本年もよろしくお願いします/喪中の年越しと新年

Posted at 10/01/01

昨年中はありがとうございました。喪中につき新年のご挨拶は欠礼させていただきますが、本年もよろしくお願いします。

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2010年。2000年から09年までを何というのか、いちおう「0年代」という言い方が日本では定着しつつあるようだが、英語圏でも問題になっているという話をどこかで読んだ。これからの10年は「2010年代」で問題はなかろう。どういうディケードになるのか、予断は許さないが、日本と世界にとって幸せな時代になってほしいと思う。

喪中ということで年越しらしきこと、新年らしきことはほとんど省略した年越しだったが、それでも兄弟がみな集まり、母を囲んで雑煮を食べた。1月早々に四十九日の法要があり、お彼岸の頃に納骨、8月には新盆、命日までに一周忌と、行事も続く。また相続関係のこともいろいろやらなければならないことがあるし、父の経営していた会社関係の私への名義の引継ぎや新しい方針の策定もある。また自分自身のことでは創作・批評・評論・指南書その他書いて行きたいことをどんどんやっていきたいということもあるし、またプライベートなことでも結婚など、そろそろ次の段階に進まなければならないこともある。相手がいないだけに最後のものが一番雲を掴んでいるが。まあそんなこんなを含めて、(自分自身のことは喋らなかったが)兄弟の協力を得てやっていかなければならないので、そんな話をみんなの前でして、甥姪たちに母からのお年玉を配り、些少ながら私も配った。

昨日から食べ過ぎていておなかが変な感じだが、いつもの年なら「お年取り」「年越し蕎麦」「お屠蘇と雑煮」と続く正月メニューと違い、なんとなくお菓子を食べ過ぎたりしたせいなんだろうと思う。子どもがわらわらとたくさんいると、ふだんは私一人か、母と顔をつき合わせている感じなのが緩和されて活気は出るのだけど、ふだんのペースと変わるので体調がうまく維持できない。結婚して子どもが生まれたら、今とは全然違う生活リズムになるんだろうと思うのだけど、そうなるとまた自分の違う面が見えてくるんだろうなと思う。前回の結婚の際は結局子どもは作らなかったし、一年目以降は彼女がアメリカに留学したためいっしょにいる時間もあまりなかったので、まあちゃんとした結婚生活だったとはいいがたいから、まあ結局結婚とか子育てとかいうことについて、あまりよくわかってはいないと思う。

昨日は午前中仕事をして、2時であがり、午後は結局自室で『小林秀雄をこえて』を読んでいた。柄谷行人と中上健次の会話は昨日も書いたように「他者」という問題設定とか自分がとても触発されるところがあるのだけど、小林秀雄を糾弾するところはちょっとどうかなあと思うところがけっこう多い。特に、柄谷行人は自らを唯物論者と名乗るだけあって、自らのイデオロギー性には割合無自覚に自分の方法を科学的としているところがさすがに今読むとアナクロニスティックな感じがする。まあその辺は目をつぶって読むというものなのだろうけど、彼らが批評の世界で主流になったことによって枯れていった面というものを、もう一度再生させなければいけないのではないかと思った。しかしまあ、読んでいて思ったのは、つまり、小林秀雄そのものを問題視するというよりも、小林のエピゴーネンを糾弾したいということを実際上の問題としている面もあるなということだった。

「文学的な美しい文章」というものが確立したのは小林秀雄くらいになってからだ、という指摘は案外その通りなのかもしれないと思う。確かに、漱石や鴎外の文章は今いう意味での「文学的な美しい文章」とは違う。明治の文豪たちは、正岡子規もそうだが、「日本の文学」というものをどうにか打ち立てなければならないということで精いっぱいで、とても「文学的なもの」に安住などしていられなかっただろう。私はあまり読んでいないけれども、白樺派くらいになって初めて「文学というものはすばらしいものだ」という観念が確立して、「文学の中で生きる」という現象が生まれたのかもしれないと思う。

まあ今まで私には欠けていた一つの視点が導入されたということには、とても大きな意味があるなあと思った。昨年末の収穫としていい本だ。

夕食に呼ばれて居間に行って紅白を見ていたら、母が指を怪我したので急遽病院へ連れて行ったのだけど、たいしたことがなかったのですぐ戻ってきた。病院の駐車場で見上げた月がきれいだった。少し雪がちらついたけど、そのころにはもう上がっていた。

帰ってきて紅白を見ながらお年取り。アンジェラ・アキが「手紙」を歌うのを聞く。二番から歌うとか、そういう演出は止めてもらいたい。矢沢永吉がでたのはどこかで噂されていたのでそう驚かなかったが、ラストのドリカムは、吉田美和が元気そうになっていてよかったと思った。行く年来る年で、増上寺の透明風船と東京タワーの新年バージョンの映像はなかなかよかった。

本年もよろしくお願いします。

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by Luke Peterson

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