『自宅のアート』/自分の創造性と向き合い、人の創造性と響きあう

Posted at 10/02/15

昨日からずっと家にいていろいろなことに考えをめぐらせているので、一体何を考えていたのかもう筋道を追えなくなってしまっていることも多いのだけど、昨日寝るときには『文豪の古典力』を読んで寝た。1時ころだった。目が覚めたのは8時前。

自宅のアート―家にある絵や写真、静物を生かした暮らし。
アラン パワーズ
産調出版

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FILING―混沌のマネージメント
株式会社竹尾,織咲 誠,原研哉+日本デザインセンター原デザイン研究所
宣伝会議

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昨日も書いたが、自分の本棚にある本が妙に面白く感じて、片っ端から読み直している。『自宅のアート』とか『Filing』とか『目の玉日記』とか。『自宅のアート』は読んでいると、自分の部屋のレイアウトとか飾り付けをどうしようかといろいろと妄想できて楽しいし、『Filing』は書類整理を無味乾燥なものにしないいろいろなアイディアがちりばめられていて楽しい。どっちも実用書というより、「こんなことも出来るんだ」と発想を豊かにしてくれる参考書という感じ。

小林よしのり 目の玉日記
小林 よしのり
小学館

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今日の昼食後に手にとって最初から最後まで一気に通読したのが小林よしのり『目の玉日記』。これは著者の白内障手術の体験談を一冊の本にしたという小林にしたら珍しい作品なのだが、『ゴーマニズム宣言』の舞台裏をも書きつつ、『ゴー宣』だけでない小林の人間像が見えてきて面白いし、何より生まれてはじめての入院・手術というものに子どものように反応している小林の姿が面白くて仕方がない。また、白内障の手術風景もリアル。何しろ患者の目から見た目の手術なのだから。医者にとっても貴重な一冊なのではないかと思う。

ずっとやりたかったことを、やりなさい。
ジュリア キャメロン
サンマーク出版

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しかし、最も重く読み返しているのがジュリア・キャメロンの『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』。何度も書いているが、この本は私のひとつの転機になった本で、この本に書かれているモーニング・ページは今でも書き続けている(今ノート73冊目)し、アーティスト・デートもそれに近いことを今でもやっている。私自身が自分らしく生きるためには、自分の創造性と向き合っていないとだめだなと最近特に感じているのだけど、一度この本をちゃんと読み直さないといけないという感じがしていた。

序文から読み直して見ると、すうっとしみ通るように入ってくる部分が以前より多くなった感じはするけれども、やはりいろいろ引っかかる部分もある。一つには和訳が不適切な部分もある気がして、amazonで検索して原書を買うことにした。洋書はすぐ欲しいときは丸善に行くのだけど、残念ながらamazonで買ったほうがほぼ100%(バーゲンでもないかぎり)安い。それでもその日に欲しいときは丸善に行くが、ネットで調べるとこの本は丸善の各店舗で在庫切れになっていたので結局amazonで買うことにした。明後日に職場に届くことになっている。

The Artist\'s Way (Inner Workbook)

Tarcher

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今朝起きたときに、なんだかよく分からない不安があって、なかなか起きられなかったのだけど、それは緊張があるからだな、ということに気がつく。漠然とした不安があるということは、漠然とした緊張があるということなのだ。芥川龍之介が、どういう漠然とした緊張を感じていたのかは分からない。だいたい自分自身の不安だって、どういう緊張が原因なんだか分からないことが多いんだから。とにかく、肩の力を抜こう。

『ずっとやりたかったことを、やりなさい』、少し読んで思ったが、これは「ワークショップ」であって「レッスン」ではない、ということに気がついた。つまり、キャメロンが何かを「教える」ことではなく、自分自身が「気づいていく」ことが大事なのだ、ということだ。ただ、全体に先生口調であるのは、気づいていくときの気づき方に方法があるからで、方法を伝授するときはやはり先生口調になる。そのときはこちらも受身の姿勢になるわけだが、まあ一度やっているので生徒的な姿勢でなく、キャメロンがどういう意図を持ってこういう言葉を書いているのか、について考えることが出来る。読んでいる中で、キャメロンはこの形をこういうふうに言っているけれども、私ならこう言いたいなとか、アメリカ人相手ならこういうことでもいいけど、日本人に対してはこういった方が伝わりやすいだろうな、ということがいろいろでてくる。

この本を最初に読んだ2007年の秋にはワークショップというのがどういうものかあまり具体的によく分からなかったのだけど、今ではわりと明確なイメージを持っている。主催者は進行役であって、基本は自分で自分を発見することなのだ。私が学生時代にやっていた演劇のエチュードも基本的にはそういうものだったので、そのイメージはつかみやすい。ただ、役者のからだというものがどうあるのがよいのかということについて、私は少し具体的なイメージに欠けていた気がするが、いま創造性というものがどうあるのがよいのかということについては、それよりは明確なイメージを持っていると思う。

私は、私自身のクリエイティブネスと向き合う時間が大切だし、またお互いの創造性が幸(さき)わう世界で生きていきたいと思う。そのためにお互いに、教えるのでなく相手が気づくのを手助けし、また気づきの障害になるようなことを取り除く手助けができたらと思う。

こういうことを書いたり読んだりしているうちに、私が本当にやりたいことは、もちろん自分自身が創造性に満ちた美しい空間で創造性に満ちた楽しく充実した時間を生きることであるのだけれども、それと同時に人々の創造性が自由になることを手助けすることそのものではないかという気がしてきた。

いまの仕事も、一面的にはそういう側面もあるのだけど、もっと全面的にそういう展開が出来るといいなと思う。

ただ、そういうことを思ってそういう関連のものをグーグルで調べてみると、どうも変な感じなものがたくさん出てきてちょっと調子が狂った。

創造性を自由にする、というのはこれはとても大きな問題であるのに取り組みにくいものであるだけに本当にいろいろな種類のものがあり、宗教的なもの、スピリチュアル系・ニューエイジ系のもの、伝統的な創造工学的なもの、本当にさまざまなものがでてくる。こういうものに取り組もうとするならば、相当自分がしっかりしていないと大変なことになるということを肝に銘じなければならないと思った。

特に創造性という言葉が、現在の社会に対する強烈な反発、時によっては憎悪と結びついている場合があることがあり、それは下手をすると閉鎖的なカルト的な方向へ行ってしまい得る。オウム真理教などもそういうものを上手く取り込んだ感がある。創造性を求めてそういうものに飛び込んだのに、その結果が創造性のかけらもないドグマに取り込まれてしまったのでは目も当てられない。必死にお経でも唱えないといけないが、(笑)そういうものはある意味サタンの世界と紙一重なところがある。

ただ、アーティフィシャルなものとナチュラルなものの調和した美しいクリエイティブな生を生き、作っていくためには、そういうものとも笑って付き合えるようなタフネスをも必要とするんだなと思う。

とにかく、私たちは現実の世界に生きる人間だということを忘れてはいけない。この世界を守っていくにしても変えていくにしても、地に足が付いている部分は絶対に必要だということだ。

キャメロンの「アーチストウェイ」について、一度徹底的に見直してみて、自分なりの考えで組み立てなおして、自分自身や日本の風土にあった方法に作り直してみたい。もちろんキャメロンだけでなくほかの方法論や私自身の創作も付け加えていかなければならないだろう。

最後の問題は、私自身にそういうことをやる力がそもそもあるのかどうかということなのだけど、まあそれは心配しても仕方ないんだろうなと思う。昨日、このブログのアマゾンのリンクから買われた本のランキングを試作してみたのだけど、圧倒的な一位がこのキャメロンの本で、9冊である。こんな弱小ブログで、特に売ろうとして書いているわけではなく、思ったことをそのまま書いて9冊も買う人がいたというのは、ある意味私が繰り返している試行錯誤、あるいは試行や試作の道筋に何かしら感じてもらえた人がいたということだろうと思う。まあ悩み考えることだけは数十年やってきていて、そういう意味では経験はただ長いだけは長いから、どこかに参考になるところがあるのではないかと思う。誰かの手助けをすると言ってもそれがどういう形になるのか、ワークショップとかをやるとかあるいはただ文章で読んでもらうだけなのか、それはこれからのことなのだけど、とにかく真摯にこの方向性を追求していけば、少しでも誰かの役に立つことが出来るようになるかもしれないと思う。

そのために自分自身も常にアートや自然やクリエイティビティに開かれていなければならないと思う。考えなければいけないこと、やらなければいけないことは多いと思うが、前向きにやっていきたいと思う。

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