たるとこ?/作風の変化/指名されたが任命はまだ
Posted at 10/06/04 PermaLink» Comment(4)» Tweet
これから知り合いの子の演奏会があるので松本まで出かける予定。昨日は夕方、激しい夕立があったが、今日はまた嘘のように晴れている。午前中は降水確率0%。午後は30%だが、今日は雷雨はあるのだろうか。関東ではあるとのことだったが。
昨日は10時まで仕事。帰ってきて夕食、テレビを見る。たるとこ、という不思議な名前の人が民主党代表選に名乗りを上げているという。勢いに乗ったらいきなり首相ということもあり得るわけだが、さすがにそれはなさそうだ。菅直人が首相になっても、親が政治家じゃなかったという人は94年の村山富市以来。そのあとの橋本からはずっとある意味での世襲政治家。森は国会議員の子ではないが、地方政治家の家庭だ。市民運動出身の首相、というのは確かに日本で初めてのことではある。
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入浴して自室に戻り、山岸涼子『アラベスク』を最後まで読む。最後は典型的なハッピーエンド。それにしても、それまでの「登場人物いじめ」は激しいものがある。私は『テレプシコーラ』から読み始めて『日出処の天子』へとさかのぼって、ようやく『アラベスク』に到着した人なのだが、『テレプシコーラ』の登場人物いじめはけっこう激しいなあと驚いたのに、『日出処の天子』の虐待ぶりに度肝を抜かれ、そのルーツが『アラベスク』にあることは全く納得させられた。不幸だとか、試練だとかにはリアリティがあるが幸福とか幸運とかにはどこかリアリティがない、と感じる人なのか。アラベスクでも登場人物はたくさんの賞を取るが、第一部のラストなどはこれでもかこれでもかと賞を並べすぎていておいおいという感じになる。第二部のラストは余韻のあるよい終わり方だなと思うが、『日出処の天子』とか『テレプシコーラ』第1部のラストとかを考えるとなんだか少し考え込んでしまうところがある。まあ、『アラベスク』はノンナのミロノフへの愛、というのも一つの柱になっているから成就するにしろしないにしろラストがそれがらみになるのは当然なんだろう。『日出処の天子』は成就しない方のパターンであるけれども、政治の流れという大きなものを描きだすのに成功していて、スケールが大きい。一人の作家を追いかけるということはとても面白いことだなと改めて思う。
午前中に菅直人が民主党代表に選出され、午後には内閣総理大臣に指名された。任命式は今日行われるのか?それとも組閣ができる来週になるのか。まだ鳩山内閣が職務を継続している、ということは任命式は来週ということなんだろうな。指名と任命が違う日というのは今まであったのだろうか。粘り腰で自分のペースに持ち込もうとしているのかもしれない。菅直人は、薬害エイズの謝罪のような目の覚めるような功績を上げる時もあれば、くだらないボーンヘッドがあったりいろいろで、権力志向のいやらしい部分もあるし、まあそれがしたたかさとしていい方に働く可能性もあるし、北朝鮮の工作員釈放(だっけ?)の署名をしたりという軽率さもあるので、なんだか何がどうなるのか分からない。まあ、なってしまったものは仕方がないので頑張って日本をよい方向へ持って行ってもらいたいと思う。
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"たるとこ?/作風の変化/指名されたが任命はまだ"へのコメント
CommentData » Posted by OWL at 10/06/06
お久しぶりです。
かなり前のことになりますが
日出処の天子についてコメントを差し上げました。
アラベスクも、実はリアルタイムで雑誌連載時から
読んでいました。というか、山岸さんは
たまたまですがほとんどデビュー当時から読んでいました。
(過去形なのは、最近数年はきちんと追いかけて
いないからです。テレプシコーラも所々しか読んでいません。)
Kousさんと逆のパターンですね。
ですからデビュー時のまだ初々しい(絵も今ほど
洗練されていない)山岸さんが、洗練され、
深化して行くのをみてきました。
アラベスク第一部はたしかにストーリー的には
昔ながらの少女漫画なのですが、
ソ連の実在のバレエ団を舞台にするというのは
画期的なことでした。少年青年マンガには詳しくないのですが
例えば、ロサンジェルスドジャーズや
ニューヨークヤンキーズを主舞台にする野球マンガが
もし描かれたら画期的(もしもうすでにあったらごめんなさい。)
なのと同じ位画期的だったのですよ。私は実は
小学生の時バレエを少しだけ習っていたので
バレエを習っている人々の間にセンセーションを
起こしたのを覚えています。
それはそれとして、アラベスク第二部のカリンルービツ
が登場してからの緊張感は素晴らしいと思います。
ノンナがルービツに示唆?されミロノフを車で待っていて、
その意図を彼に悟られた時の気持ち。「性」を
絵ではなくても、これほどはっきり描いているのって
純情だった(笑)少女の私には衝撃的でした。
ノンナが直感し、ルービツに「あなたはミロノフ先生が
好き」だと言う場面も素晴らしい。
すみません。少し興奮してしまいました。
ではまた。
CommentData » Posted by kous37 at 10/06/08
コメントありがとうございます。
>ソ連の実在のバレエ団を舞台にするというのは画期的なことでした。
確かにそうですよね。ていうか、今でもあんまりないんじゃないかと思います。
『アラベスク』、何人もいろいろなライバルが出てきますね。名前は覚えてないがボリショイの人、パリの人、時計工場の人。いきなり女優になったり白血病になったりするのは今から見るとどうかなという気はしますが、第二部になるとリアリティの面でもだいぶ研ぎ澄まされてきていますね。登場人物いじめも冴えまくるし、亡命騒ぎから「クララが立った!」的な展開もあざといけどやられたという感じです。ソ連の実態から考えればミロノフの処分は軽すぎるしノンナが追及されないということもありえないと思いますが、まあそこは漫画ということで。
そしてカリン・ルービツ。この複雑なキャラは実に山岸涼子的な世界を先々開いていく先駆けになった存在だなと思いました。『日出処の天子』に比べると政治に関わる部分の処理は甘いと思うのですが、どの場合もノンナの振り回されっぷり、追い詰められっぷりが半端じゃない。ある意味偉大なるワンパターンだと思いましたが、何というかいろいろ味わい深いです。少女マンガがホットだった時代に、トップに向かって階段を駆け上がっていったマンガだなと実感させられます。勢いがあるし、みずみずしい才能を感じさせますよね。山岸涼子といえば鬼気迫るような完成度というイメージがありましたが、『アラベスク』は偉大なる未完成という感じで、とてもいいなあと思いました。
CommentData » Posted by OWL at 10/06/09
お返事ありがとうございました。
山岸さんの完成度が高い作品というと
短編に素晴らしいものがたくさんあります。
少し話がそれますが
『日出処の天子』について。
連載当時?法隆寺(だったと思う)に
聖徳太子を冒瀆していると
山岸さんが訴えられるのではないか、という
噂(新聞にのったりした)がでて、結局法隆寺には
そんな意図はなかった、というような事件?が
あったことを思い出しました。
CommentData » Posted by kous37 at 10/06/10
まあスキャンダラスな内容ですから、(笑)訴えられるということも、時代や国によってはありえますよね。でもそれで訴えられなかったということで、今のようななんでもあり状況が生まれているという気もしますね。