内面を書くかキャラクターを書くか
Posted at 11/11/30 PermaLink» Tweet
【内面を書くかキャラクターを書くか】
11月も今日で終わり。朝からいろいろ仕事をして、先ほどモーニングページを書き、今ブログを書き始めた。お腹が空いたがいまご飯を食べに行くとやらなければいけない、行動を起こさなければいけないことが動き出すので、まずブログを書いてしまおうと思う。
獣の奏者(1) (シリウスコミックス) | |
上橋菜穂子・武本糸会 | |
講談社 |
『獣の奏者』は面白い。というか机の上に第1巻を置きっぱなしにしていると、自然に目が行く。緑色の目をしたエリンの姿。魅かれるものがある。このマンガと小説のコラボが最もうまく行っているのかどうかは感覚的に飲み込めないところもあるのだけど、今ここにあるこの作品に魅かれて、何度か読み返している。2巻~5巻、探しに行くのは難しそうなのでアマゾンで注文してしまおうかとも思う。
昨日医者の話を聞いて、医者もいい加減なんだなと思い、何だかまじめにやるのがばかばかしくなって、ちょっと肩の力が抜けた感じがある。いままで父や母の入院で関わってきた二つの大病院はなんだか話が通じないというか人間と話している感じがしないところがすごくあって、こちらもすごく非人間的な冷たい要求をされている感じが強かったのだけど、昨日話を聞いた医者はあけすけだけど人間と話している感じがしたし、話が通じるんじゃないかという感を持った。教師とか医師とか、弱い立場の人を相手にする仕事というのは本当に人間性が出る。大病院だと、人を相手にしているというよりはシステムを相手にしている感じになってすごく疲れてしまう。結局私が病院や学校が嫌いなのは、相手がシステムだからなんだなと思う。村上春樹の言う卵と壁の話になってしまうからだ。
何か正直、そんなもの相手にしてるヒマはないんだよな。あと何十年生きられて、あと何十年十分な仕事ができるか分からないのに、システムに絡め取られたまともでない人間と付き合ってエネルギーを消耗するのは最小限にしたい。システムとの付き合いが最小限だから自分の心もだいぶ回復してきたんだなと思うし。
田舎にいるとなんだかんだとやることは多いし、今までは面倒で自分の仕事の全体像を把握するのも避けていたのだけど、全体像が分かった方が特に一番貴重な時間という資源をどういうふうに配分すればいいのかがわかるから、ちょっとそれはやった方がいいかなと思った。
とにかく、人に言われたようにやるのではなく、自分のやりたいようにやる。そういうつもりでなんでもやる。いやいややっていたのでは制作のテンションが下がってしまうのだ。制作のテンションを維持するのが何より大事だ。
自分のやりたいようにやる、というのは、制作の上でも大事なことだ。芝居を書いていたころ、内面が描けないのが自分の弱点だと思っていた。で、内面を書くということをテーマにしてしまってもう20年くらいになって、それでまあこんなブログを書いてたりするのだけど、それが好きかといわれるとよくわからないしまあ弱点に取り組んでるという安心感はあるからやってる、というようなところはある。
何というか、最初に書いて上演した芝居というのはけっこういろいろなキャラクターを出していて、というのはもともとは役者に「役柄」を与えて存分に「芝居」をしてもらうためにそういうものを書いていたのだけど、何というかそういうキャラクターをたくさん出してお花畑的にするのは俗っぽいと受け取られているんじゃないかなあというメッセージを何となく受け取ってしまったのだ。つまり、そういうものより内面を描いた方が高尚なんじゃないかと。それで内面病に取りつかれた感じがあるなあと考えていて思った。
というのはエヴァンゲリオンを見て、実に多様なキャラクターが描き出されていて、ああ、こういうのいいなあと思ったのだった。まあエヴァはそれぞれの人間の内面、あるいは内面みたいなものをけっこう描き出してはいるけど、でもやはり内面というよりはキャラクターなんだと思う。内面過剰で物語の枠が崩壊している芥川賞作家の作品みたいなものではなくて、あくまで物語の枠の中で人は動いている。それを相対化したりするところもあるけどそれはあくまで意識的に行われている。物語の枠は尊重されている。
私も最初に書いた芝居ではそういうキャラクターをたくさん作るのが好きでその行動をそれぞれどんどん過剰なものにするのに熱中し、その過剰さを推進力にして物語を展開させていたのだけど、内面病に取りつかれてからは物語の枠というものをあまり考えなくなってしまってそれでうまく行かなくなってきた面はあるなと思う。
まあ書いていて思うのは、結局私は内面のこととかに本当はあんまり関心がないんだよなということ。関心を持たないといけないなと思うからとにかくいろいろ書いてきたけど、それでブログもそれなりに読んでもらってきたからそれを励みに書いてきたけれども、内面を深めるという方向にあんまり未来はないなということはけっこう早くから感じていて、でもそれに変わる方向性が見えないからとにかく書き続けてきた、みたいなことはあったんだと思う。
それがエヴァンゲリオンに出会ってやっぱり自分の書きたいのはこういうキャラクターが生き生きしている物語だなと思ったのだった。
特に今書きたいというか、関心があるのが「王」というキャラクターだ。エヴァでは碇ゲンドウが明らかに「王」だが、考えてみると私は「王」が出て来る話が好きだし書いていて構造がはっきりしてくるから書くのも好きなのだ。ナルニアなんかもまさにそうだな。歴史上の人物で書いてみて一番おもしろそうなのは桓武天皇ではないかと思う。奈良朝のその他大勢の皇子として育ち、ひょんなことから父が天皇になったために皇太子になり、皇位を継いで二度も都を移し、最澄や空海を保護し、蝦夷を討ち、平安時代の基礎をつくって行った。自分の決断を信じて刀を振り下ろす、というタイプの王は日本にはそんなにたくさんいたわけではないと思うけど、今まで取り上げられなかった(天皇は取り上げにくいし)人では桓武天皇が一番興味深いと思う。まあ私が知らないだけでもう十分小説化されてるかもしれないけどね。
ああ9時20分。取りあえず動き出そう。
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