歩くダビンチ/理系頭脳マッチョ的発想への違和感/きみのかわりはいない
Posted at 11/08/07 PermaLink» Tweet
【歩くダビンチ】
ロンドンにいる友達から手紙が来た。と思って封を開けたら入っていたのがこれ。ナショナルギャラリーで売っていたというダビンチひと型カード。なんかいいね、ダビンチさん。7月20日の日付が入っているから、もうそろそろ帰ってくるころなんだろうか。ロンドンでの充実ぶりが偲ばれる。それにしても妙に親近感を覚えるのはなぜだろう。
【理系頭脳マッチョ的発想への違和感】
畑村洋太郎『未曾有と想定外』読了。この本はやはりすごく面白い。災害と「折り合う」という思想。やはり理系・技術系(頭脳)マッチョの思考だとどうしても巨大インフラにより災害を封じ込めるという発想になって、それこそが国威だとか科学が自然を征服しつつある証だとか考えて、そうでない柔軟な思考を後進国的な発想だと鼻で笑い、冷笑主義的に遇してハードインフラの整備に金を確保するのに血道をあげることこそ生きがい、みたいな感じ、な人ばっかりかとすごく幻滅していた感じがあったのだけど、まだまだ日本のソフト的な柔軟な自然観の持ち主はいるんだなと少しだけ安心した感じがあった。
未曾有と想定外─東日本大震災に学ぶ (講談社現代新書) | |
畑村洋太郎 | |
講談社 |
まあネットを見ていると決め付け型の思考法が氾濫していて、それは主にツイッターをみているから140字ですべてを言うためにどうしても決め付け型の発言になるということもあるんだろうけど、なんだかそういう思考の先にあるのは暗澹たる未来だけだよなと思っていたので、そろそろツイッター頼りもやめたほうがいいのかもしれないとおもい始めているのだけど、だからといってそれに代わるものがあるわけでもなく、決め付け型の人のフォローを少しずつ減らしていって精神衛生の中庸を確保することを考えたほうがいいのかもしれないと思ったり。多分ネット外、ツイッター外にはもっとさまざまな柔軟な思考ができる人がいる筈で、もっとそっち方面にアンテナを広げたほうがいいのではないかと思った。
【きみのかわりはいない】
SARU 上 (IKKI COMIX) | |
五十嵐大介 | |
小学館 |
五十嵐大介『SARU』上下(小学館IKKIコミックス、2010)読了。普通に面白かった。この物語の表現上の成功は猿が取り付いたのがイレーヌというフランス人の少女だったことだな。そして最後に明かされる、もう一人の猿がブータン僧だったこと。そして天上界での魔と神の争いが地上で永遠に繰り広げられる中で、まったく場違いの少女奈々が現れ、自体を大きく動かしていくという発想。天上界での永遠の闘争の反復という思想は仏教でもキリスト教でもあることだが、その輪廻転生の輪に加わることこそがひとつの生きがいという思想と、その輪を終わらせることが一つの物語という発想とを読んだことはよくあったが、そこに一つの新しいアイテムとして場違いな普通の少女が加わるという図式は、ここまであからさまなものは読んだことがなかった気がする。「好きになった人が人間じゃなかったなんてシャレにもなんないもんね・・・」これはやはり「普通の女の子」へのメッセージなんだと思うな。何も変えられない、世界に偶然現れた自分にできることなんかない、と思ってしまう普通の女の子に、そんなことはないんだよ、君の存在が世界を変えることだってあるんだ、という力強いメッセージ。場違いであることに意味がある。そういう考えだってある、ということ。自分の存在そのものが世界を変える「兆し」かもしれないということ。
NAKED/ Fight Together/Tempest (DVD付) | |
安室奈美恵 | |
avex trax |
今日はじめて『OnePiece』の主題歌を聞いたのだが、安室奈美恵だったんだ。しかもいい歌だなと思った。「きみのかわりはいない」。昨夜テレビを見ていたら槙原敬之と美輪明宏が出ていて、「世界に一つだけの花」の話をしていたけど、まあ同じこと。今結局一番必要とされるメッセージはそれなのかもしれない。でも社会に出ると、「お前の代わりはいくらでもいる」の世界。その中で、代わりのいない存在になっていくことの大変さ。だからこそそういうメッセージが求められるということなのだろうけど。
でもなんというか、そこにとどまっていてはだめなんだと思うな。代わりのいない存在になるだけでなく、世界にもっと何かを発信する存在になっていくこと。自分自身に対して、そこまで求めないといけないんじゃないかなと思う。
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