあ結構良し悪しであることは確かなのだ。
あともう一つヤンキーの要素として取り上げられているのが「気合」であり、何でも気合でやってしまうという点では明治維新も太平洋戦争もそうだという話になっているのはまあそういう面もなかったとは言えないかもしれないがちょっと飛躍しているかなという気はなくはない。しかしたとえば日本の人文系の論壇には論理の飛躍を良しとする部分があり、その典型が小林秀雄だという話があって笑った。小林を理解するには確かに気合がいるところがあり、明治維新なんかも気合がなかったらできなかったことは確かで、共産主義とか西洋の思想は論理的な破綻を嫌うが日本の思想はやや支離滅裂な部分がある方が魅力的だと思われる節があり、まあ確かにそれは日本文化的な現象ではあるのだろうなとは思った。それをヤンキーとして集約するのがどうかというのはまた別の問題なのだが。
【散歩二回目】
日が暮れてから神保町に出かけた。書泉ブックマートの隣に建築関係の古書を扱う古書店が出来ていて、そのワゴンセールで立ち読みして面白そうだった木島安史『内なるコスモポリタン』(明現社、1983)とウェーリー『イタリアの都市国家』(平凡社、1971)の二冊を買った。読む本がたくさんあっていつ読めるのか見当もつかないのだが。まあ合わせて400円なんだけど。それから三省堂へ行って仕事関係の本を3冊買い、マザーズでお弁当とみかんを買って帰宅した。
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