Firefox/個人を尊重し成果も上げる/ショパンとサンドとドラクロワ

Posted at 10/02/08

なんかごちゃごちゃとしている。頭の中にやりたいことがたくさん。腹具合も昨日に比べるとだいぶいい。靴の修理が出来ているので取りに行かなくては。もらったメールの返事も書いてない。昨日寝たのは4時だった。起きたのは9時前。火災警報器の設置工事を日曜に変更するために電話。あと、神保町の三省堂でほしいものがある。神保町に行ったついでにがいあプロジェクトでお弁当を買ってこよう。

昨日4時まで起きてしまったのは、どうもブラウザが遅くて仕方ないので、IE8をやめてFirefoxにしてみようと思い立ち、いろいろやっていたせいだ。本当は先週、GoogleChromeの導入を図ったのだが、どうも上手く行かなかった。Firefoxのインストール自体はできたのだが、何だかその周辺のことがよく分からないことが多くて、youtube用のshockwave FlashPlayerのインストールなどしていたらごちゃごちゃしてきたのだ。

1分間マネジャー―何を示し、どう褒め、どう叱るか!
K.ブランチャード,S.ジョンソン
ダイヤモンド社

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その一方でPCが上手く動かない間は『一分間マネジャー』を読んで、へえとかほうとか言ってみていた。この本は面白い。本というより、もともとパンフレット的な小冊子だったのかもしれない。1、一分間で一分間で部下の目標設定をすること、2、一分間で部下を賞賛すること、3、一分間で部下の叱責をすること、それだけで個人も大切にし業績も上げることが出来る、という考え方だ。まあ確かにこういう上司だとやりやすいだろうなとは思う。またこれは、対人関係だけでなく自分の中を振り返るのにもうまく使えるだろうなと思った。amazonで検索してみると、『一分間マネジャー』を買った人は『ずっとやりたかったことをやりなさい』を買っている人が多い。(このブログトップページ右カラムにamazonリンクをはってある)おそらくはそういう人たちもこの本は部下を扱う方法としてだけでなく、自分をコントロールする方法としても使っているのではないかと思う。

あとがきによれば、これは交流分析の手法を使っているということだ。交流分析については父もよく言っていたのでなんとなく馴染みがあるが、あとがきによれば「フロイトの俗流解釈」に基づく方法論だということでちょっとのけぞった。その指摘が正しいかどうかはちゃんとやっていないから分からないが、三つの方法論が交流分析のどこの部分に対応するかは容易に推測できる。交流分析は自我の構造をチャイルド、ペアレント、アダルトの三つに分け、創造力を発揮するが傷つきやすいチャイルド、それを保護するがややもすれば強圧的になりがちなペアレント、冷静に判断を下せるアダルトのそれぞれの役割を発揮させることが重要だとしている。目標設定はアダルトを十分に働かせ、チャイルドに余計な心配を与えないためだし、賞賛はペアレントのよさを発揮してチャイルドに褒賞を与えてさらに気持ちよく仕事をさせるためだし、叱責は冷静にチャイルドの仕事の欠点を指摘するとともに仕事に問題があるのであって人格には問題がないのだという強いメッセージを送ることにポイントを置いている。もちろん詳細はこの本を読んでもらわなければならないが、理に適った方法だと思う。やや適いすぎなところが気にならないことはないけれども。薄い本なのですぐ読了できたし、シンプルなメッセージでよいと思った。

昨日は昼間横浜に出かけて、石川町のカフェを梯子。最初は博物館になっている山手本通りの洋館のカフェに行ったが、けっこう混んでいた。二階から山手本通りを眺めると、ここに住んでいた貿易商は窓の外の明治の景色を眺めてどんなことを思っただろうなと思う。着物を着ている人しかいないし、大八車を押している人とかいろいろなものを見て、きっと地の果てまで来たなあという感慨を持っただろうなと思う。横浜ならまだ洋装の人も多かっただろうけど、少し入れば外国人もおらず、小柄で着物を着た日本人ばかりだったわけで、どんなことを思っただろうなあと思う。奥さんは日本人だったようだが。

地階では造形作家の秀春という人の個展。「風の領域」と名づけられていた。マンガっぽいというか、『バカボンド』に出てくる邪気の姿とか『ランドリオール』に出て来る地龍の姿を髣髴とさせる生物や、小動物と植物の複合生物みたいなものが多かったのだけど、友人にいわせるとゲーム世代という印象を受けたのだそうだ。私はゲームをやらないので、その辺は全然分からないが、漫画家もゲームはやる人が多いようなので、そういうところからの影響を受けた、どちらが元かわからないけど、そういうものはあるのかもしれないと思った。個性は確立しているから、上手くプロデュースを受けるとブレイクする可能性はあるのではないかと思った。

それから梯子して石川町の駅へ降りていく途中のカフェに入ったが、ここがツボだった。薪ストーブがあったり、室内にはビートルズのカバーが流れていたり、コーヒーもカレーもタルトも美味しかった。じっくり友人と語り合っているうちに腹具合が悪くなってきて落ち着かないことになってしまったのが残念だったが、窓の外に見えるランドマークタワーがだんだん夕暮れの中に消えていく感じがとてもよかった。石川町に来るときはいつもローズガーデンえのき亭に行っていたけれども、いろいろあるなあと思った。このあたりに住めると楽しいなと思う。

自分のやりたいことをやって、その中で出来るようになったことを世の中に還元することで生活を立て、さらにやりたいことをやっていく、という考え方をさらに強化することで自分のできることの規模を拡大していければいいなと思う。

自分が今までそういうことに気が付かず堂々巡りを繰り返していたのは、自分のやりたいこと――本を読んだり勉強したりものを書いたりすること自体が楽しい――ということに自分でも気がつかない、というか見えなくしていたのだな、ということが話していてはっきりして来た。そういう楽しみを否定するような雰囲気の中で育っているので、身を守るためにはそういうことを隠さなければならない、自分の楽しみを自分自身に対しても秘密にしておかなければならない、という時期が長かった、いや実のところ40年くらいそういう感じ出来たのだと思う。

しかし実際、自分の本棚とか見ていてつくづく思うのだが、私はいろんなものを読んだり知ったり勉強したりしてわくわくすること自体が好きなのであって、何か特定の分野について深く掘り下げたいとかそういうことでないのだ。必要に応じて掘り下げることはまあありうべきことなのだけど、そのこと自体がやりたいことでは決してなく、ひとつのことをあんまりしつこくやっていると猛然とほかのことをやりたくなる。教員をやっている頃とかもそういう自分をもてあましながらも無理に自分に強制を続けたために体を壊したんだろうなあと思う。案外世の中には、そういうふうに自分自身にも自分のやりたいことを隠している、秘密にしている人は多いのではないかなと思う。そこを突破するひとつの方法として私は友人に教えてもらったキャメロン『ずっとやりたかったことをやりなさい(The Artists' way)』の方法を実践したのだけど、それでもこういうふうに言葉にするまでにさらに3年ほどかかっている。

しかし考えてみれば今の仕事は、自分のやりたいことを生かしながらそれを社会にも還元し、生活の資を得るというチャンネルに相当近いところのことをやっている。もともとこのやり方を構築したのは父なのだが、父がやりたかったことよりも私自身のやりたいことのほうがより今の仕事に適っている感じがする。そういうのが本当の父の遺産というものなのだろう。ありがたいことだ。孝行のしたい時分に親はなし、である。

まあそんなことを喋ったり思ったりしていた。昨日のブログにも書いたけれども。

帰りに横浜駅の近くのあおい書店で上に書いた『一分間マネジャー』を買い、東海道線で東京に出て丸の内丸善で平野啓一郎『葬送』を立ち読みした。これはショパンの伝記小説だったのだな。読みながら思ったのだが、私がしたいのはショパンの伝記を読むことではなく、ショパンのピアノを聴くことなんだなと思った。それと同じ感興を、読むことによって得られることが出来れば、それは贅沢なことなんじゃないかと思う。そんなことが可能かどうか分からないが、やってみると面白いんじゃないかと思った。

葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)
平野 啓一郎
新潮社

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ただ、amazonのレビューを読むと、焦点が当てられているのはショパンだけでなく、サンドとドラクロワにも、のようだ。平野の文体は私は基本的にはあまり好きではないのだけど、後半になってくると変な衒学的な感じが薄れてきて、割といい感じもした。しかしまあ、日本人がヨーロッパのことを書いている物を読んでいるときの隔靴掻痒感とか、こそばゆい感じというのはちょっと付きまとう。小道具立てがあまりリアルすぎるのも(まあ鹿島茂が出た以上そうせざるを得ないのも分からなくはないのだけど)どうもわざとらしい感じがしてしまう。塩野七生くらい細かい描写はぶった切ってしまった方がまだいいと思うのだけど、まあそれは好き好きだろう。

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by Luke Peterson

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