力が湧かないモード/成果が上げにくい時代における現代の花形

Posted at 12/04/21

【力が湧かないモード】

木曜日、ずっと懸案になっていたことが思いがけない形で簡単に解決したので、気負っていたものがどどっと崩れて昨日はほとんどのんびりというか力が湧かないモードで過ごしてしまった。仕事の方はそれなりに忙しかったりしたので昨日もだいぶ疲れたのだけど、今朝起きたら8時を過ぎていて朝食の時間に大幅に遅れた。疲れが出たのと気が抜けたのと。まあ次に再起動するまでにからだを柔軟にしておくために余計な疲れを抜いておくのはよいことだとは思うのだけど、いろいろなことの後始末をちゃんとつけておかないと再起動のときに大変だなと思って、少しは物事を片付けようといろいろやっていたら、案の定やっておいた方がいいことはいろいろあって、それなりにひょんひょん片付けた。

昨日は所得税が口座から落ちる日だったのだけどパソコンの方のメールに「落ちてないよ~」という通知が来ているのに気づいたのが4時過ぎ。慌ててお金の入っている口座からおろして指定口座の銀行が近くにないのでセブンイレブンに走ってお金を入れたら一瞬で落ちた。まあやっぱり便利と言えば便利だな。現代の文明の利器。

ニュースキャスター (文春新書 854)
大越健介
文藝春秋

それでも今日の午前中はまた『進撃の巨人』を読み直したりして過ぎてしまった。おとといに買った大越健介『ニュースキャスター』(文春新書、2012)が面白く、その感想を書こうと思ったのだけど、どうも今一つ書く気にならない。この人は大学で同じ学年で野球部のエースで出身校から多分史上初めて日米野球に出場し、マグワイヤと対戦した経験もあるという人なのだが、とても真摯な姿勢で報道に取り組んでおられるのだなということが強い印象に残った、ということは書いておこう。


【成果が上げにくい時代における「現代の花形」】

話は違うが、最近はネットで話題になっている本なども、「どうやったら成果を上げられるか」というテーマの本ばかりになってるなという気がする。昔からそうだったのかもしれないが、最近特にそういう傾向が強くなっているのではないだろうか。それだけ成果が上げにくくなっている時代なんだろうなと思う。普通にやっていればだれでもそれなりに成果が上げられ、それなりに生きていける右肩上がりの時代やバブルの時代とはもう違うんだなということ。でも逆にいえば、どうやれば成果が上げられるのか、ということを自分で調べることは昔はできなくて、とにかく体当たりで現実に取り組んでいくしかなかったわけだけど、今では成果を上げられることを指南するものは本でも商売でもいくらでもある。

大学受験の勉強などでも、今から思うと私たちの高校時代にはろくな参考書もなかったが、最近の参考書の充実ぶりは本当に目を見張るほどで、こういうものが当時あったらもっと楽に勉強できたのになあと最近の若者がうらやましいのだが、でもそういうものも誰もが生かすことができるわけではないのだなあということも分かってきた。

ある意味、現代の花形というのは、「いかにして成果を上げるかを指南するという仕事」なんだなと思う。どうにかして成果を上げたい人、それを望んでいる人は多分すごく増えているのだろう。昔ならそこまでやらなくてもよかったのにという人も、それを求めるようになっているのだと思う。

そして、やる気のある人、努力を惜しまない人なら成果を上げるのが昔に比べてやりやすくなっていると思う。ただどの方法を取ればいいのか、誰に学べばいいのか、どういう姿勢で努力すればいいのかと言った「人間としてのセンス」の有無、多少というのがはっきりと反映するようになってしまって、そこに如実に差が現れてしまうというところが出てきたんだろうなと思う。

みんなをすくい上げるような大きな手の持ち主がいなくなっている。というか、右肩上がりの時代には、どんな人でもそれなりのポジションをもってみんなで前に進んでいくことが可能だった。右肩下がりの時代は、誰を船からおろすかという問いが突きつけられてしまう。その時に、船から降りてもひとりでやっていける力があるかないかが大きなポイントで、人に運命を預けてしまうようなタイプが生き残るのはたいへんになってしまっているのだ。

たとえ大企業だって公務員だっていつどうなるかは分からない、もし降りてもやっていけるだけの力を持っているかどうかということが大きいのだけど、右肩上がりの時代のパイの分け前の分捕り合戦の発想から離れられない人が多くて、何か木嶋佳苗とかがそういうものの象徴みたいに見えたりする。

私はこういう時代はそう嫌いではないけれど、こんなはずじゃなかったと思ってる人は多いんだろうなとは思う。発想を転換して、こういう時代だからこその面白い生き方、楽しい生き方ができる人たちが多くなれば、日本も再び強くなる、反転攻勢のきっかけになるんじゃないかとは思うのだけど。

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