澄んだ目と自然な感覚
Posted at 11/12/13 PermaLink» Tweet
うまくやろうとしている時私は、人生を計算で片付けようとしている。計算で片付けようとされている人生が、幸せであるはずがない。
最近動きが雑になっていた。なぜそうなっているのか理由が分からなかったのだが、計算通りに動けば計算通りになるはずだという傲慢さが現れていたんだと分かった。
計算じゃない行き方があるはずでできるはずだ。
昨日は7時半ごろ家を出てバスで地下鉄の駅に出たら思ったよりだいぶ早かった。大手町に出たときにはまだ8時前で、新宿9時の特急に乗るにはどこかで時間をつぶさないといけない。丸の内オアゾの地下で弁当を買って、その並びの神戸屋でくるみとレーズンのパンを買った。それから東京駅北口の券売機で指定を取って、少し早いなと思ったけど構内に入った。サウスコートの書店がやっていると思い、行ってみて少し物色。構内の店舗は早く閉まるというイメージがあったけど、あれは震災直後の節電の時期だったからで、実は10時までやっていた。中に入ってから弁当を買っても十分間に合ったのだ。
宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く (光文社新書) | |
光文社 |
『宇宙のダーク・エネルギー』を読了。面白かった。天文学と物理学の最前線。アインシュタインが生涯最大の失敗と嘆いた一般相対性理論の宇宙項が、今ダークエネルギーという概念になって甦っているというのも面白いし、滅多に見つかるはずがないと思われていた超新星が、多数の銀河を同時に観測することによって効率よく見つけることができるというのもすごいなと思った。まさに発想の転換。コロンブスの卵とはこういうことを言うのだろう。
また面白いと思ったのはダークエネルギーという概念を著者たちは天動説における周転円の概念になぞらえていることで、非常に精密に計算された周転円も、天動説を地動説に変えることでいっぺんに必要のない概念になってしまったということ。周転円という精密だが不自然な仮定と、確かにダークエネルギーのような不自然な概念とはよく似ている。私が天文学が好きなのは、人間にはまだ分からないことがたくさんあるという、そういう謙虚な姿勢で研究者たちが臨んでいることなんだなということに気づいた。科学はみんなそういうものであるはずなのに、なぜ原発に関わる人たちはあんなに頑ななのだろうか。科学ではない別のさまざまな要素、つまりは政治や権力や利権と言ったこと、あるいは恐怖や県のといった感情が、明らかに多くの人々の目を曇らせている。澄んだ目と自然な感覚で対処することができれば、もうすこしましなことができるのではないか。
ブラック・ジャック創作秘話~手?治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ) | |
秋田書店 |
『ブラックジャック創作秘話』読了。これも大変面白かったが、読了して一晩明けてみると、誰が読んでも感動する言わば鉄板の作品だなと思う。エピソード的にも絵的にも面白いところは多くて、ある種マンガの黄金時代の時代の空気のようなものを感じることもできるのだけど、手塚がアメリカに行ったときにたくさんの原稿を抱えて行っていて、同室の永井豪が手伝わせて下さいと言ったらいいよと言われて手伝えなかったことをのちのち後悔したという話が、いい話だなと思った。手塚は締め切りを延ばす天才だったが、永井は締め切りに絶対間に合わせる天才なのだそうだ。それはそれでまたすごいが、言われてみるとあのころの『あばしり一家』とか、ある意味一筆書きみたいにほとんど推敲せず一回で描いたんだろうなと言う感じがする。永井豪はモーツァルトみたいなものなんだと思った。
進撃の巨人(6) (講談社コミックス) | |
講談社 |
『進撃の巨人』第6巻読了。やはりこの迫りくる異様な恐怖感はすごい。最初の数巻の疾走感がどこまで続くかと思ってはいたけれども、やや疾走感が落ちてきたけどそのぶん希望のようなものも見えてきて、またあらたな展開がある。計算できない怖さは相変わらず。寝る前に読んだせいか、起きてからすごく生理的な恐怖感とか焦燥感とかが残っていて、この作品の凄さはそういう生理的な部分にまで食い込んでくることだと思った。身体まで刺激されたのは確かだ、いい方にかどうかはともかく。
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