小澤征爾『ボクの音楽武者修行』ほか

Posted at 12/01/31

【小澤征爾『ボクの音楽武者修行』】

ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)
小澤 征爾
新潮社

しばらく前に買った小澤征爾『ボクの音楽武者修行』(新潮文庫、1980)を数日前から読んでいて読了した。これは小澤と村上春樹との対談を読んで小澤の修業時代に興味を持ったからで、バーンスタインやカラヤンとの交流についてもっとヴィヴィッドに書かれているんじゃないかと思ったのだけど、そういう本ではなかった。しかしヴァイタリティにあふれ、順風満帆で破天荒で、エネルギーのかたまりのような感じの人だったんだなと思う。時代は1960年代初め、私が生まれた頃、小澤はまだ26歳ごろのことなのだが、海外の二つの主要な指揮者コンクールで優勝して、あっという間に2年先の予定まで埋まるような人気指揮者に駆けあがって行くさまがリアルタイムに描かれていてそういう坂道を駆けあがる過程の一人称の語りという点ではなかなか他にない作品なんだろうなとは思った。いまでも小澤はどんなに体調が悪くてもヴァイタリティを感じさせる人だけど、若いときは本当に純粋なエネルギーのかたまりみたいな人だったんだろうなと思った。

種になっているのがその時その時に日本にいる弟に送られた手紙で、そういう「家族への便り」の持つ暖かさが現れているところもいい。満州育ちのおおらかさというようなことがよく言われるが、小澤という人は本当にそうなんだろうなと思う。征爾の征は板垣征四郎から、爾は石原莞爾からとったというのは嘘のような本当の話でちょっとびっくりした。小澤の父が彼らと交流があったのだという。主に海外での体験談が中心なのだけど、1960年代の日本の、坂道を駆けあがって行くような明るい雰囲気がこの本の中にあふれている気がした。

【『C.S.ルイスの秘密の国』】

C・S・ルイスの秘密の国
すぐ書房

買ってあったまま読んでなかった『C.S.ルイスの秘密の国』(すぐ書房、1998)を読み始めたのだが、どうも今一つ面白くない。彼が自分のことをジャックと呼んでいたとか、幼年期に北アイルランドで育ったとか、情報的には知らなかったことがあるのだが、彼の書いた童話のようには彼の伝記はあまり面白い感じがしない。彼自身にそんなに興味があるわけではないので、これは読むのがなかなか辛い本だなと思った。ルイス関係の本はもう一冊持っているが、それもちゃんと読めてはいない。『ナルニア国物語』シリーズは何十回も読み返しているのだけど。

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