生活の根本/デトックスを仕事のスタートに直結させる/イメージの世界と体の歪み/インプットは午後に/小説を書くとはどういうことか
Posted at 11/06/07 PermaLink» Tweet
【生活の根本】
昨日。ずっと小説を書いていて、きりのいいところでやめて、ブログを書いて、風呂に入って寝たという感じだったのだが、5時半に起きて、なんか元気があって、モーニングページを書きながらときどき洗濯をしたり、洗い物をしたり、洗濯を干したり、新聞をまとめて紐をかけたり、雑誌をまとめて紐をかけたり、ダンボールをまとめて紐をかけたり、ゴミを集めてゴミ袋に入れたり、ゴミを出しに行ったり、きのう炊いてあまったご飯をおにぎりにしたりしていた。せっかくなので書けるところまで書こうと小説の続きを書き始めたら、まだ展開を検討してないところに行き当たっていきなりブレーキ。少し考えないといけないが、気分転換が必要と思い、朝ご飯を食べて、風呂を掃除したのだった。こういう家事的なことというのは、小説がそれなりに書けているときにときどきはさんでやるのは結構充実していい。なかなか取っ掛かりがつかめなくて四苦八苦しているとき(そういうときが長いわけだが)にはなかなかそういうことをやる気がしなくて困る。やはりフィクションを書くというのを自分の生活の根本にしておきたいものだと思う。
【デトックスを仕事のスタートに直結させる】
朝はデトックスの時間だという話があって、以前はモーニングページを書いて、散歩をして、活元運動をして、トイレに行って朝食を食べてそれから活動開始という感じに生活を組み立てていたのだけど、わたしの活元運動の仕方は身体を弛めることが中心になるのでどうもうまく行かない。朝はやはり、身体に元気が漲って身体も心もよく動く状態になるのがよいと思うのだが、活元運動をするとどうもリラックスしてしまい、朝食を食べてさらに眠くなるというパターンになっていてどうもよくないと思っていた。
つまり大事なことは、デトックスがそのまま気合を入れるというか元気に仕事をするステージに上がることと直結していなければいけないということだと思う。朝の過ごし方というのはなぜかどうも「ゆったりとした朝」を理想に、「あわただしい朝」を避けたいものの典型として描きがちなのだけど、あわただしいのもよくないが、朝はやはり充実した仕事を出来る態勢を作ることが根本だと思う。トイレに行って出て来るとなんとなく気合が入っているあの感じを、仕事に向かう方向付けにするというようなことなんだろう。
以前読んだ『ゴーマニズム宣言』で、小林よしのりが一日の食生活について書いているのがあって、それは食べ物を中心に書いているのだけど、その中に「午前中の仕事が一日の仕事の成否を決める」というような言葉があって、それはそうだよなと思ったことがあった。たとえ夜中まで仕事をするにしても、午前中にしっかり仕事を進められれば一日の仕事はその上に乗っかってスムースに進んでいく。逆に午前中に出遅れると午後から午前にやるべきことをやるようになって、仕事のリズムが後手後手に回ってしまう。
だからむしろ、仕事の回転が悪くなったらいっそすぱっとその日は打ち切りにし、いろいろなことをしたり新しいものに手を出したりしてエネルギーを蓄え、次の日の朝から全開という形にしたほうがむしろ能率が上がる気がするし、そうすることがけっこうある。
【イメージの世界と体の歪み】
しかし何というか、小説を書くというのはやはり、少なくとも自分にとっては、イメージの世界に入ってそこでいろいろ考えながら文章を紡ぎだして行くもので、そのイメージの世界に入るということはそのときどきで入り方が違うし、長いものを書いているときはその世界から出るのが億劫になってしまい、今などもそうだけどこうして関係ない文章を書いたり生業をしたりしていても頭のどこかでそのイメージの世界が動いていて、多分寝ているときも動いていて、休まることがない。だから何というか、精神的にも肉体的にもこれはかなり負担のかかる作業なんだなと思う。もちろん仕事というものは何でも精神的・肉体的に負担にならないものなどないだろうけれども、ずっと同じことをやっていると身体は歪んでくるしそうなると徐々に精神も歪んでくるわけで、そこら辺をうまく調整しないといけないなと思う。特にわたしなど精神状態が身体状態に強く影響するタイプだから、イメージの世界と身体のきしみの緩和をどう両立させていくかはこれから意識していかなければならないテーマだなと思う。
村上春樹なんかはそのために走っているわけだけど、わたしは走るよりも軽作業というか、あまり考えないで出来るような軽い仕事をするほうがいい気がする。草むしりとかになると逆にけっこう考えてしまうし、まあでもそれは慣れの問題かも知れない。慣れた身体を動かす仕事を、少しバリエーションを広げて行くのが気分転換にはいいかもしれない。
【インプットは午後に】
また、一日一度はインプットの時間を設けないといけないなと思う。それも外に出かけてなるべくゆっくりと。望ましいのは午前中に小説もブログも書いてしまって午後ゆっくりと出かけることなのだが、郷里にいるときは午後の半ばから夜まで仕事(生業)なので昼前か昼後かという感じになる。これもなかなかバリエーションがないのだけど、もう少し開拓できるかもしれないとは思う。東京にいるときは行く場所はいくらでもある、まあここのところいくらでもあるのに出かけるのをけっこうさぼっていたのだけど、なるべく気の赴くままに(今まで気が赴かなかったことが問題だったのだ)いろいろ出かけていきたいと思う。
【小説を書くとはどういうことか】
最近ようやく、小説を書くということがどういうことなのか、自分なりにだけど、わかってきた気がする。今までは芝居をやることとか戯曲を書くこととかがどういうことかということは自分なりに分かっていたのだけど、小説を書くということについて具体的なイメージがつかめないでいた。だからけっこう人のマネをしたりとか人の書くものを読んでそれにトライしてみたりとか、人が面白がっているものをよく分からないけどマネをしてみたりとかしていたのだけど、結局は自分が面白いと思うように、自分がいいと思うように、自分がいやだと思う書き方はしないで、さまざまなハードルを乗り越えながら、「書く」という作業、「書く」という時間の充実を感じながら、(書いているその時はそんなことはもちろん考えてないけど)自分が面白いと思うことを書くしかないのだと思う。
それはそんなに簡単なことではなくて、ついあの人が好きそうなことをとか、この人にはこう書くとよろこぶかもしれないとかそういうことを考えてしまうということもあるし、またこういうテーマを取り上げるのはまだ自分には無理なのではないかとか、こういう場面の描写はちょっと倫理的にまずいのではないかとか、まあいろいろなことが浮かんでくる。しかしその中で自分なりの表現を模索する中で、「これでいいか」というものは浮かんでくるし、もともと日常的なそういう次元のものを超えた内容でなければフィクションを書く意味がないというか、現実に対して力を持ち得ない。だからつい思ってもいないことを書いてしまって自分で驚いたりするのだけど、小説の力というのはもともとそういうものなんだろう。
自分の生理というか身体の自然に一番自然なときに身体が一番力を発揮するのであれば、やはりそういう風に在れるように身体や精神も在らせていこうと思うし、最も自分の「好き」が発揮できるような心のあり方が見つけてくるいろいろな世界のかけらを小説の中で拾い上げていかなければならない。最初のうちはけっこう頭で書いていたけど、最近は頭で書いている割合が減ってきている感じがする。頭で書く部分をゼロにすることを目標にしていたころもあったのだけど、まあそれはそれであまり面白くないわけで、ちゃんとスパイス的にそういうものをいれていかなければいけないと思う。
芝居を作るときは役者がいて演出がいて舞台がいて、いろいろな人が集まってきて芝居を作るわけだけど、小説を書いているときは自分の中にそれぞれのパートを呼び集めてやるということなんだなと思う。小説という舞台にでてくる古い石畳の街を自分の中でイメージできる大道具さんというか舞台美術というか建築家というかが自分の中には必要だし、(この大道具さんは太陽だとか青い空だとか現実に存在し得ない空間を作り出したりしてけっこう大変だ)役者の演技指導をする演出家も、光加減を考える照明家や鳥の声を出したり海の音をさせたりする音響さんも必要で、それらを一つに編み上げる脚本家がまた小説の言葉で一文字一文字にさまざまなことをこめていくことになる。小説はそういう意味での総合芸術なんだと言うのが、現時点でのわたしの見解だ。まあそんなことを合間合間に考えながら書いている。
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