人生を生きなおす/墓前に供える文章/長友佑都『日本男児』を読んだ:メジャーで闘う心構え

Posted at 11/06/17

【人生を生き直す】

今朝は五時過ぎに起床。モーニングページを書きながら自分の中の優先順位を再確認。ついつい雑務から片付けようとする私がいる。朝食後、小説の読み直し。少しずつ直して行く。読み直しながら、私は小説を書くことで自分の人生を生き直しているんだなと思った。これは多分、以前から変わらないことで、うまく書けない時期からずっとそうだったんだと思う。とにかく前向きに、面白く書く、というふうに自分の中で決めてから、作風はだいぶ変わった。去年の暮れに書いた中編は「本との出会い」というようなことがテーマだと思う。主人公は10歳くらいか。今回の小説は…ネタバレになるので詳しくは書かないが、12歳~13歳といったところが主人公。自分の10代の経験とか考えたことをかなりぶち込んであることは確か。自分の人生を生き直すことで、自分にとって理想の人生を考えるということがテーマなんだなと思った。それが読む人にどう受け取られるかは分からないが。

【墓前に供える文章】

そんなこんなを考えていて、父の遺稿集に載せる自分の文章を書いてしまおうと思い、今日は午前中に一気にそれを書いた。父に対するポジティブネガティブさまざまな思いを短く文章にまとめるのは難しいが、結局原稿用紙にして14枚ほどになった。量的にこのくらい書かないとどうも墓前に供えるような文章にはならない感じがする。一気に書いてかなり疲れた。

【長友佑都『日本男児』を読んだ:メジャーレベルで戦う心構え】

日本男児
長友佑都
ポプラ社

昨日、昼前に書店に出かけて長友佑都『日本男児』(ポプラ社、2011)を買ってきたのだが、昨日今日で一気に読んだ。これはfujiponさんのサイトで紹介されていたのを読んできっと面白いに違いないと思って読んだのだが、案に相違せず非常に面白かった。彼は25歳にして間違いなく世界最高レベルのチームに所属し、世界レベルの戦いを続けている。無名の選手があっという間にそこまで駆け上った背景には、彼のしっかりした考え方があったということがよくわかる。メジャーレベルで戦うということがどういうことなのか、そういう心構えを作るのにはとても参考になる本だと思った。

エピソードとして一番印象に残ったのは中学卒業の際のことだ。不良の巣窟の中学のサッカー部で人生の方向を変えてくれた熱い恩師と出会い、「人間として努力できるというストロングポイント」を身につけて、母子家庭ながら名門私立・東福岡高校に進学する卒業式、仲間からもらった写真、手紙、花束、温かい言葉。それに対して感極まりそうになった長友は「こんなんいらんわ!!お前らヘボいんじゃ!!」花束を投げる。写真を破る。「絶対プロになるんや!俺はビッグになってやる!長友革命や!」何も残されてない空っぽの手を握り締めて叫んだのだという。

「家族や友達、恩師との別れに感傷的な気持ちになったら大きくはなれない。寂しいとか思ったら闘えない。だから福岡へは何も持って行きたくはなかった。大切なものはすべて心に刻まれているから、もうぼくには必要がない。」

常に前だけを見る。そして、振り返りそうになったときこの光景を思い出して、やるしかないと言い聞かせる。自分を後戻りのできない位置に置くこの長友の本能的な行為は、長友の本質をよくあらわしていると思う。

「あんなことをしたのだから、中途半端な気持ちでは生きられない。…ぼくの旅立ちの原点であるあの日のことは、忘れようにも忘れられない」それはそうだろうなと思う。

これは今週のモーニング、「ピアノの森」の阿字野の最後のレッスンで言っている「忘れろ」というテーマと同じかもしれない。すべては既に吸収した。だから真っ白な気持ちでコンチェルトのステージに立て。ショパンコンクールのファイナルはゴールではなく、ピアニストとしてのスタートなのだと。

メジャーで勝負するには、マイナー時代を引きずっていては勝負できない。自分を見失わず、かつ新しいことをどんどん吸収して行かなければならない。それは非常にクリエイティブな行為だ。

大事なことは既にすべて身につけている。あとはそれでどう勝負して行くか。足りないことはもちろんいつでもあるから、常に新しい課題にチャレンジして行かなければならない。これは小説でもそうで、村上春樹もインタビューで、少しずつ書けることを増やしていくためにチャレンジしていると言っていた。最近作の『1Q84』でもそれまでにない三人称文体にチャレンジしているわけで、どんなにメジャーになろうと先がある。

長友は、非常に感情が豊かな男なのだろう。だからその感情におぼれることを常に強く恐れているし、自分を律するために敢えてむちゃくちゃなことをしたのだろう。よい子は真似をしないようにという感じのエピソードだが、いろいろ考えさせられた。

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