うつうつ/登場人物の性格/テキスト庵でいろいろと
Posted at 11/07/07 PermaLink» Tweet
【うつうつ】
何かいろいろと考え込んでしまうようないてことが続いていて、どうにも浮上するきっかけがつかめないという感じだったのだが、人に相談に行ったり電話をかけたりしている間にだいぶ気持ちが前向きになって来た。
きっかけは多分日々のちょっとした雑音の積み重ねに何となく疲れたということに過ぎないのだと思うのだけど、やろうとすることが前に進みにくい状況というのはだんだんダメージが積み重なってくる感じがある。今朝も人と話していて久しぶりにちょっと切れそうになったのでこれはかなり疲れているなと思ったのだけど、こういうときは創作のことをしっかり考えようと思っていろいろ書きながら考えていて、あっと思ったことがあったのだった。
【登場人物の性格】
以前自分が書いた短編作品を人に読んでもらったとき、主人公の女性が「すごく冷たい感じがする」と言われたことがあって、なぜなんだろうなあと思っていたのだけど、それはつまり私が書いた彼女の行動の中からそういう性格を読みとっていたのだということを遅まきながら気がついた。私は、彼女がどういう行動をしたかということだけに関心を持って書いているのだけど、読む人はそこから彼女の性格を読みとろうとする。全然前歴を書いてない女性がいきなり森で一人暮らしをはじめる話だったのだけど、私はその方がミステリアスな感じがしていいと思ったのだけどそうではなくて何を考えているか分からない冷たい女性だと受け取られたのだということに気がついたのだった。
気がついたのだった、というのも変な話だが、つまり、私は物を書いているときに登場人物、特に主人公の性格ということにはあまり関心を持っていないということに気がついたのだ。しかし読み手はそこからいろいろなこと、特にこれから付き合っていかなければならない主人公についてのいろいろな情報を欲しがっているわけで、あらゆることが彼女の性格に結び付けられて解釈される可能性があるわけだ。
まあ考えてみたら当たり前と言えば当たり前なのだけど、なぜそういうふうに思わなかったかと言うと私がもともと戯曲を書いていたからなんだなと思う。つまり、登場人物の性格に解釈の幅を持たせて、演出や役者の役作りが自由にやりやすいようにあまり性格を書きこんでいなかった。どうもその癖が残っているのだろう。しかし小説というのは書かれていることがすべてなので、特に登場してしばらくの間のそのキャラクターの行動はそのキャラクターの性格の説明をしていると解釈されても仕方がない。まあ芝居でも確かにそうで、大体登場の場面では取りあえずその人物の性格を表現するようなやり取りや長いせりふを喋らせるというのが一つのパターンだ。強力な主人公という感じでなく、ある意味主人公は「空」でその周りにさまざまなキャラクターがいるという構成をすることが多かったせいもある。
いやまあ、そんなことは当たり前のことなのだけど、それを「行動や言動によってその登場人物の性格を造形し小説を面白くすることができる」と考えればいいところを、「行動や言動を不用意に書くと思いもよらない性格が付与されてやばい」とネガティブにとらえてしまってより「どんより」してしまったのだなと思う。どんよりしているときに浮かんでくる筋立てというのはどうもろくなものでなくて、どんどんネガティブの3乗みたいな話になって来る。昨日まで哲学の本に集中し過ぎたということもあるんだろうなと思うし、まあなんというか自己コントロールというものは難しい。基本的に前向きで明るい、何というか、美しい世界を書きたいと思っているのだけど、そういうものを書くのにはなかなかパワーはいる。ぐずぐずじめじめした欲望の世界みたいなものにはすぐ降りて行ってしまうのだけど、自分の素の性格ではそういうものはあまり好みでないので色付けとしてはあった方が深みが出ないことはないけどメインにはできない。
今日は松本に体を見てもらいに行って、それでそういうあとはどうもうつうつとしがち、一晩寝ればよくなるのだけど、どうも体の中からけだるさがはみ出してくるような感じになってしまうとか、まあそういうこともあって、そういう自分がなかなか統御できない感じがあった。
まあ良くも悪くも気づきは気づきなので、それは必然的に次の作品に反映されるだろう。思えばもう、ずいぶんたくさん書いてきたなと思う。きのう、書いた作品を書きだしてみてその数に少し驚いた。曲がりなりにも完成させた作品だけでもかなりの数になっている。その中で、自分でそれなりに読んでもらいたいと思えるレベルに達しているものはそんなに多くはないのだけど、とにかく一歩一歩でも向上させていきたい。
【テキスト庵でいろいろと】
テキスト庵でいろいろあるようで、いろいろ書いては消ししてみたがやはり書けることはないので書けない。ただ何かが起こっていて重苦しい雰囲気になっているなあと認識しているということは書いておこうと思う。なにしろ、なにも書かないのは不自然だし何か書くほど知らないし。こういうときは対処に困る。誰もが口をつぐんでいるという雰囲気は異常だし、事情をよく知らないものにとってはだれを支持するとか誰を攻撃するとか更新報告しないと決意するとか脱退するとかそういうことはないわけで、雰囲気が悪くなれば遠ざかるし修復すればまた戻ってきてもやぶさかではないということになるだろう。
まあ難しい話なんだけど、結局根底にあるのは、そのサイトの雰囲気に合わないと周囲の人が感じる参加者の処遇という問題なのではないかという気がする。どこのサイトにも参加者の間にはある種の共通了解というものがあって、そのあたりにはどこでもけっこう微妙なものがある。私も詩のサイトに参加していたとき、発言が完全にスルーされたりして驚いたことがよくあった。テキスト庵というのはそういう共通了解のようなもののハードルが比較的低いところで、だからこそ10年以上続いてきたのだと思うけれども、でもやはりこれだけ長く続くと参加者の無意識の共通了解みたいなものは徐々に発酵して、無色透明な日本酒も古酒になると色がついて来るように、自分たちが気がつかないうちに特定の色がついて行くことはあったのだろうなと思う。
さて自分がなぜテキスト庵に登録し続けているのかと考えてみれば、やはり一番にはここで更新報告をすると読みに来てくれる方がいるということが最大の理由だろう。他の方のテキストももちろん読むが、私自身は読んでいただく方(つまり書くこと)が主目的なので、基本的に他の方のテキストを批評する気はない。まあ、誰も発言しないのは不自然だ、とか書くのもすでに立派な批評ではあるのだけど。
また日記猿人に比べて当初実にまったりしていた最大の原因は投票システムがなかったことだが、そのあたりはアクセス庵ができて多少雰囲気が変わった。アクセス数を競う雰囲気が出てきたことを嫌って離れていく方もあったし、週間アクセスはともかく直近6時間というプランが気に入らなかった人もあるようだ。私自身は書いたことの反応がわりあいすぐ出て来るのでこういう更新報告でこういう文章を書けばこのくらいの反応があるんだなあとか予想通りだったり外れたりするのが面白いなあと思っていたのだけど、まあこういうスターシステムを採用するとやはりスターになる人もあればそうでない人もあるし場の雰囲気に関わりなくとにかく簡単にスターになれそうな場所としてチャレンジする人も出て来る。まあ簡単に言えば、そういうものがあれば「ごちゃごちゃ」してくることは確かだ。
しかしまあ、そのごちゃごちゃ感がテキスト庵全体のカンフル剤になるというか、無難なサイト(ってけっこうキツイ言い方だな)だけでなく好き嫌いの分かれるサイトがあることで多くの人が見に来るということもあっただろう。その好き嫌いの別れ方具合のあたりで少し血迷ったり少し魔がさしたりというようなことも起こってしまったのかなという気はする。まあ当事者の方は謝罪しているし、誰が悪いという構図が確立してしまっているのも傍観者としては逆に困ったことで、一般市民が量刑を判断する苦しみみたいなものを負わされるのは裁判員裁判くらいにしてほしいという感じはする
運営者の方が「テキスト庵を閉じることも考えている」と書かれていることについては、今でも更新報告をしている方の多くは「それは困るー」と感じられているのではないかという気はする。よくわからないが、今回の件に言及することはできないながらも更新報告をすることで「テキスト庵を続けてほしい」という意思表示をされている方もいるのではないか。
私自身はどういうスタンスなんだろうと考えてみると、基本的には運営者の方の判断を尊重するしかない、とは思う。なんだかんだ言っても一人の方の無償の善意で10年以上も多くの人にこの場を提供してきたことは素晴らしいことだと思うし、誰かが真似をして引き継ぐということが可能なのかどうか、私にはわからない。日記猿人は見事に終わってしまったし。テキスト庵があったからこそ書き続けて来られた、という人も中にはいるんじゃないかな。今回どんな間違いをなさったのか、第三者の中立的な視点で理解できていないので何とも言えないのだけど、功績というか、恩恵を受けた人はたくさんいると思う。その功績(というのも変な言い方だが)と今回の(前回のもあるらしいけど)間違い、あるいは罪というものがどうバランスするか、ということに関してはとても私は判断しかねる。
だからまあ、蚊帳の外からのつぶやきのようなものになるけれども、間違いあるいは罪のことに関してはそれはそれできっちり当事者間で落とし前というかけじめというか(どういう表現をしてもヤクザっぽくなるところが何なんだが)をつけていただくしかないが、テキスト庵そのものに関しては心機一転して続けていただいてもいいのではないかと思う。運営者に対して抗議の意味で脱退するとか更新報告しないとか、そういうのも一つの表現かもしれないが、それを強制するのは違うのではないかと思うし、もし運営者の方自身にではなく、テキスト庵というものそのものの存在が問題であると主張するならば、そのような形で主張された方がいいのではないかと思う。東電解体や発送電分離を主張するように。
私は以前、運営者の方と意見の合わない点があって、その時に確かにテキスト庵を脱退しようと思ったことはあったのだけど、結局今でも更新報告をしている。個人的に運営者の方と交流を持とうという意思は持たなくなったけれども、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というわけでもないし、まあ簡単に言えば「テキスト庵」という場所は嫌いになれなかったということなんだろうと思う。いやまあもちろん複雑な思いはなくはなかったけどね。でもまあすでにある種の公の場だと思っていたこともあったし。司書がアレだからと言って図書館に行かなくなるというのも変だろうというような感じでもあったわけだ。私は正直言って図書館という場所は好きだし、そんな感じにとらえているところは確かにあるなあと思う。
書けないと言いながらずいぶん書いてしまって、それこそアレなのだけど、まあとりあえず思ったところを書いておくことにした。
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