一般参賀とかユニクロの行列とか/川久保玲(コムデギャルソン)インタビュー
Posted at 09/12/23 PermaLink» Comment(2)» Tweet
今日は天皇誕生日。そういえば、私は一般参賀というものに行ったことがない。機会があるときに一度行ってみたいなと思った。しかし考えてみればお正月とか今日とか寒い日ばかりだ。行くなら厚着していかないといけないなと思った。
昨日。午後会計関係のことで出かけて会社関係の話などしてから職場。夜10時まで仕事して、帰ってきて損害保険の手続きの書類を書いているうちにそれが不用らしいということに気づく。早めに寝ようと思うのだが、腰が重くなって寝るのがつい遅くなる、という日が続いている。
今朝。起床は7時過ぎ。6時に起きる態勢に戻したいのだが、なかなか。活元運動して今日の予定を書いてモーニングページなど書いていたら8時を過ぎる。朝食を食べて、会社関係の手続きに必要な判子をもらいに出かける。そこで雑談。公立高校の中高一貫化の話など。帰りにユニクロに寄って下着でも買おうと思ったら、レジが馬鹿げたほど長大な行列になっていてさっさと店を出た。ユニクロで今何が起こっている?旧ソ連じゃあるまいし、行列しなければものが買えないような店には行きたくない。早く沈静化してもらえないものか。
帰って来て昼食。出ようと思ったら来客。少し話をして、自室に戻って内田樹『日本辺境論』の続きを読む。まだ読み終われず。軽く活元運動をして、早めに職場へ。今日は臨時営業。
昨夜はアサヒコムで川久保玲のインタビューを読んで感動した。デザイナーとしての試みもいつもすごいと思うし、あれだけ前衛的なものをブランドとして成り立たせて(あのころのDCブランドでつぶれたものはいくらもある)順調に経営しているその手腕にも驚かされる。川久保が取り上げられる番組や記事はなるべく目を通すようにしているし、デザイナーを取り上げた書籍なども川久保が載っているかどうかをいつも買うかどうかの基準の一つにしている。
しかし正直言って、彼女の創作のモチベーションというものが、今まであまりよくわかってはいなかった。とにかく切り込んでくる、一歩引いてはいるがすっと腕だけ突き出て突きつけてくるような非平和的なデザイン。あの常にチャレンジングな試みに、いったい何が彼女を駆り立てているのだろうと思っていた。
「何かいつも、新しいこと、強いものをと思っていて、それを続けていないと次が生まれてこないのです。自分が活動的に何か新しい物を生み出せば、それについて何かを感じたり、元気が出たりする方もいらっしゃるでしょうし、それがこの世の中を変えていくことに少しでもつながるならと思うからです。」
新しいこと、強いもの。強いものか。なるほど。彼女のつくる服の特徴は、一言でいえば確かに「強い」。奇妙であるとか、黒さであるとか、意表をついているとか、それら全て、「強い服を作ろう」という意志の結果なのだということがはじめて得心がいった。その強さに、着る者が負けずに着ることが出来るだろうか。コムデギャルソンは着る人を選ぶ、ということは昔から言われていた。コムデは高いから私などには買えなかったけれども、服に負けない自分であるために、自分を駆り立てるにはいい服だったと思う。
新しいものを作ることによって、「この世の中を変えていく」。いままでもこういう言葉は読んだことがあるかもしれないけど、正直言って川久保がそういう使命感を持っているということははじめて認識したように思う。日本の伝統とは全く切れているように見える川久保だが、実は国産の生地の産地をとても大事にしていて、よく産地を訪ねているらしい。それは以前テレビで見て、志の高い人だなと思っていたけれども、想像していたよりもっと高い、強い志を持っているということがよくわかって、それにはとても感動した。
クリエーターの仕事は確かに何かを作り出すことなのだけど、最終的にはそれによって何かを変えていくことなのだ、ということをここまではっきりと言い切ったのを読んだのは久しぶりだ。何かを変えていく。何を?世の中を。そう、コムデギャルソンのある世の中は、コムデギャルソンがなかった世の中とは確実に何か違う。物を作り出す以上、それがあることで世の中が少しよくなるものをつくりたいと思う。
彼女のスピリットを、反骨精神と表現するのはどうも私はあまりぴんとこないのだけど、下の言葉も驚いた。
――反骨精神は、何に対して?
「自由に生きていきたい、皆が幸福でなければならないと思っても、そうできない世の中の仕組みがあります。それに、人間はそれぞれ生まれてきても決して皆同じじゃないし、同じものをもらってないわけですよね。そういうどうにもならない不平等の中でも、自分は自分だって頑張って生きていかなきゃならない辛(つら)さがある。不条理って言ったら言い過ぎかしらね。子供の頃からずっとそういうものに怒りを感じてきました。その気持ちを今後も持ち続けたい。」
みなが自由に、幸福に生きられない世の中のしくみ。同じ物をもらって生まれてきていないのに、「自分は自分だ」って頑張って生きていかなければならない辛さ。そういう不条理に対する怒りを子どものころからもってきたし、持ちつづけたい、という。
そも、それは不条理だとは思うがそれはそういうものだととっくの昔に諦めたようなもの。川久保はそれに対していまだに怒りを感じている。これは敵わないなと思ったし、言われて見れば、それをあきらめる必要はないんだとも思った。あきらめてしまうから、人は自分がなにをやりたいのかわからなくなるのだし、何が幸せなのかわからなくなるのだ。自分があきらめてしまったものは何か、そういうリストを作ってみて、むしろそれをあきらめずにやり直してみる、そんなところから自分が自分を取り戻すきっかけがつかめるのかもしれないと思った。
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"一般参賀とかユニクロの行列とか/川久保玲(コムデギャルソン)インタビュー"へのコメント
CommentData » Posted by behind-Eyes at 09/12/24
今日はこちらに書かせていただきます。
DCブランドブームの頃、コム・デ・ギャルソンは特別な存在でしたね。Y'sやイッセイミヤケなんかと共にブランドとしての佇まいが他と一線を画していましたが、それは価格にも反映されていたように思います。ご紹介いただいたページで川久保玲は「いい物は高いという価値観も残って欲しいのです。」と語っていますが、清水の舞台から飛び降りる気持ちで手に入れた服への満足度はたしかに格別でした。多くはバーゲンで手に入れたりしたのでセール用の品も入っていたでしょうが、それでも生地の質感とか着込んだときのフォルムのでき方といったことに魅せられました。いわば「美」を着る喜びだったのでしょう。
記事によると、服を売らないアートスペースを大阪で、博物館のような店を東京で開いたとのことですが、80年代にも青山のショップではアートスペースを設け定期的に展示を行っていました。井上嗣也の手になるエッジの立ったデザインのチラシを持ち帰るのも楽しみでした。広告展開も井上さんが担当されていましたが、印象的な写真を用いたシンプルで強いメッセージは川久保が考えるコミュニケーションのありかたであったのでしょう。服とは生き方を照らすメディアでありたいという意思が彼女にはあるように思います。
CommentData » Posted by kous37 at 09/12/24
コメントどうもありがとうございます。
>清水の舞台から飛び降りる気持ちで手に入れた服への満足度はたしかに格別でした。
>それでも生地の質感とか着込んだときのフォルムのでき方といったことに魅せられました。
全く同感です。本当にそうなんですよね。私はコムデはとても手が出ませんでしたが、それでも当時バーゲンで買ったDCブランドを愛用していて、同じシャツでも一工夫あったり、生地が普通の店で買うのとは違うということを、田舎出の大学生として驚きをもって楽しんでいました。その後、服を選んだり着たりするのが大きな楽しみになったのは、あのころの経験がとても大きいと思います。
>服とは生き方を照らすメディアでありたいという意思が彼女にはあるように思います。
そうですね。自分のやること、自分の表現そのものに生き方が現れていなければならないと思います。そんな基本的なことを、再確認させてもらったように思います。