『紅の豚』
Posted at 10/10/24 PermaLink» Tweet
今日は10月24日。昨日は二十四節季の「霜降」だった。次の節季はもう立冬。暑かった夏、気候の不安定な秋もそろそろ晩秋と言える時期に近づいている。今朝は少し寒い。指先が少し冷えて、マウスを握る手の動きが安定せず、ミスクリックを何度かした。
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昨日は『紅の豚』を見た。観終わった第一印象は、宮崎にしては珍しい「普通の映画」という感じ。リアリティというかヨーロッパ映画的な手触りの上にファンタジー性を盛っている。そのせいなのか、見終わった後の「印象」はかなり強い。波止場に止めた船、あるいは飛行艇に寄せる波の音が聞こえてきて、大空の深さが見える気がする。観終わった後に何か考えてしまう他の作品とは一線が画されている感じがする。
『カサブランカ』のボギーみたいなせりふがいくつもあって、ヒロインのジーナは美人。声は加藤登紀子で、歌も歌っている。宮崎が豚にこだわっているのは、自らの何かの部分をこの動物が担っているということなのだと思う。宮崎は、たぶん自分が一番自然に描けるものを描いたのだと思う。ウィキペディアを見るとそういうものを描いてよかったのかどうかということについて悩んだようだったが。ポルコは宮崎自身のある種の理想像だろう。『カサブランカ』のパターンを使って、ボギーとバーグマンの役柄を入れ替え、ヒロインジーナが酒場を経営している。
一番いい場面は、飛行機雲に見えたのが、たくさんの飛行機の墓場だったというところだな。まさに雲の墓標。飛行機・飛行艇乗りの魂は大空の一番高いところに還っていく。天空にある魂の故郷。実写では表現しにくい場面だなと思う。「ここでは人生はあなたのお国よりももう少し複雑なの」とアメリカを揶揄しているけれども、実際にはヨーロッパを舞台にしたハリウッド映画的な感じもある。
脇役たち、空賊とか、もう一人のヒロイン・フィオとかは見事に宮崎アニメの登場人物で、その二つの合体でできている、大人のファンタジー。『崖の上のポニョ』のグランマンマーレが宮崎作品ではみたことのない美人さんだと思ったが、すでにここで出ていたのだなと思った。
大人向けの作品なので、物語の枠が一番緩やかで、縛りが弱い感じがする。どんなふうにでも想像自由な感じがするところがのびやかでいい。他のアニメもそうだが後日譚は描かないのであとが知りたいという気持ちが残り、映画への関心が持続する感じがする。
大人のアニメということで、やはり一作だけ特異な感じがするけれども、逆にこの地点があるから宮崎の世界の底の知れなさというか、奥深さを見ることが出来もするし、ああ、こういうものもつくるんだなあということでなんだか安心感もあるなと思った。
六時半に仕事は終わったのだが全部片付いていなかったので、八時まで職場に残って仕事をする。帰ってきて夕食、入浴。自室に戻って仕事の残りを片付け、車で出かけたのは十時ごろだったか。ポストに郵便物を投函し、蔦屋に車を走らせて『紅の豚』を返却し、帰りにローソンによって午後ティーを買って電話代を払った。
今朝は新しい物語のアイディアが湧いて下書きと構成をいろいろ考える。先日考えて上手く発展させられなかった材料も取り込めそうだ。少し長い話になるかもしれない。
朝食に行って、父の一周忌の関係のことやいろいろな話を母とし、妹たちに写真を送りたいからと携帯のメールの操作。今日は近隣のお稲荷さんの御柱があるので昼過ぎまで諏訪にいることになる。
小西浩史『勝ち残る!「腹力」トレーニング』(講談社α新書、2010)。しばらく止まっていたが、また読み始めたら結構面白い。ダイエットとは、数字の次元の話ではなく、どのような自分になりたいのか、というイメージに近づく闘いなのだ、というくだりなど、目から鱗が落ちるようだった。そういう意味では、人間だれもがやっている、普遍性のある行動の一部なんだなということを初めて認識できたのだった。まあ無理は禁物だということは確かだけど、無理をしたくなる気持ちもわかるというものだよなあとはじめて思った。
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