阿川佐和子『聞く力』
Posted at 12/04/05 PermaLink» Tweet
気がつくと二、三日更新が滞っている。毎日更新していたころは忘れても一日だったけど、隔日にすると一日忘れると二日間が開いてしまうわけだ。更新回数を減らすことが本意なのではなくて、集中して書いた文章を掲載しようというのが目的なのだが結局なかなか集中して書く時間が取れず、短い時間に書いたものを掲載することになってしまう。
『大往生したけりゃ医療と関わるな』は読了。面白かったので母に渡した。母もわりと面白く読んでいるようだ。日曜日に買った幸田文『きもの』(新潮文庫、1993)はしみじみと滋味があって面白い、という感じなのだがなかなか読み進められない。作者の子供時代の、明治中期の話のようで、昔の人は本当にものを知ってたんだなあと思う。着ものの肌触りが伝わってくるような、何とも言えないいい本。
昨日は少し体力的にハードな仕事があって、これは無事に終わった。火曜日が4時起きで、水曜日も夜中の3時に起きてしまってそのあとまともに寝られなかったので昨日はだいぶ疲れてしまったのだが、昨日の夜は普通に寝られて今朝も起きたのは6時過ぎ。このくらいだとまあいつものペースだという感じだ。冬の間はこの時間だとまだ暗くてなかなか起きられないのだけど、今はもう明るくなっているのでそんなに抵抗なく起きられる。今朝は起きてモーニングページを書いてセブンイレブンにモーニングを買いに行って読んだのだけど、『宇宙兄弟』がすごく良くて感動した。
午前中はいろいろやっていていろいろなことを考えていたのだけど何を書こうかがまとまらず、11時ごろ車で書店に出かけて本を物色する。結局買ったのは最近少し気になっていた阿川佐和子『聞く力』(文春新書、2012)。阿川佐和子は学生時代にTBSで夜のニュース番組に出ていた人、という印象だが壇ふみとの文壇二世子女ものみたいな本とかも出している印象がある。学生時代はきれいな人だなあという印象を持っていて友人にも言ったのだけど、あまり同意してもらえなかった。でも多分、私が好きなタイプな人なんだろうなと思う。
聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書) | |
阿川佐和子 | |
文藝春秋 |
ああそういえばTVタックルにも出てるなということに今気がついた。三宅さんのお気に入りだったなそういえば。これはインタビューの経験談を語る、というような本なのだけど、浜口京子がアテネ五輪で金メダルを逃したときにどうやって気持ちを切り替えて三位決定戦に臨んだのかとか、ヤンキー先生が事故で入院した時に恩師の先生が何と言ったかとか、何か読むだけで泣けて来る話がいくつもあって、それだけでも読んでよかったと思った。
そういえば今日の『宇宙兄弟』がいいと思ったのもそういう話で、天文学者シャロンの夢を実現すると約束したムッタの話に感動したバトラー室長(この人いつの間にか重要なキャラクターになってる)がエディ・J(弟のブライアンが大気圏突入の際の事故で死んでいる)にムッタの属するバックアップクルーの船長になってくれと交渉に行く。ISSではベテランでも月面探査チームの経験がないエディは、バイオリンは20年弾いてきたがピアノは弾いたことがない、いまさらもうやるべきことはやった、という。バトラーはエディに「あんたのピアノが聴きたいんだ」という。このあたり、アメリカ映画っぽくて話の展開が好きだ。夢を実現するための努力、それを支える人々。
生老病死を四苦というけれども、老も病も死も結局生の変容に過ぎないわけで、そういう意味ではすべての苦しみは生きていることから来ているわけだ。だから苦というものが一つだけあるとするならば、それは生だということになる。人生というものは喜びもあるけれども、苦しみもある。生きている限り苦しみからは逃れられないのならば、むしろその生きていること自体を楽しまなければならないだろう。
だから小説などでもこの世に生きていることを書いたら結局苦しみについて書くことになるわけだからどうもあんまり気が進まないというかこの世以外のこと、ファンタジー的なものを書きたいとずっと思っていた。
しかし今日、そういう感動話みたいのを読んでいると、どうしてそういうものに感動するかと言えば、この世に生きていることが苦しいからこそそういうことに感動するわけで、その感動を描くためには苦しみを書くこともまあある程度は仕方ないのかなという気がしてきたのだった。
というわけで、しばらく普通の意味での小説を書いてみようかなと思う。子どもが主人公ではなく、大人を主人公にして。
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