「ハサミを持ってるのはあんたじゃないんだ」
Posted at 11/09/15 PermaLink» Tweet
朝はしばらくブログも更新できないかも、とつぶやいたが、少し精神的にも余裕が出てきたので、今日は少し書こうと思う。
『捨てメモ』は読了したが取りあえず今まで書いた以上に追加したいことはなし。その後、塩野七生『ローマ人の物語』41巻~43巻を読了。陰惨で陰々滅滅とする感じの話が多くて読むのが大変だったが、こんな巨大な国家でも滅亡するときはこうなんだなあということがよくわかって面白いと言えば面白かった。また、ゲルマン民族がそれぞれガリアやアフリカなどに建国して行った経緯がイタリアと北アフリカ中心だがそれなりに書かれていてそこは知識の補強になった。よくを言えば、フランク王国が建国する前にローマの丘陵として残っていたガリア中部の支配者、シアグリウスについて出来れば読みたかったのだけど、その記述は一言もなかったのが残念。まあローマの残党の地方軍閥みたいなものだし、フランク王国の成立前史として語られるくらいしか出て来ない人なので仕方ないかとは思ったが。ビザンツ帝国が旧西ローマ領を回復して行く途中でローマ時代とは似ても似つかぬ支配を実行して行く感じがローマというものもすでに滅びているのだなあという感慨を持った。
今日は木曜日なので、セブンイレブンにモーニングを買いに行く。火曜日に帰郷したあと、腰の調子がどんどんおかしくなって、水曜日の朝は起きるのもやっとという感じになっていたのだが、道場に電話をかけてみたら「思い切って活元会に出てきたらどうですか」と言われたので、少し元気が出て来るまで松本まで出かけた。活元は思ったより体が動いたのでよかったなあと思ったが、結局操法もしてもらえて、かなり楽になった。しかし結局、普段の身体の使い方、特に頭の休め方がよくないということをまた言われた。今朝起きた時には腰はだいぶ楽になっていて、昨日の朝は寝返りもできないような感じだったのが寝返りはわりと楽にできたのだけど、起きてみると肩とか背中とかがバリバリで、要するに全体のバランスがとても悪くなっているということが分かった。それでも昨日よりはずっと動きやすいのだけど、ここのところずっと腕や肩、背中が動きにくいのもあまり気を使えずほっておいたツケがいっぺんに出たんだなと思う。しばらく頭を休めながら体調を回復して行きたいと思い、けさはそういうことを書いたのだった。忙しいのは仕方がないのだが、やはりもう少し意識して余裕を持って行かないとと思う。
少し元気が出たのは、モーニングを読んだから。特に「ぼくはビートルズ」でこういうセリフを読んだから。
「芸能なんざなくたって人間生きていけるからね。やりたいようにやるさ。ただこの盆栽と同じでよけいな枝を刈り込んで見栄えのいいものにするためのハサミを持っているのはあんたじゃないんだ。客は生きることに必要のないものに金を出すんだ。本当にいいモノを選ぶのさ。ハサミを持ってるのは客だ。」
このセリフは感動した。そして、この「ぼくはビートルズ」という新人の原作がなぜこんな長期連載を得られたのか初めて分かった気がした。そして、自分が今意識している壁、意識せざるを得ない壁の正体もまた。取りあえずは編集者に認めさせないと、と思ってはいるけど結局はその向こうにいる客、読者、お金を出して買ってくれる人たちはなぜ本を買うのか、ということの本質について語っていると思った。客は生きることに必要のないものに金を出す。読んでどれだけのものが得られるかを基準にして金を出す。それは読書の楽しみであり、喜びであり、感動であり、そしてほんのちょっとの教訓だろう。わたしは教員をしていたせいもあって、どうしても何か教訓的なことを中心に考えてしまう。自分の志向がどちらかというとそういうものを求めているということもあるのだけど、でも読者は必ずしもそうではない。何にも教訓(と言ったらいいのかどうか、少しでも人間とはどういうものか、人生とは何なのかとか考えるきっかけになるような何か)がないものを書くのは私の向きではないと思うけれども、でもそれはむしろ分からないようにこそ書くべきなんだなと思う。
そういうものとはまた少し違うところで客がほしがっている何かを自分は書かなければならないし、出来ればまだ誰もそれがほしいということに気がついていないような何かでそれが書ければいうことはない。まあそれが完全なオリジナルということだろう。まあそんなことを、このセリフを読んで考えたのだった。どんなに忙しくても精神的に余裕を持っていい作品が書けるような自分に自分を入れ替えて行きたいなと思う。
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