テキスト庵の消滅と原発供養

Posted at 11/07/08 Comment(3)»

【テキスト庵の消滅と原発供養】

昨日はテキスト庵のことをいろいろ書いたのだけど、結局閉鎖されてしまった。今日はそのことについての自分の中の後処理みたいなことをずっとやっていた感じがする。閉じたには、閉じた理由があったんだろうなと思う。閉じることになった直接のきっかけを作った人がツイッターでアカウントをつくって私のツイートを一つRTしていたので、そこからそれなりに多くの人の発言をたどることができた。それぞれの人がどういう反応をしたのか、普段テキスト庵で読んでいた方々の反応はそれなりに読めたかなと思う。反応をしない、という反応も含めて。

まあ色々な意味で事故だったのだろう。ただそれは、福島原発のように、何かのきっかけがあれば起こるかもしれなかった事故だったんだろうなと思う。ただ私などはちょっと危ないなという雰囲気は感じつつ、まあ大丈夫だろうと普通に更新報告を読んで読みたい日記やブログを読んでいただけなので、いざ水素爆発↑廃炉、汚染水流出、土壌汚染、ホットスポット、みたいな事態が起きて来ると唖然とするばかりだ。しかしこの危機を誰かが救うことができたかと言えば多分誰にもできなかったと思う。東京電力と同じで、テキスト庵は民間、というか個人の運営なのだ。いま東電と運営者を例えるのはひどい誹謗中傷に取られるかもしれないが、我々はみないずれかの電力会社と契約を結んで電気を送ってもらっているのであり、恩恵も受けているのだということは忘れない方がいい。だからと言って東電の体質を批判するべきではないということではない。テキスト庵に関してもおそらく運営者にも問題があったからそれが表面化したのであって、そのことと参加者が恩恵を受けていたということは別問題だ。そして我々自身がおそらく結局こういう破局が起こるまで原発についてシビアな認識を持てなかったのと同じように、我々はテキスト庵の破局も結局防ぐことはできなかったのだと思う。

運営者個人も、運営団体も、聖人君子ではない。人間的弱点や突かれたら弱い部分も持っているだろう。うっかりなのか甘かったのか恋なのか、もとい故意なのか、東電の人たちが見苦しい保身を図っているように見えることと同じことが起こったとしても不思議はない。しかし、考えてみればそれをだれが責められるだろう。身に覚えのないものだけ彼に石を投げるべきだ、という気がして来ている。これは東電の対応に関してもではあるのだが。彼らは責任をとるべきだとは思うが、私が責めることは今後はするべきではないなと思い始めている。

この問題に関して、私は攻め手側に立つつもりもないし、防御側に立つつもりもない。単なる一参加者にすぎない。さてこうなってしまった今、自分にできることはなんだろうと思う。


ダ・ヴィンチ 2011年 08月号 [雑誌]
メディアファクトリー

たまたまなのだが、今日『ダヴィンチ』を読んでいて、作家の橋口いくよが3月11日以来、原発に向かって祈っているという話が載っていた。この発想には虚をつかれたのだが、そのことに内田樹も名越康文も同意していて、何度も読み返しているうちにそうだよなあという気がしてきたのだ。

日本の原発はもうだめだ。お払い箱だ。少なくとも福島第一は。それ以外の原発についてはいろいろな議論はあるだろうけど、直ちにということでないならば、大きな曲がり角はもう曲がってしまったのではないかそれじゃあ日本人として原発に対して何をするべきだろう。使えなくなった針をただ捨てるのではなく、「針供養」をしてそれに感謝し、その浮かばれない霊を慰めるように、我々ができるのは原発の40年の働きに感謝し、それがこれ以上荒ぶることのないように祈り、その動きを鎮めようとして懸命に働いている人々に感謝する、それだけなのではないだろうか。

原発供養。一見それは意味のないことのように思えるかもしれないけど、我々自身の心を鎮めるために最もふさわしい行為なのではないかという気がする。

そしてテキスト庵に対しても、同じ気持ちに私はなっている。テキスト庵供養。いや、サイト供養とでも言おうか。どちらかの立場に立って騒ぎたい人や、また責任の所在をはっきりさせて自分の納得を得たい人には無意味に思えるかもしれないけど、テキスト庵という場所を愛し、またそこでポツリポツリとテキストを読み、おずおずと意見を交換して交流を楽しみ、そして突然の消滅に呆然として読みにも行けない更新報告にも行けない手持無沙汰をどう埋めようか思案している方々には、ただテキスト庵の11年に感謝し、みたまやすかれと祈りをささげることこそが、自らの気持ちを鎮める一法なのではないかと思案した次第。自分もまたそうだと書いてしまえばカマトトぶるなと言われるのは必定だが、まあそう言われたって消滅したものは帰って来ないのだ。鎮めるべきものの第一は、まずは自分自身の心なのだ。

***

と書いてもあんまり納得されないだろうなあという気はするのだが、とりあえず自分が考えていることを書くしかないので記しておく。なんだかんだ言っても、一昼夜以上この問題について考えさせられての結論なので、他の人は納得できなくても自分の感じはこういうところで落ち着いているというしかない。

"テキスト庵の消滅と原発供養"へのコメント

CommentData » Posted by 江草乗 at 11/07/08

こんにちは
とりあえずテキスト庵登録テキストの
はてなアンテナを作っておきました。
勝手ながら登録させてもらったことをお許しくださいm(_ _)m

CommentData » Posted by テキスト餡(テキスト広場運営ブログ) at 11/07/09

テ庵の臨時代用でございます。

このたび、テ庵が閉鎖したことで参加者の不便を少しでも解消できればと江草さんが作ってくれたテ庵登録の日記リンク集です。
よろしければ。

CommentData » Posted by kous37 at 11/07/09

ご苦労様でございます。

皆さんのご不便が少しでも解消するといいですね。私もツイッターではさまざまな情報を発信はしましたが、実際にアンテナに登録するとか地道な作業まではやっている余裕がなく、やってくださる方がいて本当によかったなあと思っています。アンテナの登録はもちろん構いません。結構知らないうちに思いがけない人のアンテナに登録されていたりしますしね。(笑)

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