神童伝説/天才というより霊能者/私のバイブル

Posted at 12/06/04

3週連続で週末に用事が入り、忙しくて東京滞在日程が取れなかったのだけど、ようやく一段落。二週前には母方の祖父母の法事があり、もう歳月がたったのでお骨を土に返す儀式をしたりした。人はいずれ大地に還っていく。そんなことを実感させられた。心理学をやっている従兄の娘から臨床心理士の話を聞いたり、出版社に勤めてる従弟と電子出版の話をしたり、大叔母の息子にあたる県会議員から栄村の復興の話を聞いたりしていろいろ見聞が広がった。法事というのはこういうことでもプラスになるものだなと改めて思った。先週は高校の同級会があり、相当多くの同級生が集まって楽しかった。バツイチ同士の話ができるのはこういう場なればこそ。私のブログやらなんやらを探り当てて読んでいる人もいるということもわかって可笑しかった。同じ教室で時を過ごした人たちが、31年ぶりに再会してあのころのままの魂がまた同じように弾け合うのはこういう場なればこそ。本当に対等に語り合える数少ない場が持てて本当に良かったと思う。

直近の日曜には父の論文集の出版記念の感謝会を私と母が主催で催した。まあ会場が結構華やかだったので思ったより様になってよかった。私が司会をやったので大体場がコントロールできたからそういうことでもまあ思うようにできたのだけど、結局は父と付き合いがあった人たちの話がそれぞれ面白く、まあ父の人徳によって場が成り立ったようなものだなと思う。例によって兄弟たちがすごくよく動いてくれたのでこういう時には本当に頼りになるなと思った。私の子ども時代の話とかも出て面白かった。私にはよくわからない神童伝説みたいのがたくさんあって、自分では全然覚えてないのだけど、中一くらいの時に理科年表を見てこの対数計算がおかしいとか喋ってくれた人に質問したらしい。まあどうせ何かの気まぐれだったのだろうと思うけど、いつの時代も自分の関心のあることにしか興味を持たない人間なんだなと久しぶりに思って可笑しかった。20歳過ぎればただの人というけれども、私の場合はいくつになっても変な人ではある気がする。

五重塔 (岩波文庫)
幸田露伴
岩波書店

そういうわけでイベント期間が終わり、しかしその忙しさにまぎれて平清盛を見損なったのが痛い。録画ができていれば明日帰郷の折には見ることができるが、果たしてどうか。昨日は1時半ころまで寝付けず、今朝は起きたら8時を過ぎていてモーニングページもラジオ体操もしそこなった。昼ごろ大手町に出かけて丸善で本を物色し、幸田露伴『五重塔』(岩波文庫、1927)と島田裕巳『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いか』(幻冬舎新書、2012)を買う。早めにMCカフェでカレーセット。正午、4階ギャラリーで井上円了展。入場したら東洋大学125周年記念トートバッグをもらった。後で見てみると中に小町桜の精のクリアファイルと百鬼夜行図のブックカバー、四聖像と鶴亀双紙のポストカードが入っていた。気合が入ってるな東洋大学。

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)
島田裕巳
幻冬舎

帰ってきてうつらうつらした後、甲野善紀氏のメルマガを読む。今氏は在米中なので過去の甲野氏と名越康文氏の対談が収録されていたのだけど、その中で述べられていた野口裕之氏の話が面白くて仕方なかった。整体指導をして背骨を見ているだけなのにそれを通じて名越氏の記憶まで読んでしまったのだという。名越氏は野口氏のことを「天才とはこういう人のことだと思った」というけれども、話を読んでいると天才どころではなく、ある種の霊能者だと思った。江原啓之氏がいろいろなものが見えてしまうからそれが現実にいるものなのか見えているだけなのかわからないから危なくて自動車が運転できないということを言っていたけれども、背骨を読んでいるうちに実際に体験したのか読み取っただけなのかわからなくなって記憶が混同してしまうという話になって、なるほどそういう人なんだと腑に落ちたのだった。

意味がなければスイングはない (文春文庫)
村上春樹
文藝春秋

なんとなく村上春樹『意味がなければスイングはない』(文春文庫、2008)の「ゼルキンとルービンシュタイン 二人のピアニスト」を読み返してルービンシュタインの弾くシューマンが聞きたくなり、三時くらいにまた出かけて今度は銀座へ行く。山野楽器で少し探したがシューマンのコンチェルトがあったのでそれを買った。それから教文館へ行ったらこうの史代『ぼおるぺん古事記』(平凡社、2012)が出ているのを見つけ、購入。平凡社のサイトで連載されているのを読んで面白いなと思ってはいたが、思ったより良かった。20歳のころの『絶対安全剃刀』に並ぶ私のバイブルになりそうな予感がした。

ぼおるぺん 古事記 一
こうの史代
平凡社

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