ニューヨークタイムズの村上春樹インタビュー

Posted at 11/10/29

ニューヨークタイムズの村上春樹インタビューが面白かった。主に「1Q84」の話が中心なんだけど、なるほどこんな風に読むんだなと思ってその読み方自体が参考になるなと思った。日常的な場面に、非日常的な場面が混入してくる。パスタを茹でるという日常性に、変な女からの電話、とか。というのだけど、まずパスタを茹でるということ自体あまり日常的な感じがしないんだよな、私が読んでると。アイロンをかけるとかも。変な女からの電話の方がまだありそうというか(実際にはないですよ)考えやすい感じがするのだけど、普通は日常に非日常が接続する、みたいな感じで読むのが真っ当ではあるよな、と思う。まあつまり、自分の感覚自体があんまり真っ当じゃないのかもしれないなと読んでいて思ったりした。

インタビュアーは村上の作品をよく読んでいるし、実際の東京の描写なども面白い。辞書を引かずに読みきってしまったから細かいところはちゃんとはわかってないところも多いのだけど、雰囲気が面白いといえばいいのか、村上の作品世界自体が持つ変なゆがみを反映してインタビュアー自身がその空間の再現を、まあオマージュとしてということだろうけど、試みているところがあって興味深い。

インタビュアーは東京の村上の事務所で最初に会い、スタッフ運転の車で自宅へ行き、そしてシンフォニエッタを聞いたり一緒にジョギングしたりシャワーを借りたりしてそういう描写が小説っぽくて面白いなと思った。

出てくる事柄も村上の作品世界と現実の東京のことが多いので、ああこれはあれだなと両方をある程度知っている人なら読んでいてわかることが多くて英語でも読みやすいと思う。読みながら感心したり笑ったりして読めた文章は英語では久しぶり。村上が日本人に見せる顔と外国人に見せる顔の違いのようなものもわかるし、面白かった。

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by Luke Peterson

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