『(日本人)』から受けた衝撃/久々の往来堂書店/崇徳院とか貧困問題とか

Posted at 12/07/17

【『(日本人)』から受けた衝撃】

風を通すと涼しいのだが、どうも涼しすぎるようで少し体が変な感じがする。やはり夏は暑くて汗をかくくらいがちょうどいいのだと思う。冷房を入れないでこれだから体調の調整は難しい。

『(日本人)』、読み終わったら感想を描こうと思っていてなかなか読み終わらない。今のところ受けた大きな衝撃は二つ+1で、一つ目は進化心理学の話。とある心理を持つのはそれが種の生存戦略上有利であるからだ、という解釈で、これがなかなか広範囲に適用できることに驚いた。しかし進化論、特に自然選択説については私自身が納得できないところがあるのでその見解もどこまで取り入れるべきか迷っている。それが一つ目。

二つ目はグローバル化の話。グローバル化は地球規模で貧富の差をなくしていくという一見無謀な見解は理屈ではよくわかった。またリベラルデモクラシーが今のところ唯一の政治的グローバルスタンダードであるという主張もよく理解できた。この本のいいところは、そういう主張の根底にある理論を理屈通り分かりやすく説明しているところにあると思う。そのあたりのことについて、こういう主張をする人たちのいうことが読む以前よりきわめてよく理解できるようになった。

+1というのは日本の中世農村の戦乱や飢饉のひどさについての描写で、「14 フクシマの空虚な中心」で引用されている。私も日本中世についてはそれなりに読んできたつもりだったので餓死や戦乱のありさま、人身売買などについてのかなり凄惨な描写は一体論拠はなんなんだろうと思ったのだが、参考文献として挙げられている藤木久志の著作を昨日少し立ち読みしてこういう研究があったのだと目を開かされた。

このように、この本は自分が今までなんとなく寄って立っていた知的バックグラウンドみたいなものと違う出発点のものを論拠に現代の世界を描き出していて、なるほどそういう角度で見ると世界はそういうふうに見えるんだなあという感慨を持った。そういう知らない景色を見せてくれたということに関してはこの本は読み甲斐があったと思う。

問題はそういう知見を自分の見解の中にどう取り入れるかということなのだけど、それは一通り読み終わってからでないと中途半端になるのでとりあえず最後まで読み切りたいと思っている。


【久々の往来堂書店】

昨日は午後友人と待ち合わせて目白に出かけ、学習院の木立を見ながらランチ。近況をいろいろ話して目白から雑司ヶ谷界隈を散歩。たまたま見つけた絵本屋さんでBarker,"Flower Fairies of the Summer"を買った。

Flower Fairies of the Summer (Flower Fairies Collection)
Cicely Mary Barker
Warne

フェアリー系、ポエム系のものを今読みたい感じがあって、ちょうどそれにあったのだなと思う。ポエム系のものがいわゆるポエマーのポエムにならないためには、定型がきちんとしているとか、たぶんそういうことが大事なんじゃないかなと思った。そういう詩の技術的な操作をきちんとやっていると、おのずと内容もシェイプアップされていくのではないかと思った。歩いていてなんとなく展開がなくなったので副都心線で池袋に出、文京区の反対側の千駄木まで行って、久しぶりに往来堂書店へ行った。今は割と吸収欲求の方が強い感じがあるのでどれも読みたい本が多かったのだけど、昨日買ったのは一冊。大場賢哉『郵便配達と夜の国』(青土社、2012)こちらは児童書の挿絵画家をされているという方が描いたメルヘン漫画。すごく新鮮な感じで面白い。ポイントカードも作ったので、読みたい本が種切れの時には積極的に足を伸ばすようにしようと思う。新御茶ノ水から3駅なんだからなあ。

郵便配達と夜の国
大庭賢哉
青土社

【崇徳院とか貧困問題とか】

コーヒーを飲んで友人と別れ、大手町で新しいビルの地下を少し徘徊して夕食の買い物をして帰宅した。帰って録画してあった『井浦新×崇徳上皇』を見る。井浦さんの崇徳院への傾倒ぶりが半端ではなかった。ちょうど終わった時、教育テレビで茂木健一郎さんと湯浅誠さんのハートネット、貧困問題についての番組をやっていて、見る気もなく見ていたら茂木さんの本気ぶりにかなり引き込まれて見た。知らない問題というものはなかったけれども、茂木さんのそれへのアプローチの仕方や怒りの表明などがある意味すごく新鮮で、こういう姿勢とパワーを持つことが大事なんだなと思わされた次第。

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