『生きて死ぬ智慧』/ジブリ映画をはじめて観た。作品は『もののけ姫』に決めていた。
Posted at 10/10/11 PermaLink» Tweet
昨日は帰宅後山岸涼子『押し入れ』などを読んだり考えごとをしていたらふと既に『ダヴィンチ』が発売されていることに気がつき、10時を過ぎていたが慌てて駅前の教文館に自転車を飛ばした。『テレプシコーラ』の番外編を読んだが、どうも一冊買うほどの内容ではなかったので買わず。ただ、内容を書くのはなんなので遠慮するが、第二部で完結のようなことを言っているけれども、この先があってもおかしくないというか、むしろ第3部への期待を持たせるようなラストの終わり方だった。まあこれで終わりといわず、第3部も続けてくれるといいなと思う。
生きて死ぬ智慧 | |
柳澤 桂子 | |
小学館 |
ついでなので本屋の店内を一周して、結局教文館で見たけど買わなかった柳沢桂子・堀文子『生きて死ぬ智慧』(小学館、2004)を買った。この本は基本的に般若心経の現代語訳なのだが、今まで読んだ中でいちばんわかりやすいなと思う。「科学的解釈で美しい現代語に」と帯に書いてあるが、まあ人間は粒子から成っている、みたいな表現は私自身はあまりいいと思わないけれども、そういうのが受け入れやすいという人はいるかも知れない。
私自身は、この本は最初教文館では買わなかった。それは絵が暗すぎるからで、この内容でたとえばサイケなものとか明るい感じのものとか生き生きしたものとかであったら買っただろうなと思う。悟りというものに暗いイメージ、アースカラー的なもののイメージを付与するのではなく、ある種の生命賛歌のようなものにする方がいいのになあと思う。
それでも教文堂で買ったのは、ちょうど店内音楽がビートのきいた洋楽だったから、こういうのりの音楽をききながら読むといいかもと思ったからだった。こういうものは何事もバランスだ。悟りというものに静的な魅力を求める人は多いとは思うけれども、悟りというものは生きるために必要なものなのだから、もっとダイナミックな演出を加えてもらいたいと思ったのだった。
帰りに永代通り沿いに日曹橋の交差点まで行き、交番がなくなっていてびびったが、交差点の斜向かいに新しい交番が出来ていてなんだと思った。まあ確かに、そこならば明治通りからも見えてより合理的ではある。
もののけ姫 [DVD] | |
クリエーター情報なし | |
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント |
ツタヤに行って『もののけ姫』を借りる。実は私はジブリ作品を今まで見たことがない。しかし、最初に見るのは『もののけ姫』だと決めていた。この作品は、わたしの周囲でもアニメなど普通見ない人たちがいろいろな形で衝撃を受けていたので、いつかは見なければと思っていたのだけど、ジブリ作品ということで敬遠していたのだ。
例によって、まだ最初の30分くらいしか見ていないのだが、今までのところの感想を言うとジブリとは日本のディズニーなんだなということ。このめちゃくちゃな数のセル画の使い方は何だ、という驚きとワンシーンワンシーンすべてが絵になるというすざまじい労力のかけ方。私はよく途中で絵を止めながら見るのだが、その静止画がちゃんと絵になっている。テレビアニメとはかけ離れた手の入れ方だ。しかし、テレビアニメ的な「省略の美」に慣れているということもあるのか、逆にそういうところに違和感もあるし、何というか人の動きがアメリカ人的なのだ。そこがすごくディズニーっぽいし、戦いの場面とかもスターウォーズ的なアメリカ風で、日本人はああいうふうには動かないしああいうふうには立たないぞと思う。まあ断片的に見たナウシカなんかの動きと似ているといえばいいか。ジブリに慣れている人にはそう気にならないんだろうな。
途中まで見て寝る前にネットでいろいろ検索。総制作費が23億円というのは少し驚いた。5分作るのに1億円かかるのか。2時間で24億円という計算になる。それでディズニーと提携して世界に配給したんだな。ディズニーよりなものを感じるのはそういうこともあるのかないのか。日本ローカルな色を極力排除しているところがあって、日本アニメというより宮崎アニメだということなんだろう。そういうところが多分、私はあんまり好きじゃないんだなと思う。バタ臭いということはないが、日本的ではない。しかしその無国籍的なあり方というのが戦後の進歩主義的文化人的で、そういう意味で日本的ではある。私のあまり好きでない日本のあり方とでもいえばいいか。
まあ、いずれにしても別にこれはこの作品を腐しているわけではない。自分がなぜ宮崎アニメがあまり好きではないのだろうかという理由を探っているだけで、そういう意味ではそう目新しい発見でもない。こういう世界というのは、私が好むと好まざるとに関わらず確かに存在してしまっているし、次の時代に進むためにはこういうものもまた踏まえていかなければならないこともまた事実だと思う。村上春樹の無国籍性と似ている部分はある。
昨日のツタヤはアニメフェアなのか、制作費23億円の作品を7泊8日で100円で借りた。もう元は取ってるんだろうけど、それにしてもそんなことでいいのかと思わないでもない。
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