こうの史代『平凡倶楽部』/大河原遁『王様の仕立て屋』/みなもと太郎『風雲児たち 幕末編』

Posted at 11/01/03

1日から2日にかけて、昨年末に片付けてなかったことを片付け、用意してなかったことを用意するのに時間をとっていた。年末に録画したまま見る時間がなかった『坂の上の雲』を見たり、年末に買ってなかった物を買い物に行ったり。

昨日は夕方出かけてまず地元の文教堂へ。昼間にアリオ北砂でカレンダーなど探したのだがどうもいいのがなく、文教堂で一応めぼしをつけた。それから電車で日本橋に出る。丸善でカレンダーを見たがどうも気に入ったのがなく、カレンダーは地元に戻ってから買うことにしてマンガを物色。

こうの史代『平凡倶楽部』(平凡社、2010)を見つけて購入。コミックエッセイ。昨年末から見てはいたのだけど買うかどうか迷っていた。年賀状をいただいたので(笑)買う気になった。ファン心理というのは単純なもの。それから大河原遁『王様の仕立て屋』29巻とみなもと太郎『風雲児たち 幕末編』18巻を買う。テンションを保ってこれだけ長い連載を続けるのは大変なことだなと思う。このあたりの感想については後述。

レバーペーストとザワークラウトをどこで買おうかと考えたが、丸の内まで行って成城石井に行くより、開いているかどうかはわからないがいっそ京橋まで歩いて明治屋に行ってみようと思って歩く。明治屋は開いていた。ザワークラウトはいつも買うのと違うメーカーだが大きい瓶を買い、レバーペーストとついでに蜂蜜の結晶タイプを買った。固まってしまった蜂蜜を買うというのもどうも抵抗があったが、置いていて不可抗力で固まったのとは味わいが違った。大体、透明なタイプより値段が高い。買ってみて勉強になった。

あと朝食のパンをどうしようかなあと思いながら歩く。八重洲口の北海道物産館に行って見たら新年の営業は4日からとのこと。殿様商売だな、と思ったり。大丸地下に行って探したら、考えて見たら夕食の買い物もしなければということに気づいてパンと鮨を買った。日本橋まで歩いて地下鉄に戻り、地元駅の文教堂でカレンダーを二つ(卓上タイプと壁掛けタイプ)買って帰宅。思ったより散財した。

平凡倶楽部
こうの 史代
平凡社

こうの史代『平凡倶楽部』。なるほどエッセイ。手書きのページが多い。一度にぜんぶ読むというよりゆっくり読むとよさそう。「戦争を書くという事」とか、この人の感性は本当に鋭いなと思う。そしてそれを作品にする力があるからなあ。それがたまたま世の中の要求に合うと『夕凪の街・桜の国』のような大ヒットにつながる。

実は2010年を振り返ったあと、2009年はどうだったかということも気になって11~12月だけブログを読み直して見たのだけど、もう父の容態が悪くなって、12月4日に亡くなり、そのあと心がまともに動かないのにやらなければならないことが続く時期ですごく大変なときに『この世界の片隅に』を読んでいて、強く心に残ったことを思い出した。そして、具体的なことは書いてないが双葉社気付でこうのさんに12月23日にはがきを送っていた。返事が来たのは一年後の年賀状、ということなのでさすがに忘れていたが、この人の律儀さに感動した。

この本は平凡社のサイトでの連載と小林よしのりの個人雑誌『わしズム』での連載をまとめたもの。『わしズム』ではこのただならぬ内容に衝撃を受けて、「原爆もの」として読む気のなかった『夕凪の街・桜の国』を読み、さらにショックを受けたことを思い出す。この人のクリエイターとしてのただならぬ力に小林よしのりが「たとえ反戦マンガでもいいから描いてほしい」と依頼したというのもうなずける。「聖さえずり学園」「古い女」「なぞなぞさん」の3本が好き。特に「古い女」のチラシの裏に描いたような表現にはたいそう衝撃を受けた。一体どうやって描いたんだろう???

王様の仕立て屋 29 ~サルト・フィニート~ (ジャンプコミックスデラックス)
大河原 遁
集英社

『王様の仕立て屋』29巻。今年はもうこのマンガ、次々に単行本を出してるけど、凄すぎる。「腕時計編」に入ったが、ついに紳士服だけではネタ切れになってきたのではないかという気がする。腕時計は腕時計で書くネタはいくらでもあるだろうからなあ。『美味しんぼ』でもそうだけど、こういう薀蓄系のマンガは人間が生きている限り描こうと思ったらネタは尽きないわけで、売れている限りは連載は続くんだろう。しかし漫画家にとってはそれはいいことなのかなあとも思う。絵がだいぶ荒れてきた気がするし、適当な表現も増えてきた。これは『美味しんぼ』でもかなり前に感じたことだけど。でも売れてしまう。逆に、他のネタでマンガを描いてもそのマンガの印象強すぎてあまり面白くないということは花咲アキラの場合にはあった。大河原遁はまだ他のネタでも描けると思うし、そろそろ潮時なんじゃないかなという気もする。あるいは他のマンガも並行して連載を始めるか。しかし薀蓄漫画というのは勉強量もハンパじゃないだろうし、他のものを始めるといってもおいそれとは行かないんだろうなあ。この才能を他のネタの表現でも生かしてほしいんだけどなあ。

風雲児たち 幕末編 18 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社

『風雲児たち 幕末編』18巻。最近は連載誌の『コミック乱』をほとんど買ってないので、単行本がでるときに初めてまともに読んでいるのだけど、この巻では安政の大獄の1859年の春から秋にかけての展開が描かれている。シーボルトと娘のイネの再会とか水戸藩士たちの井伊家討ち入り計画とか普通の歴史ものでは扱っていないネタが描かれていてこのあたりのこの作者の目配りが生きている。始まった頃はぎこちない展開のときもよくあったのだけど、最近は安定して面白くなってきた。龍馬に入れ込みすぎると筆が走ってしまうということはあるんだろうな。この前作の『雲竜奔馬』がちょっと走りすぎていたから、同じ幕末ものでもこちらはだいぶ落ち着きがあって読みやすい。

今日は朝起きて新しい小説のネタを少し出して、ブログを描いてからそれを少し展開しようかなと思っていたら箱根駅伝を見出してしまってつい最後まで見てしまった。それから食事をして、友達にメールの返事など書いていたらつい寝てしまったりして、今4時49分。もう暗くなってきてしまった。これから少し出かけて、小説のネタをもう少し展開しながらいろいろ考えてみようかと思う。

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