宇宙の魅力/フィクションを書く心の姿勢/整体操法
Posted at 10/02/02 PermaLink» Tweet
雪の朝。東京でこれだけ降るのは久しぶりだろう。でも路面は、10階から見た限りではほとんど積もってない。気温もプラスだし、今下に降りてゴミを捨ててきたのだけど、路面でないところの雪もざくざくというか、融けかけている。これから日が昇って気温が上がれば午前中にはなくなるかもしれない。でも東京で、駐車場の車の上にこんもりと雪が積もっているのを見るのは久しぶり。子どもたちはわくわくしていることだろうな。
一昨日は香典返しの手配を済ませてホッとしたのと、友人と話してだいぶ頭の中が活性化してきたのとで、少し調子が出てきた。昨日は確定申告の自分で出来るところのデータを用意して税額の計算までしたが、相続の関係で会計事務所に聞かないと出来ない部分を残してある。いろいろと去年までとは変わっていく。自分が能動的にいろいろできる態勢を無理のないように作って行きたい。
宇宙兄弟 8 (モーニングKC)小山 宙哉講談社このアイテムの詳細を見る |
小山宙哉『宇宙兄弟』。別にこのマンガ目当てというわけでなく「モーニング」の連載を読んでいたけれども、このマンガはきっと面白いと思って1巻から買って読み始めたら評判通り面白かった。登場人物たちは、宇宙飛行士になるくらいだからやはり普通の人とは違う能力を持っているのだけど、それでも人間的なキャラクター立てが上手くなされていて、それでいて細部がきちんとかかれていて面白い。人間ドラマもいいのだがそれに偏りすぎず、宇宙というものの持つワクワクする魅力を前面に押し出している。舞台は2026年、いまから16年後か。私はもう63歳か。登場人物に54歳の飛行士候補、というか受験生が出てくるのだけど、彼はもう自分より年下ということになる。主人公は32歳で「ドーハの悲劇」の日に生まれたという設定。確かにこの年代の子どもたちなら、宇宙への憧れというのは本当に例外的だろうなあと思う。私たちの子供のころの子どもの落書きといえばロケットばかりだったが。8巻一気に読みきった。
昨日の午前中は確定申告の書類作りをしたり、買い物に出て昼食と宇宙兄弟の2、3巻を買ってきたりし、昼食を取って二巻とも読んでから、また書店に買いに出て4、5、6巻を買ってきて読んだ。夕方になって大手町に出かけ、丸善丸の内本店で浜田貫太郎『臨床家のための整体操法入門』(たにぐち書店、2008)と宇宙兄弟の7,8巻を買った。
臨床家のための整体操法入門浜田 貫太郎たにぐち書店このアイテムの詳細を見る |
そのあと少し迷ったが銀座に出て、『東京カフェじかん』に出ていたNOAというカフェに行ってみた。キャラメルエスプレッソとティラミスのワッフルにシトラスジンジャーティー。お洒落なカフェというにはシンプルすぎる気もするが、供されるものはいい。雪が降っていたせいか客も少なく、落ち着いて本が読める感じだった。フレンチポップスが流れていた。三越の地下で夕食の買い物をして帰宅。地元の駅は少し積もっていた。
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フィクションをどんな形でネットに乗せていこうか迷っていたのだけど、出かける前の4時ごろ、あまりまとまりのない形でも公開して、自分の中にフィードバックして行こうと思い、小説の断片ブログを立ち上げた。『シリカゲル』(仮)。やはりフィクションというものは普段書いている文章を書くのとは心のありようというか、書くときの姿勢が全然異なる。こういう日記のような文章は、本当に存在する心の動きや、実際にとった自分の行動に依拠して書いているのである意味安心して書けるところがあるけれども、フィクションは何も寄りかかるところがなく成り立たなければいけないから「心の動員度」のようなものが違う。また言葉一つ一つを感じ直し、とらえ直して行くので、試行錯誤的な変なフレーズがどんどん浮かんでくる。その中には社会的に問題がありすぎるものも出て来るから、そういうものすべてをアップするわけには行かないが、でもそういう心の安全弁をはずしたような文章が書けなければもっとまとまったフィクションを書くのも無理だ。昨日は10本、全然傾向の違う断片を書いてみたけれども、読み直して見ると気がつくところもいろいろある。心の筋肉と道具としての言葉の使い方。ただ文章を書くのとは違う力の使い方が求められる。
芝居を書いていたころは、何年も何年もこういう断片的なやり取り、情景設定、長台詞などを試行錯誤的に思いつくまま書いて、実際に上演できる脚本が書けるまで7、8年はかかった。今まで小説を何本も書いているけど、どれも習作的なもので終わっているのは、こういう基礎訓練というか自分の心の使い方や言葉の使い方のトレーニングが足りなかったからなんだなと思う。
何をやればいいか、少し見えたのであとは練習を積んで行きたい。こういうことって結局、教えてもらって分かることでもないし、とにかく書きたいという情熱がなければ続けられることでもない。諦めた気持ちになっていても、心の底でマグマのように冷えずに燃え続けているものがなければそういうことは出来ないんだなと思う。そういえば『宇宙兄弟』って一度は冷めたように見えた宇宙への情熱を再び掻き立てて宇宙飛行士になる、そういう物語なんだよな。自分の気持ちと状況にとても合う作品なんだということにいま気がついた。
『臨床家のための整体操法入門』。著者が20代ということを知ったときには驚いた。この人はこちらのブログで以前から読んでいて、ときどき参考にさせてもらっていたのだけど、一度まとまった本を読んでみたいと思っていた。読んで見るとこの本は野口整体の本格的な操法の本で、実際に操法を受けるときに見ていること、受けているときにやってもらっていることがこういうことだったのかということが分かるものだった。もちろん感覚が基礎だが、その上にこれだけの技術の集積があるということなんだなということがよく分かった。私は基本的に受ける側にしかなったことがないから分からないところも多く、記述の妥当性も判定しかねるところもないわけではないのだけど、これはすごい本だなと思う。逆に言えば、整体操法というのも才能もあるけれども修練の積み重ねで出来るようになるものだということも分かった。あまりに治るものだからある意味神秘性のようなものを感じてしまう部分もあるわけだけど、観念的な意味での神秘性はこういう本を詠むと取り払われるなと思う。しかし逆に、野口晴哉の言う「操法は神聖なもの」という言葉の意味がより強く感じられるという面もある。姿勢を正し、真剣にやらなければけして出来ないことだ。また、受けるほうも真剣勝負の気概が本当は必要なのだと。
以前はそういうつもりで操法を受けていたけれども、このところ、ちょっとたるんでる感じはある。そういう感じを取りもどさなければいけないと思った。
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