告知・『本の木の森』PC版の表紙を変えました/生き方とか人のたましいとか/部屋に名前をつけてみる
Posted at 12/01/30 PermaLink» Tweet
【告知・『本の木の森』PC版の表紙を変えました】
『本の木の森』のPC版の表紙を変えてみた。まともなグラフィックソフトが使えなくてウィンドウズ付属のペイントを使っているために十分なものにはならないのだけど、やはり画像があると表紙は表紙らしくなるなと思う。『ガール』もそうだが、最近丸善で見つけた加藤木麻莉さんの素材集を使わせてもらっている。東京で使っているデスクトップの背景にこちらの絵を使わせてもらったりして、いろいろ楽しい。
For Princess 夢みるガーリィ素材集(DVD付) | |
加藤木麻莉 | |
ソフトバンククリエイティブ |
この方の絵はファンタジーがありながら、細部がきちんとしているところがいい。「ガーリーな」素材集と書いてあって、そうかガーリーなのかと思ったりするが、まあ私がいいと思うのだからいいんだという感じ。私は山田章博とか中村佑介とかも好きでそれとの共通性も感じるのだけど、やはり女性にしか描けない絵なんだろうなあと思う。
一度お支払いいただいてダウンロードされた方は何度でもダウンロードできるので、よろしければ表紙も変えてみていただければと思います。
【生き方とか人のたましいとか】
人にはいろいろな生き方がある、というのは当たり前のことなのだけど、自分の生き方というものはどういうものなんだろうと思うとけっこう難しかったりする。自分の物理的な姿を確認するなら鏡を見ればいいわけだけど、自分のたましいを映す鏡というのは物理的にはないわけで、群盲象を撫でるというか、腕とか足とか腹とかを見つつこんな感じかと想像するしかない。まあ物理的に鏡に映しても左右反対になっているわけで、実際写真を撮ってみると髪の分け目が反対でいつも驚く。ことほど左様に人は自分のことは見えにくいのだけど、自分のことだけではなくて人のことだって見えているようでなかなかちゃんと見るのは難しい。
子どもと言うのが柔軟で、大人というのがかたばっているのは、子どもはこれからどんな生き方でも出来るし柔軟に生き方を変えていけるけれども、大人はそうは行かない、ということはあるんじゃないかと思った。とはいえ、私はいつでも生き方を変えられる自由を持ち続けていたい、と思っていて、そう出来るんだと思っているところはある。
逆に言えば、生き方を選べる自由を持っているのが子どもで、それをなくしたのが大人だ、ということも言えるかもしれない。私はいつでも生き方を変えられる柔軟な精神と身体を持っていたい、ということなのだ。
しかし実際問題として、いつでも自由に出来るかというとそう言うわけには行かず、実家にいるときは仕事もあるし親戚づきあいや仕事関係やらいろいろな人間関係やさまざまなスペックがあって、生き方というかその時間をすごす姿勢のようなものがおのずと決定されている時間が長い。東京に出てきているときはそういうスペックから解放されるので自由に時間の過ごし方を決められるのだが逆にそれゆえに不決定のだらだらになりやすいということもある。
ニュートラルになれる時間というのは必要なのだけどそれはいつでもいろいろな方向にオンになれるオフの状態、スタンバイ状態になるように充電していかないといけないなと思う。身体の緩めと引き締まり。
「人を緩ませる」ということをコンセプトにした生き方もあるし、国家への貢献に人生を捧げるというコンセプトの生き方もある。前者は身近な人へも恩恵を実感させやすいけど、後者は必ずしもそうでなく、生き方の意味が抽象的・観念的に受け取られやすいだろうと思う。おそらくは本人も。
いろんな人にはいろんな生き方があって、そういういろいろな生き方を書くのが小説なんだな、と思った。好きな生き方も嫌いな生き方もあるが、どんな人間も生きている以上生き方はある。ふと思うと、『大菩薩峠』に出てきた人物像が自分が以前書いた戯曲の人物像に反映したりしていて、時代小説などを参考にしたほうがそういう生き方の観察の幅が広がるなとも思う。
人の生き方というのは頭とか言葉のレベル、ないしは感情のレベルや思いのレベルで決まるわけでは必ずしもなくて、もっと深い「無意識のレベル」からとらえて書かなければ魅力ある小説にならないのだと思う。生きるのをこわがってしまう人とか、無意識にやたらと生きてしまう人とか、世の中の流れに乗るのに汲々としている人とか、自分たちだけで楽しむことに夢中になっている人とか。
そういうふうに人を見るというか、たましいを見ることが大事だなと思う。仲間意識を持って人に何かをやってあげたり感謝したりされることを楽しみとして生きている人もいるし、本当にいろいろだ。
うまく書けている小説やマンガは、小さいキャラクターにも何か生き方を感じさせる。捨てキャラにも人生があるというか、古人いわく一寸の虫にも五分の魂というか。
三河物語―マンガ日本の古典 (23) 中公文庫 | |
安彦良和 | |
中央公論新社 |
本棚を整理しながらマンガ日本古典全集の安彦良和『三河物語』を読んでいたら、一心太助が侍を選ぶか百姓を選ぶか町人を選ぶかというときに、生業というよりも生き方の問題として考えているのがあって、生き方というのはたましいの落ち着きどころということなんだなと思う。
生き方によってリアリティの感じ方が変わってくるけど、たとえば食事のリアリティというのは貧しい食事をガツガツ食べるほうが優雅なディナーを楽しむというよりもあるなと思う。優雅なディナーというのは食事というよりはある種の鑑賞なんだなと思うのだけど、「いいものしか食べられない」人もまあいるわけで、そういうのは面白いなと思う。
まあそんなふうに人の生き方とかたましいとかを見て行きたいなと思った。いろいろ考えて、自由に生き方を変えられるのがいいとか最初に書いたけど、好きなことを大事にする生き方だけは結局変えられないのだろうなと思った。
【部屋に名前をつけてみる】
東京の部屋の整理がようやく動き出した。西側の畳の部屋に「リラクシングスペース」、西側の北の窓の大きな部屋に「ワークスペース」、居間に「リビングスペース」、東側の書斎に「クリエイティブスペース」と名前をつけて、整理がつかなくて積みっぱなしになっていた本やらCDやらものの群れをそれぞれの部屋の性格が要求するところに置くという流れを作ってみたら、どんどん動くようになって来た。東側の部屋に美術関係や音楽関係、童話集やら画集やら映画の本やらモーニングページやらが集まってくるとすごく性格が強化された感じがして部屋の雰囲気がよくなってきた。また完全に雑然とした西北の部屋にワークスペースと名づけてみると足りないものや余計なものがよくわかり、一気に整理の方向性が見えてきた。部屋にも名前をつけると、部屋の性格がはっきりして、たましいを持つようになるんだなと思った。まだまだ整理中ではあるけれど。
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