平野啓一郎『葬送』第一部:作品に食い尽くされるアーチスト
Posted at 10/05/03 PermaLink» Tweet
平野啓一郎『葬送』第一部上下(新潮文庫、2005)読了。だいぶかかった。中断期間が長かったと言うよりは、思い出し思い出し、そういえば途中だなと思いながら読みついでいたので、今までの集中して読みきるという読書スタイルではなったので、相当な期間がかかっている。今ブログで調べてみたら、最初に立ち読みしたのが2月8日。買ったのが2月15日だ。今日は5月3日だから、2ヵ月半かかっている。今まででは、『カラマーゾフの兄弟』を読んだときなど、途中に半年くらい中断期間があったが、中断するまでと再開したあとは大体一気に読んでいる。休み休み2ヵ月半、という読書の仕方は全く新しいパターンだ。しかし、今後はそういう読み方が多くなる気がする。
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なんか書こうと思ったのだけど書くことを忘れてしまった。最近、書こうと思うことが同じくらいの比重でいくつか頭に浮かぶことが多く、一つ書き始めると別のことを忘れてしまって困る。
ディヌ・リパッティの、ショパンのピアノソナタ3番がとてもよくて、何度も繰り返し聞いている。リパッティはワルツがいい、といわれているようだけど、で、確かにいいのだけど、でもそれよりもこのソナタ3番のほうが私は好きだな。ソナタはポリーニがいいといわれているようだけど、私はリパッティのほうが好きだな。まあポリーニのソナタも聴いているうちにわりとよくなってきて、でも実家のほうにおいてあるので東京ではきけないなあと思っていたら、こないだ高円寺で買った輸入版のリパッティがソナタを弾いているのだった。聴いてみるととてもよい。フォルテの前の音の余韻がちょっと短くなるのは癖なのかわざとなのか、ちょっと判断に迷うところがあるのだけど、それも個性かなという気がする。私はやはり、演奏でも何でも、個性というか、その人の何かがひょっと表に顔をのぞかせるものの方が好きなんだなと思う。好みの分かれるところなんだろうけどね。
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『葬送』の第一部はショパンとサンドの破局がまあ話の中心と言っていいと思うけれども、それと並行してドラクロワの議会天井の装飾画制作の話が中心的に語られ、第一部のラストは作品完成後改めて見直していたドラクロワが作品というものは画家本人を離れ、既に拒絶する存在になっていて、しかも画家本人からすべての栄養素を奪っていった、空恐ろしいものとして描かれていて、まあそうだなあと思いながら読んだ。まあそれは、ドラクロワだけでなく、ショパンもサンドも自らの作品に食い尽くされてしまったと言えば言えるかもしれないと思う。この作品を書いた平野自身はどうなんだろうか。私のようなものでさえ、時にそういうことを感じることはある。そういえば村上春樹もそんなことをいっていた気がするな。作品に食い尽くされないためには、自分も体を鍛え、ペースを護って勤勉に書き続けなければいけない、まあ書き方は違うが、そんなようなことを言っていたと思う。
晩年のピカソとかダリになるとどんなものなんだろうなという気はするが。
土曜の夜に上京。昨日は大体一日さぼっていた。夕方、日本橋の神田達磨の鯛焼きが食べたくなり、日本橋に出かける。鯛焼きとおはぎを買い、鯛焼きをほおばってから丸善に戻る。丸善でいろいろ本を立ち読みしたけど結局買わなかった。ヘルマン・ヘッセの全集があって、へえ、と思った。新潮文庫からも、ヘッセのものはけっこう出ている。若いときの作品が中心だが。夕食に何を買おうかと迷って日本橋界隈をうろうろし、山口県の物産館で飛魚の唐揚(練り物)と鶏鍋とハーブ塩を買って帰る。家に帰って、炊飯用土鍋でご飯を炊き、買って帰ったもので夕食にした。夜は早く寝た。
今朝は5時台に起きたので、カーシェアの車を借りて若洲海浜公園まで行ってみた。思ったより近いのか遠いのかわからないが、埋立地はやはり広い。30分で余裕だと思ったけど、またぎりぎりになってしまった。まあ30分なら朝7時前なら500円なので、気分転換にはちょうどよいくらいだ。
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