人の目に見えないもの/自分に見えてきたもの
Posted at 11/03/23 PermaLink» Tweet
今日はいい天気になった。今10時半だが、長野県ではよく晴れていて、日差しも暖かい。水仙の芽が伸びてきている。月曜日に東京を離れたときはもう白木蓮が咲いていた。自然は止まることなく動いている。自分が一番ダメージを受けていた時には、そのことすら理不尽なことに感じていた。今、そういう思いにとらわれている人はたくさんいるだろう。今の私は、だんだんそういう自然の摂理のようなものを暖かく感じられるようになってきている。動ける人間から動かなければならない。
仕事はぼちぼち動いている。毎日少しの心配と、少しの安心がある。悲喜こもごも、一喜一憂。それが日常。大きな流れの中に乗って、人間は生きている。人の目に見えないもの。放射能も目に見えないが、愛とか、流れとか、想いとか、何かで感じることはできても目に見えないものがあって、目に見えるものはそういうものによって動かされている、指標のようなものなんだなと思う。
昨日の夜は、長野県でも二回余震を感じた。東京ではもっと何回もあっただろう。毎日いろいろやることがある。ようやく毎日ブログを書くくらいの心の余裕は出てきた。物語を書くには、まだ適当な時期かどうかは分からない。でも、むしろ何の変哲もない日常を書くのには、こういう時の方がいいのかもしれない。何の変哲もない日常のありがたさを、今ほど感じられるときもないから。
時代-Time goes around-(紙ジャケット仕様) | |
中島みゆき | |
ヤマハミュージックコミュニケーションズ |
ツイッターで、今、中島みゆきの『時代』を聞きたいと書いたら、阪神を被災経験した方が、とても辛くて聞けなかったと返信があった。中島みゆきで聴けたのは『ファイト!』と『永久欠番』だけだったと。言われてみれば、『時代』はストレートすぎるし、無色透明すぎるし、素直すぎる。『ファイト!』のように、「くそったれえ!」とか「ふざけんなあ!」というちょっと心にカッと来るような気持ちが含まれた曲の方が、今の時期には聞きやすいのかもしれない。整体操法でも、大事なのは問題のある個所をケアすることではなく、そこから正確にずらした場所に手を加えることがポイントだという。問題のある場所は、力を失っている。そこから正確にずらした場所に、それを補って体を動かせるようにするための場所があるということだと思う。今、被災地は十分な力を失っている。その中で懸命の努力を続けている。正確にずらした場所――日本の国内にいながら、被災を免れたわれわれ――のできることは大きいのだと思う。
予感(紙ジャケット仕様) | |
中島みゆき | |
ヤマハミュージックコミュニケーションズ |
朝起きて、「事実に圧し潰されない」という言葉が浮かんだ。私が事実に圧し潰されたことは今までに何度もあるけれども、一番最初は21歳の時だっただろうか。あのときから事実よりも深くにある何かを求めてさまよっている感じがあった。自分としてはその時その時でベストだと思うことを、もちろん理性的な選択だけでなく一時の勢いでやって後悔したり、無理だと感じながら無理押しして傷口を広げてしまったことも多々あったが、自分としてはそういうつもりでやってきたつもりだ。でも、あの時事実に圧し潰されてしまってひしゃげた何かが今でも曲がっているところがあって、もうそれを正さなければこれからはやっていけない気がする。だから、あのときからやり直さなければならないと思う。あのときからやり直そうと思う。
未曽有の危機に直面して、自分自身が自分自身の中のいろいろなものに直面している。一生治らないと思っていた傷跡も治りかけていることに気づいたり、自分が絶対正しいと思い込んできたさまざまな諍いの記憶が一つ一つ浮かび上がってきて、諍いの相手の悲しさや世の中の在り方の悲しみ――弱い者が弱い者と叩きあう――みたいなものを改めて感じたりしている。これは今読んでいる本の力かもしれない。
世の中の本当の相というか、自分の気持ちの中に頑ななところがあると見えないものが、一つ一つ見えて来ている感じがする。
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