人間性の本質に触れること/同じ間違いを何度でもするタイプ/玄人っぽさに興ざめするわけ/胸元を大きく開けて
Posted at 11/06/06 PermaLink» Tweet
【人間性の本質に触れること】
昨日。ブログを書き終えてさあ日本橋にでも出かけようかなと思って携帯を見たら、友人が近所まで来たというメールが入っていて、もし会えそうなら会おうと連絡をとりながら出かける。結局有楽町に出て、1時間ほど話が出来たのでよかった。きのうはどうも集中力がなく、土曜日に書いた小説の続きも、ちょっと書き直さないと先が続けられないという感じだったのだけどビジョンが立たなくて、結局書き直そうということだけ決められただけだった。こういうときというのは友達と話をするのがとてもいい。何ということのないことだけど、ちょっと人間性の本質に触れるような話をして、ああそうだなあとか、そうだったんだとか、いろいろ感想を持つことが、小説にプラスになるんだなあと思う。
リリス (ちくま文庫) | |
ジョージ・マクドナルド | |
筑摩書房 |
友人を見送ったあと、三省堂で本を物色。8時までいたけどとりあえず何も買わずに閉店になったので山手線で東京駅に出て、新丸ビル地下の成城石井で夕食の買い物をし、丸善に行ってまた本をいろいろ見る。何の気なしに本やら文具やらを見て、松丸本舗で美術書とか目に付くものを立ち読みしていたら、マヌエル・プイグという人の本が目に入った。ラテンアメリカの作家で、『蜘蛛女のキス』というのはわたしも聞いたことがあった。それで一度文庫に戻って少し立ち読みしたが今読みたいものとは違うなと思い、松丸本舗に戻って何冊か立ち読み。ジョージ・マクドナルド『リリス』なんかも面白そうだとは思ったのだけど、どうも今書いてるものに近すぎて影響を受けそうな気がしたので、プイグ『南国に日は落ちて』(集英社、1996)を買った。この小説は、最初から最後までほとんど会話だけで出来ていて、ちょっとそこのところに興味を引かれた。わたしの作品もセリフが多いのだけど、全部というわけではないので。
南国に日は落ちて | |
マヌエル・プイグ | |
集英社 |
なんかきのうは家に帰ってから妙に盛り上がってしまう。ファイターズが巨人に圧勝したのを見ていたせいかもしれない。いろいろ考えたりやっていたりしたら寝たのは4時くらいになって、もう外は明るくなりかけていた。
【同じ間違いを何度でもするタイプ】
昨日思ったことの一つは、わたしは同じ間違いを何度でもするタイプだなということだった。それは好き嫌いがかなり大きな行動基準になっているからで、たとえ間違っていても好きなことは好き、たとえ正しくても嫌いなことは嫌い、というようなことになってしまうからで、自分では自己訓練をして間違わないようにしてきたつもりなのだけど、帰ってそれが自分らしさを相当損なってきた面もあるのだなと思った。本当にやりたいようにやったら相当反社会的になって罪作りなことを今以上に相当やってしまっていたと思うからまあ世のためにはそれでよかったとも思うが、自分のためにはそれではダメだったなと思う。しかし、表現のためには自分らしさが損なわれるとダメだから、表現者としての部分と社会人としての部分を両立させながら行くしかない。そのあたりはだれでも同じといえば同じなのだろうけど。
昨日思ったことのもう一つは、メイエルソープとかシーレとか森博嗣とか芸術家とか思想家とかが自分の思想を語ったりするけど、けっこう多くがたとえばそうした生理的なレベルに依拠しているのではないかと言うことだった。それはポリシーとかスタイルとか言う以前に、というかポリシーとかスタイルに洗練化しているにしても、もともとは生理的なものなんじゃないかなと思って、そう考えると自分自身の生理的な好き嫌いのようなものも言葉にしていくことによって自分自身のスタイルやポリシーになるんじゃないかと思ったのだった。こういう人たちがいろいろ自分の考えを述べているのを読むとどうも勝手なことを行っているような気がしながら、それでも普遍性のあることを行っているのだろうと善意に解釈して読んでいたのだけど、どうもそんなものではないような気がしてきた。だったら人の思想を云々してもあまり意味がないことで、自分の生理的レベルから洗練させた思想を持って人の思想と丁々発止しないと意味がない。だから今は小説という形でものを書いているけど、それによって自分の中ではっきりしてきた部分をいつかは思想みたいな形で一度は書かないといけないと思う。思想というほど大袈裟なものでもないけど。
【玄人っぽさに興醒めするわけ】
そんなことを考えながら北大路魯山人『魯山人の料理王国』(文化出版局、1980)を読んでいる。これはだいぶ以前に買ったものだが、今度読んでみてすごく面白いと思った。暇なときに少しずつ読むのが味わい深い本なので、一気には読まない。
魯山人の料理王国 | |
北大路魯山人 | |
文化出版局 |
良寛が、「好まぬものが三つある、歌詠みの歌、書家の書、料理屋の料理である」と行った話を引用して、つまり料理屋の料理にはテクニックはあるがまごころがない、というわけだ。これはつまり売らんかなとする歌詠みの歌や書家の書も同じで、テクニックはあるがまごころが欠けているというわけだけど、しかし家庭料理はまごころだけあってテクニックはいらないかというとそうではないし、プロの仕事はプロの仕事なりのやらなければならないことがある、という話につながっていく。ここで料理屋には料理屋の、女郎には女郎のプロの仕事があり、満足できないのは技術が不十分だからだ、という話になっていくのだが、なんかそういう話になっていくのが可笑しかったのだけど、わたしはそっち方面のプロに世話になった経験がないのでよくわからないのだが、なるほどそういうふうに考えればいいのかと妙に感心した。
また一方で良寛の言うこともそう考えるとなるほどと納得のできる面もあるわけで、家庭でも料理屋っぽい料理が続くと飽きるように、きっとそっち方面でも玄人的なことを毎回してもらえばいいというものではないということではないかと思う。私などは女性が玄人はだし?だとどちらかというと興醒めしてしまう方なので、これは良寛の言うことをしみじみと感じるというようなものではないかと思う。逆に言えば今で言う風俗にばかり通う男性やホストクラブに通わないと満足できない女性というのも、家庭料理に満足できず料理屋ばかり食べ歩くタイプとある意味一緒なのかもしれないと思ったのだった。日本はどっちの面でもプロの仕事が充実してきた国なんじゃないかなという気がする。アメリカとかだと家庭料理とかにしてもあっちの方のことはよく知らないが、いろいろなことを自分自身でやる文化になっているから、日本ほどプロの仕事がありがたがられない気がする。誤解を招かないように書いておくと、魯山人は家庭の味でもまごころがあればある程度のテクニックを必ずつくというようなことを行っていて、まあ一事が万事でそれにはわたしも激しく同意なのだった。
そんなわけできのうはほとんど小説が進まなかったので、今朝は睡眠不足ではあったが土曜日書いた内容の書き直しから初めて相当書いた。現在40字×40行で32ページ目、原稿用紙にして126枚目になっている。全体で300枚目途で書いているのだが、どこまで行くか。
今日は昼頃家を出て日本橋でお茶漬けを食べようと出かける。梅雨の合間の強い日差し。コレドの地下で鯛茶漬けを食べて、丸善で本を物色。買わないで日本橋を渡り、三越前で半蔵門線に乗る。半蔵門で降りて、先日ブログで見た一元屋という和菓子屋へ。ここで金つばと最中と求肥入り最中を二つずつ買う。お堀端に出て靖国神社まで歩くことにする。途中、外堀通り沿いにイタリア文化会館があって展覧会をやっていたので少し見た。最近ちゃんとそういうものを見てなかったので、ちょっと刺激になった。中身自体はまあおいといて。久しぶりに靖国神社に参拝し、英霊に日本の復旧と復興を祈る。
【胸元を大きく開けて】
遊就館をのぞいてゼロ戦を見て、靖国の参道を歩く。白百合の小学生のセーラー服がかわいいなと思う。もし娘を持つようなことがあったら、セーラー服の制服のある小学校に通わせたいなと思ったり。九段下の駅の近くの啓文堂で本を見ていたら、米澤よう子『パリ流お洒落アレンジ!2』(メディアファクトリー、2010)という本がとても参考になるなと思って買った。つまり、小説の中に出てくる女の子の着る物を考えるのに、ということだ。まあちょっと買いにくいことは買いにくいのだけど。でも本当はこういうお洒落とか着こなし系の本はけっこう好きなのだ。この本はパリの女の子たちがいかに少ないアイテムを使いまわしておしゃれに着こなすかということを縷々力説していて面白い。特にデコルテ(胸元)を開けると言うことがフランス流の着こなしのポイントだということはなるほどなあと思った。そうすると男でもアラン・ドロンになる。まあこのへんはおおむね日本人は貧弱で、だからそこら辺に消極的になっちゃうんだけどね。これはセクシーだというだけではなく、フランス人には首が詰まっているデザインはあかちゃんぽくみえるのだそうだ。フランスは大人の国だから、あかちゃんぽいのは致命傷なのだそうだ。
パリ流おしゃれアレンジ!2 (大人可愛く着こなす41の魔法) | |
米澤よう子 | |
メディアファクトリー |
家に帰ってきて、ご飯を炊いて、小説を書いて、ファイターズの試合を見ながらご飯を食べて、一元屋の最中を食べて、今ブログを書いている。
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