横浜元町/内田樹教授最終講義ほか

Posted at 11/01/24

今日は久しぶりに新しい小説が書き出せて、午前中はそれを進めていた。今まで書いたことのないテーマ。セクシュアリティに関すること。うまく書けるかどうかは分からないが、とにかく書いてみようと思う。最近、どうしてもそちらの方に関心が行ってしまい、そういうものを読まずには、また考えずにはいられないところがある。前の小説はその点を完全デオドラントにしていたので、そういう反動もあるのかもしれない。実際、うまく書けるかどうかは不明。

短篇集hi mi tsu ki chi ヒミツキチ (ビッグコミックススペシャル)
川上 弘美,さそう あきら,三好 銀,いがらし みきお,福岡 伸一,大友 克洋,花輪 和一,五十嵐 大介,高野 文子,畑中 純,山本 直樹,黒田 硫黄,逢坂 みえこ,業田 良家,安倍 夜郎,ほり のぶゆき,西宮 大策,水道橋 博士,すぎむら しんいち,福満 しげゆき
小学館

昼頃メールが来て、友人と横浜で会うことにする。私は元町に行きたかったので、その旨返信。石川町で待ち合わせをすることにする。東京駅で乗り換え案内を携帯で調べると東海道線が事故で遅延との情報があり、考えながら東海道線ホームにいったら目の前で列車が出てしまった。何だよ動いてんじゃん。一瞬迷ったせいで10分後の電車に乗らざるを得なくなった。結局約束の時間に着けたからいいのだけど。電車の中で『短篇集 ヒミツキチ』を読む。これといって収穫がある感じでもなかったが、三好銀「ホテル『月の裏』」がすごく印象に残った。三好銀という人、本当に寡作なのだが、また読んでみたいと思った。

久しぶりに元町を歩く。月曜だから閉まっている店が多いのだけど、やっぱりこの町の空気は他の町とはどこか違うなあと思う。時々は行かないと、何か自分の中で足りなくなってくるものがある。銀座とも、渋谷とも、新宿とも違う。東京にはない何かがこの町にはある。ぶらぶらいろいろな店を見て歩いて、結局いつもの汐汲坂ガーデンへ。BLTとレバーサンドイッチ。信仰の話とか。というと大袈裟だが、内田樹のサイトで読んだ彼の最終講義の話に感動した話など。

イエスはパリサイ人に「もっとも重要な律法は何か」と聞かれ、「神を愛することと隣人を愛すること」と答えたのだそうだ。その言葉は「愛神愛隣」とまとめられ、神戸女学院大学の校訓となっているそうだが、神を愛するとは、超越的な世界、人間の力の及ばない世界、精神的な世界を重んじることであり、隣人を愛することとは現実的な世界を大事にすることであって、愛するという意思的・主体的な行為によって超越的な世界と現実的な世界を「私」が結びつけるのだ、という意志の表明に他ならない、というようなことを内田は話したらしい。この言葉には心から賛同できるものを感じる。現実的な世界に没頭するだけでも、超越的な世界に没頭するだけでもだめで、その二つをいかに結びつけるか、それが「私」にかかっている。人はパンのみにて生きるにあらずとか、汝の敵を愛せとか、結局すべて同じことを言っているんだなと思った。すべてはこの言葉に帰ってくるのだと。だからイエスはこのことをもっとも重要な律法だと言ったのだと。

私はクリスチャンではないから、神というのは必ずしも唯一神と意識しているわけではない。日本的な八百万の神様の方が好きだし、大乗仏教的な仏の曼荼羅の世界も好きだ。それでもこの言葉は十分に語りつくしているわけで、文学とかアートとかにおいても結局やっていることは同じなんだと思う。また理系のことで言えば基礎研究と応用研究のようなもので、その二つは本来一体なのだということを指していると考えてもいい。理想と現実を結びつけるのが「私」の役目なのだと言い換えてもいい。とにかくどう言ってもいいのだが、全く目から鱗が落ちる考え方だと思った。

エロティック・ジャポン
アニエス・ジアール
河出書房新社

いやまあ、そこまでそのとき熱を込めて話したわけではないのだが、まあそういうような話とか『エロティック・ジャポン』の話とか。また元町をうろうろし、輸入食料品店でウィリアムソンのアッサム(青い象のマークがかわいい)とカミーユ・ブロッホのチョコレートを買った。それから元町プラザの中を見たのだけど、レザーのジャケットがわりと安めでほしいなと思った。私はあまりほしいと思うものってあんまりないと思っていたのだけど、元町に来ると結構見つかるのだ。どうも何か相性みたいなものがある気がする。フランス山に登ってローズガーデンまで行ったが、えのき亭は3月いっぱいまで改装工事中で入れなかった。山手本通りを少し歩いてまた元町に下り、運河の向こう側の中華街に出る。ちまきを食べたりしたあと、聘珍茶寮の二階で軽い夕食。私の作品を読んでもらった友人たちと7時くらいまでいろいろ話して、とても収穫があった。読んでくれる人がいるというのは本当にありがたいものだと思う。

羣青 上 (IKKI COMIX)
中村 珍
小学館

そこで友人たちと別れて横浜に出る。まず有隣堂のコミック王国へ行って中村珍『羣青』上(小学館イッキコミックス、2010)を買う。中巻はもう出ていると思っていたが、今調べたら28日発売だった。それからネットで調べてすごく面白そうだ(エロ漫画の描き方について情熱的に語っているらしい)と思った金平守人『エロ漫の星』上下(少年画報社YCコミックス、2011)も。帰りの電車の中で読み始めたが、あまりに面白すぎて中断。それからルミネに行って6階の有隣堂へ。特にこれを買うというあてもなかったのだけど、朝吹真理子『きことわ』(新潮社、2011)が出ていたので買った。他の芥川賞作品もあったが、あとは『文藝春秋』3月号で読めばいいかと。選評も載ってるし。そのあとルミネの中のショップを見てまわったが、またけっこう欲しいものが多くて困った。元町ほどではないけど。

エロ漫の星 上 (ヤングコミックコミックス)
金平 守人
少年画報社

東京に戻ると、雨が降っていた。東京駅日本橋口から日本橋の地下鉄まで歩く間はそれほどでもなかったが、東陽町で降りるとかなり降っていて、でもビニール傘を買うのが嫌だったのでタクシーで710円払って帰宅した。それでも大通りから玄関まで、少し濡れてしまったけど。今日はなんかいろいろと収穫が多かった。やはり少し新作を書き始めたから歯車がいい方に回りだしたのかも知れないな。

きことわ
朝吹 真理子
新潮社

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