翼をもつことと根を持つこと
Posted at 11/07/14 PermaLink» Tweet
【つばさを持つことと根を持つこと】
今日はパリ祭、つまりフランス革命記念日。1789年の今日、バスチーユ監獄が襲撃されて革命の火の手が上がった。それから222年。嵐か。フランスに花札はないからどれくらいの人が喜んでいるかよくわからないが。
昨日は仕事が忙しかった。ここ何年も見ないような盛況。普段開けない場所まで開けたりして、その準備に追われた。今日も少しそういう準備をしておかないといけないので、ブログも早めに書いておこうと思う。今9時45分。本当はそれだけでなく、作品を書き始めようとしているのだけど、まあその勢いづけにブログも書いておこうという感じだ。
今日は木曜日でモーニングの発売日。朝職場の資源ごみを出しに行くついでにセブンイレブンでモーニングを買った。今週はとにかく素晴らしく面白い。どのマンガも新たな展開になっていて。その中でも一番印象深いのが『ピアノの森』。雨宮の覚醒の場面が18巻にあり、このとき彼は二次のコンクールのステージではじめて自分の魂とピアノとのつながりを感じた。このときの場面が、背景の真っ黒な中にただ一人スポットライトが当たり、周りにきらめく音が降り注いでいるという描写。
今回は初めてカイとピアノを向い合せにして演奏し、「カイくんのピアノは相変わらずぼくの心に深く響き、そしてこのピアノと交われるこの上ない贅沢は僕を天空へも解き放つ力を持つ。どうして…どうしてこんなにも…ああ…なんて自由なんだ!!」という。この場面は今度は白い背景に二人のピアノとそれを引く二人の姿、そしてそこに降り注ぐきらめく音、ピアノの下にグレーのピアノの影、という構図で明らかに雨宮覚醒の場面と対にして描かれている。本当に素晴らしい。マンガだからこそできる達成。こういうことをできる作家を本当にうらやましいと思う。そのピアノを聴く阿字野とムッシュ、特にムッシュの表情がまた最高だ。すべてが解き放たれた自由な空。これを描くためにいままでの積み重ねがあったのかとしみじみ思う。
つばさを持つことと根を持つこと。という言葉は大昔に読んだ真木悠介『時間の比較社会学』の巻末、「これからの展望」(だったかな)と書かれた中にあったことばだったけど、それは誰にも必要なこと。修平はピアノと自分との魂のつながりを感じることでしっかりとした基盤、しっかりとした根を持つことができ、カイとピアノを合わせることで天空へ駆けていくような自由さを、想像力のつばさを得た。そうか、つばさというのは想像力のことなんだな。根というのはまあいえばアイデンティティ。これは型とかスタイルとかと言い替えられないもっと根源的なものの感じがするけど、ピアノを通して世界につながるということがつまりは彼のスタイルだと言ってもいいのかもしれない。「自分のピアノを弾け」という言葉の答えだから、何というか、「自分のピアノ」という「自分の言葉」を発見したと言えるのかもしれない。そして自分の言葉を発見したということはそのまま、自分の心を発見したと言うに等しい。もちろんすべての心を見ることは自分にもできないけれども、それを探っていく手段は得たということだ。「つばさを持つことと根を持つこと」。つまりそれは、どこまでも自分の心を掘り下げる自分の言葉を持つことと、どこまでもとらわれのないどこまでも飛翔して行く想像力をもつことだということなんだなと思う。
今回は面白いのが多かったのだけど、二つ目にあげるべきは「鬼灯の冷徹」か。最近マンネリの感があったがまたピーチマキと小判が出てる。この二人が出て来ると確かに話は面白くなる気がする。『ひらけ駒!』扉が千駄ヶ谷の鳩森八幡。このあいだ行ったばかりなのですごく懐かしい。内容も、いいなあこういう話。「僕小」どんどんだめになっていく自分とどんどん輝いて行く彼女。上手いなあやはりこういう自虐的なネタは。「レンアイ漫画家」。相変わらずお姉さん最高。「グラゼニ」裏話ものとしてはまあ面白いとは思うけど、裏話だけで終わらないことを望みたい。「ジャイキリ」試合開始前の緊張感。「デラシネマ」これは面白い。それに思わぬ展開。「誰寝」またお寺へ出張か。これ以上書かないけど、どのマンガも今週はすごく面白いなあと思った。
7月14日。いつもなら梅雨のさなかなのに、もうきっぱりと夏という感じになっていて、これがいつまで続くのだろう。
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