やってみなければわからない/より深い人生の喜び/『聞く力』読了
Posted at 12/04/06 PermaLink» Tweet
久々に小説を書いているのだけど、今回はファンタジーではなくて自分の人生の中で経験したことや考えたことなどを題材にして書いているので、どうもいつもと感触が全然違う。ファンタジーを書くときは向こう側の世界に行かないとかけないところがあるが、こういうタイプの小説を書いていると現実の世界に向き合わなければいけないところが多いし、それでいて文章の粘度とかせりふの表記の仕方とかいろいろなところが気になる。現実とか経験とかを加工して書く、という経験はそういえばしたことがなかった。今まである事件についてほとんど実話的に描写してみたことがあったけど、だいたいそういうものは上手く行かない。あったことや交わされた会話をそのまま書いてみても、その場の雰囲気のようなものは全然出て来ないし、事件というものはどうしても一つ一つがひどく特殊な状況で起こっているので、状況を説明しているだけでこれは誰との間に起こったことだとかが読む人が読めば分かってしまう。書きたいことの中には他言をはばかることも多いし、そういう意味ではきちんとフィクションにして描かなければならない。そういう中で状況をどのように設定するのかが問題になってきて、書きながら状況設定をいろいろいじくらなければならなくなってくるのだが、そうなると書きたいことが書きやすいように状況をいじることもできるし、そういうふうに考えるとこれはそれなりに面白いなあとも思う。どんな作品になるのか、どんな方法論を自分でつかむことができるのか、まだよくわからないが、けっこう面白いかもと思えてきた。
これを書きながら思ったことだが、結局、私の人生に対する中心の哲学は、「やってみなければどうなるか分からない」ということだと思った。結果を考えてもうまくいくかどうかわからないから、まずやってみてうまく行かなかったら変えたり直したりしたらいい、という考え方なのだ。で、私はこの哲学を生きている中でだんだんに身につけてきたのだけど、そういうふうに考えてやってみてうまく行った経験があるから、まあたとえば大学入試を現役で合格できたことなんかなのだが、そういうふうに考える傾向が強くなっているのだが、もちろんやってみてもうまく行かなかったことも多い。そういうときはなぜうまく行かなかったのかを考えてみると、こだわりとかプライドとか感情的な理由で何かをはじめたときが上手く行かないことが多いということだと思った。あとは打算的に動いたとき。どうも私は、結局利害とか感情とかにそんなにこだわりを持てない方なので、そういう動機だと長続きしないのだと思う。長続きするのは、「楽しそうだからやってみよう」と思った時だ。これはまあネットは典型だが、日記とかブログとか詩とかは1999年に書き始めてもう14年目に入っている。
ただ、この「やってみないとどうなるか分からないからまずやってみよう」という哲学は誰にでも通用するわけではないのだということが最近ようやく分かってきた。結局、みんな成功が約束されないと動きたくないのだ。まあ人と話をするときはこうだから多分大丈夫だよとかいろいろはいうけれども、おそらくはみんなもっと頭の中で考えて形がちゃんとできるまで動かないようにしようと思っているのだろう。私は頭の中でうまく形ができない、というか頭の中でしっかり作ってしまうと現実にはその通りにはいかなくて結局二度手間になったり修正が難しくなったりするので、動きながら臨機応変に直して行くというのがスタイルになっているけれども、以前はやはり完璧なシュミレーションができるまで動けなくて、結局何もできないということも多かったなあということを思い出した。
まあ私の場合は少し早く動きすぎではあると思うし、より大きなプロジェクトならもっと考えて深めておかないとうまく一本貫けないということはあると思う。そうか、書いてみて思ったが、私はその場の臨機応変というかアドリブ的に何とかして行くという感じの方により深い人生の喜びを感じられる、と感じているのだ、おそらく。それをやっている中で到達する目標がはっきりしてくるとそこに行くためにどうしたらいいかというふうに考えを変えたり、目標自体も臨機応変に変えたりしていることもある気がする。このへんの所もう少し考えてみると面白いかもしれないな。
聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書) | |
阿川佐和子 | |
文藝春秋 |
阿川佐和子『聞く力』読了。一気に読んだ。昨日書いたところから後でも、デーモン小暮閣下の話、英語でのインタビューのコツ、渡辺淳一の話、是枝裕和の話、美輪明宏の話と面白いものがどんどん出てきて、天然の才筆という感じがした。一番へえっと思ったのがデーモンさんの話で、ロックに詳しくない阿川さんは閣下にへヴィメタってなんですか、と聞いたのだそうだ。そうしたら閣下は懇切丁寧に説明してくれて、ロックの中でも速さと激しさを追求したのをハードロックといい、早くて激しいけれどもその中にドラマチックだったり仰々しかったりする「決めごと」を入れて、それを全員でぴったり合わせる、というような様式美のあるものをへヴィーメタルというのだ、と説明してくれていて、これは私もそんな明快な定義があるとは知らなかったので、目から鱗だった。まあ私のハードロック視聴歴はレッドツェッペリンとディープパープルで終わっているのでまだ分化が進む前だからしょうがないと言えばしょうがないのだけど。それでなぜへヴィメタではボーカルが高い声になるのかというと、あれだけの轟音の中で演奏しているから、低い声だと聞こえないので必然的に皆そうなったのだという。まあデーモンさんは説明はうまいとは思っていたけど、この説明も実に明快で納得してしまった。さすがだ。阿川佐和子さんは昔からファンではあったけど、この本は自分がそう思っていた理由が納得できる一冊だなと思った。
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