プロテクトするものを探す/20代の自分に言いたいこと/人生は何が起こるかわからないから楽しい/ふみふみこ『女の穴』と漫画版『魔法少女まどか☆マギカ』
Posted at 11/10/03 PermaLink» Tweet
【プロテクトするものを探す】
昨日はプロテクションということを考えていていいのがないかと考えていたら「生を明らめ死を明きらむるは仏家一大事の因縁なり」と言う言葉を思い出し、調べてみたらこれは道元の『修証義』というものだった。母方の菩提寺が曹洞宗で葬式や法事のときに必ずこれを唱えるのでいつも印象に残っていた。
今これを読んでみるとなかなかいい文章で、じんとする。お寺で唱えられているのを聞くとなんだか脅かされているようであんまりいい感じではなかったのだけど、読んでみるとすごくいいなと思う。
人身(にんしん)得(う)ること難(かた)し
仏法値(お)うこと希なり、
今我等宿善(しゅくぜん)の助くるに依りて、
已(すで)に受け難き人身を受けたるのみに非(あら)ず、
遭い難き仏法に値(あ)い奉れり、
生死の中の善生(ぜんしょう)、最勝(さいしょう)の生なるべし
最勝の善身を徒(いたづら)にして
露命(ろめい)を無常(むじょう)の風に
任(まか)すること勿(なか)れ。
人間として生まれてくることは本当に奇跡的なことだ。そして真理に触れるということもめったにないことだから、私たちは何かよいものの力でえがたい人間としての身体を得ただけでなく、得がたい真理にも出会うことができた。どんな生の中でも取り替えることの出来ない、最も優れたもっとも価値のある生を生きているのだ。この生をただ適当に生きて、露のようにはかなく消えてしまう命をただあなた任せに死の風に吹かれて適当に生涯を負えるようなことがないようにしなければならない。
真理に会えたかどうかは分からないにしても、「人身得ること難し」と言うのはそのとおりだなと思う。唱えていると安らかな気持ちになってくるところがあるので、これは一ついいプロテクションになるように思った。
刑務所の前 (第1集) (Big comics special) | |
花輪和一 | |
小学館 |
観音経を調べていて見つけた十句観音経とか般若心経とか、そういうのもなかなかいい。もともと観音経がいいなと思ったのは花輪和一『刑務所の前』を読んでいて「念彼観音力(ねんぴかんのんりき)」と言う言葉がいいなと思ったことがきっかけなのだが。般若心経もいろいろ調べてみうらじゅん『アウトドア般若心経』(幻冬舎、2007)をamazonで注文した。
アウトドア般若心経 | |
みうらじゅん | |
幻冬舎 |
もともと芝居をやっていたときに発声練習で不動明王の真言を唱えると言うのをやっていたのでこういうのは基本的に面白い。いろいろ唱えていたせいかわりと早く眠くなって、9時半には転寝をしていてそのまま歯を磨いて寝た。
やってみて思ったが、声を出して唱えると言うのは自分を活性化するためにもいいことだと思う。野口整体の体系には基本的にそれがないので全人的なガードと言う面ではどうかなと言う感じがするところがある。宗教には必ずお経(ないし祈りの言葉とか賛美歌とか)があるというのは、それはすごく意味のあることだなと思う。
しかし今日は朝から腰が痛い。これはたぶん、金曜日からの食べすぎが祟っているのだなと思う。何度かトイレに行ったが、まだ腰がすっきりしていない。
友達から電話がかかってきて午後出かけることになったので、その準備をした。
【20代の自分に言いたいこと】
人生を最高に楽しむために20代で使ってはいけない100の言葉 | |
千田琢哉 | |
かんき出版 |
昨日はそんなことを考えながらお昼ご飯を買いに行って、ローソンで目に入った千田琢哉『20代で使ってはいけない100の言葉』(かんき出版、2011)を買った。なんとなくプロテクト関連の感じでしてはいけないことって何だろう、と思って買ってみたのだけど、これはビジネスでの「べからず集」みたいなものだった。まあそれなりに参考になることもあり、「準備をすればするほど偏見を捨てることができる」「リーダーになるなら相手に理解されることを望むのではなく相手を理解しようとする心がけが大切」だとか、一般論としてまあ原則的には正しいということが書いてある。前者はときと場合によっては下手な準備をしないほうがいいということもあるがそれを言い訳に使ってはいけないし、後者は相手を理解しようとすることで自分の足りない点を理解できたりすると言うプラスアルファもある。「どちらかと言うとやったほうがいい、ということばかりやってしまってこれをやらないと始まらない、ということから逃げてはいけない、いつでも本命がきたときに対応できる準備と余裕が必要だし、どちらかと言うとは飽くまでどちらかと言うとにすぎない、ということを承知している必要がある。まあ私の20代は約20年前で終わったが、当時はきっと言ってたことがたくさんあるし、仕事をやっててそういいたくなるような仕事ならさっさとやめて転職したほうがいいぞ、ということは20代の自分には言いたい。
自分を過小評価するな、と言いたい一方で、自分を過大評価するな、とも言いたい。それはつまり、「自分のやりたいことができるほど自分は力がない」なんて自分の力を過小評価するな、と言うことであり、「何かやろうとしたときに最初からちゃんとできるなんて思うほど自分の力を過大評価したらいけない」と言うことだ。逆に言えば、やりたいことをじっくり腰をすえてやれば絶対何かが返ってくる、ということを教えてやりたい。若い子に言うべきことなんかそれしかないような気もする。まあ社会常識とか仕事をすることの意味とかは別にしての話だけど。
私なんか、「何でも分かってます」という顔をしてたからあまりまわりは教えてくれなかったと思うし、まだ力足らずの癖にまわりにけんかを売ったりしてたから誰も助けてくれなかったんだろうなと思う。誰もってわけじゃないけど。自分の力が小さいということを認め、自分の可能性は無限大だということを信じる。いろんな面で、それができていたらなあと思う。今それをやり直し中というのは遅いのだけど、まあ今からでもがんばるしかない。
【人生は何が起こるかわからないから楽しい】
偶有性幸福論。 (エンジン01選書) | |
江原啓之/茂木健一郎 | |
ぴあ |
夕方になって日本橋に出かけ、丸善地下で原稿用紙ノートを買って、プロテクト関係の本を探す。これといっていいのはなかったが、江原啓之・茂木健一郎『偶有性幸福論。』(ぴあ、2008)というのがあったので買った。これはかなり面白かった。茂木は私と同じ年で、江原は私より二つ下だが、なかなか突っ込んだ話をしている。江原の言葉で印象に残ったのは今の親は横着だ、ということ。たとえば後片付けをしなさい、と子どもに言って、しなければしょうがないわね、と言って自分で片付ける。それは結局自分が楽だから、というのはなるほどそのとおりだと思った。子ども自身に片づけをさせようと思ったら、子どもと一緒に片付けるべきだ、というわけだ。それはそのとおりだと思う。一度自分で片付けてしまったら、子どもはほっといても結局親が片付けてくれると思い、片付けなくなる。一緒に片付けることで片付け方も理解するし、コミュニケーションも図れるだろう。横着にしない、というのは簡単だけど大事なことだと思った。
茂木のいう偶有性という話をめぐる議論が面白く、つまり偶有性とは起こるかもしれないこと、起こったかもしれないことのことなんだけど、起こるかもしれない話を楽しむ能力というか、明日自分が家がなくなったらどんな世界が自分の前にあるか、もし自分が日本を捨てたらどうなるか、と考えると無限の道があることに気がつく、と江原は言う。だから偶有性を楽しみながらアクセルを踏みまくっているのだそうだ。
なぜそれが日本人みんなにできないかというと、それは物質優先の文明のせいだと江原は言い、敗戦トラウマをはじめとする日本人が抱えている病理のせいだと茂木は言う。
逆に偶有性を大事にするということは偶有性に神秘を感じるかどうかということであり、またそこに「意思」を感じるかどうかだと江原はいい、茂木もそれに反応して面白いという。どういうときにその「意思」を感じるかと茂木が尋ねると、江原は自分のつまづきを乗り越える中で、前回と形が違うのになぜ同じように躓いたのか、というようなことを考えるとそこに何かの意思を感じる、というわけだ。
確かに同じような失敗というのはすることがあり、それは何かのせいというか、そういうことになってたんじゃないかなと感じることはままある。お金がない友達と会っているときにその友達に急にお金が必要な事情ができて急にお金を融通できるような関係の友達は自分しかいない、というような場合、ああこれは自分が貸すことになってたんだなと思うことがある。そう思っても必ず実行するわけでもないけど、それについて自問自答する中で何か見えることもある。そこに「意思」があるといえばあると確かにそれはいえなくはないなあと思う。
自分に何が起こるかは分からない。だからこそ楽しい、というのはその通りだけど、そこまで開き直るというか割り切るのはなかなか出来そうでできないなあとは思う。でもそれが楽しめると、本当に楽しいこともまた確かなんだろうなと思う。
【ふみふみこ『女の穴』と漫画版『魔法少女まどか☆マギカ』】
それから二階に行ってふみふみこ『女の穴』(徳間書店、2011)を探して買った。目に入るところに『魔法少女まどか☆マギカ』の単行本もあったので第1巻を買うことにした。その後高島屋の地下へ行ってスタンドでイベリコ豚とほうれん草のカレーを食べ、コレドの地下で朝食の買い物をして帰宅。本を読んでるうちに寝てしまったのは上述の通り。
女の穴(リュウコミックス) | |
ふみふみこ | |
徳間書店 |
ふみふみこ『女の穴』。不思議な感じのマンガ。この手のものは学生のころは見たら買っていたが、最近は面白くないものも増えたのであまり手を出さなくなっていたのだけど、ツイッターでリュウコミックスの編集の人のツイートを読んでいたら面白そうだと思って買った。「女の穴」「女の頭」「女の豚」「女の鬼」の四編が収められ、あとの二つは続きもの。リュウコミック本誌では「女の頭」は読んだがこれといって面白いと思わなかったのでもしこのマンガだとわかっていたら買わなかっただろう。しかし四編並べてみるとなかなか面白く、最初に女子高生に化けた宇宙人とセックスする高校教師というまあなんというかという設定の話を読み下す(飲み下す)と、後の話は全部面白い。最初の話が一番スケールが大きくて面白いが、豚と鬼の二編、50代のチビデブハゲでゲイの古典教師が思い人の男子生徒の机で自慰をしているところを彼にあこがれるメガネ女子に写真を撮られ、いじめという形で愛をぶつけられるという話もなんと言うか不思議なリアリティがあって面白かった。まあ題名が何だが、佳品といっていいと思う。
魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) | |
原作:Magica Quartet,作画:ハノカゲ | |
芳文社 |
『魔法少女まどか☆マギカ』第1巻。アニメ版では第4回まで、つまりDVD2巻まで。ネタばれ書きますよ伏せないけど。
最初からいきなりリボンのエピソードがあって、そうかこれも意味があったのかと気がつく。DVD6巻見直すのは大変だからとコミックスを読み始めたが、再現性という点でマンガは読みやすいからこういう風にものを書く上では調べるのに便利なのだけど、もちろん画像的にはアニメの魅力にはかなわない、白黒だし。やはりイヌカレー作画の魔女や異世界の描写は圧倒的だなと改めて思う。CD買うシーンとか忘れてたけど、こういう展開だったなと改めて思い出すとなるほどなと思う。「ほむらちゃんはどういう願い事をして魔法少女になったの?」なんて核心を突く質問をこのときにまどかはしてるんだなと思うとちょっとニヤニヤしてしまう。9話までのまどかとほむらの会話って、全部謎なんだけど10話になってそれがすべて明かされるという構造だから、もう一度見たくなってしまうんだな。まあ一度見てるから何度みてもネタばれはないからいいんだけど。マミの活躍がアニメに比べてあっさり見えてしまうのは残念だ。でもマミの死の描写がDVDに比べるとショッキングな描き方がされてるから、これは放送分に比べてDVDの描写がソフトになったということかもしれないなと思う。
なんというかプロテクションということを考えたせいか、「取り入れるか取り入れないか」ということで迷わず面白そうなのはどんどん取り入れるというスタンスになってしまってマンガを含めてだけど丸一日もしないのに4冊も新しいのを読んでしまった。自分との付き合い方も含めて、いろいろ見直していったほうがいいことも多いな多分。
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