『エヴァンゲリオン』と地下鉄サリン事件後のあの時代/支配と自由
Posted at 10/10/16 PermaLink» Tweet
昨日。仕事は10時まで。忙しかった。終わる前に母から電話が入り、調子が悪いと言うので、帰宅後病院に送っていく。夕食を食べてから迎えに行くと、途中で終わったという連絡が入った。帰ってから少し念入りに愉気をして、母は睡眠薬を飲んで寝たのだが、朝起きたらだいぶ良くなったという。朝食後ももう一度念入りに愉気。だいぶ良くなったということなので、まあ何とかなるかなと思う。
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『新世紀エヴァンゲリオン』、もう少し続きを見ておこうと思って第2話の後半から第3話の初めを少し見るが、あまりに陰々滅滅としていて投げ出してしまった。よくこんなの見るなと思うのだが、こういうのがリアルだと感じられる人がいるんだろうなあとは思う。こういうのがリアルだと感じられる人間がたくさんいる時代というのはあまりいい時代ではない。
14歳、ということを考えていて、そういえば楳図かずおの『14歳』もこのころだったかなと思って調べると、90年から95年の連載。『エヴァンゲリオン』は95年10月から96年3月の放映なので、やや先駆けている。そして14歳といえば神戸の酒鬼薔薇事件。あれは97年前半の連続事件だったからエヴァよりは少しあとになる。そしてこの当時といえば思い出すのが95年1月の阪神淡路大震災と3月の地下鉄サリン事件。ということは、エヴァの開始は同じ年の10月ということになる。その前の年は長嶋巨人のメークドラマでやや脳天気に終わったが、年明けからは大規模なカタストロフが続いた。その雰囲気の中でこの作品は放映されたのだということに気付いた。
個人的には、結婚生活も職業生活も最悪の時期で、あまりに思い出したくないことが多いので記憶の外に排除しているような時期だ。個人的にも時代的にもなんだか「呪い」がかけられていたような時期で、『エヴァンゲリオン』の陰々滅滅とした感じにその呪いを感じ取っててしまうのかもしれない。
とはいえ、この作品は私と同じ世代の人間が作っていて、ある意味この作品を批判するということは、自分たちの世代を批判するということ、あるいは自分自身の生き方を批判することにも通じるものがあることは感じざるを得ない。この作品を作ってしまう業のようなものが我々の世代にはあるような気がするし、それは『新人類』といわれた我々の世代の業のある種の帰結なんだろう。そしてそれは、阪神大震災はともかく地下鉄サリン事件をもたらした現代日本の病弊のようなものとシンクロする部分もある。
まあ個人的には少なくとも、あの最悪の時代を思えば今の方がずっといいし、日本全体としてもあのころに比べればましにはなっていると思う。なんか奇妙な澱のようなものが日本全体に降り積もっている感もあるのだが。それは古い時代は終わったけれども新しい時代がまだ始りきれていない、不安定さの中にあるが故だろうとも思う。嫌なことばかり多かったという戦後の混乱期のようなものだろう。
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森博嗣『自由をつくる 自在に生きる』(集英社新書、2009)を読み始める。28/189ページ。立ち読みした時の感じよりもずっと読みやすいしそうだと思うところが多い。立ち読みした時に引っ掛かったのは、「自由」に対立する概念として「支配」があげられていたからだ。しかしまあ、特定のものでなく、たとえば食欲などでも逆らえない場合はそれを自分を制限するものとして「支配」のカテゴリーに入れる、というような大きな概念としてとらえれば、受け入れられないことはないなと思った。そう考えて見ると、私があまり好きではない尾崎豊の「この支配からの卒業」なんていうフレーズもつまり自由になりたいということかともっとわかりやすくはなる。「支配」ねえ。まあ「支配」と言われると自由でないことの不満足さ、嫌さが際立つことは確かだ。ただ何かそれは皮相的な、神経症的な感じがしてしまうんだな、その表現に。ただ、「嫌な感じがする言葉」というのはそれがなぜなのか考えると自分の中をのぞき込むきっかけにはなる。のぞき込みたくない時に無理することはないが。
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