勝間和代『目立つ力』/桜井章一二冊/小林よしのりと天皇をめぐる言説
Posted at 09/10/05 PermaLink» Tweet
昨夜は早く寝たが、今朝起きたのは6時半を過ぎていた。少しPC作業が多すぎるのか、目が疲れる。今日はものを書こうと思ってPCの前に座っていたが、書く以外のことに使う時間が長くて、目ばかり疲れた感じがする。こういうのは大概にしないといけない。
昼前に西友に行って昼食の買い物をし、夕方には日本橋まで出かけた。丸善で本を物色。最近、あまり新書ものを買っていなかったのだけど、まとめて三冊と雑誌まで買った。ちょっと時流的なものに惹かれているのかもしれない。
目立つ力 (小学館101新書 49)勝間 和代小学館このアイテムの詳細を見る |
勝間和代『目立つ力』(小学館101新書、2009)。ブログやツイッターでもこの本について書いている人が幾人かいた。何を書いてあるのか見ようと思って実際に手にとって見たのだが、つまりは「ブログやツイッター、ミクシィや動画サイトなどインターネットを活用して自己表現する力」を「目立つ力」と呼び、「夢を達成するため」に有効に活用する方法について考える本、ということのようだ。世間一般に目立とう、テレビに出よう、みたいなことではなく、あくまでインターネットにおいて多くの人に注目されるための方法、ということだ。
基本的な考え方はよくわかる。どんなすばらしいことをやっていようと、注目されないと成果が出ない、という性質の仕事というのはある。そういう意味では、ネットを通して多くの人に注目されるための方法を考えるというのはもちろん意味のあることだろう。
しかし、またこれも当然なのだが、それが必要になるのは、多くの人に注目してもらいたいような「素晴らしい仕事」をやっていて初めて意味のあることでもある。私もブログもツイッターもミクシィもやっているし、そうしたものが出る以前からホームページをつくっていたのでよく考えたのだが、当然のことながら読んでもらいたいものを書くということは結構大変なことなのだ。最初の頃は詩を書いていたが、一日百アクセスあることはまずなかった。日記を書くようになってだいぶ増えたが、今度は何のために書いているのか分からなくなったりした。いまは、自分の考えたことを文章の形にし、それが何らかの形で読んでくださる方に届けばいいと思って書いているけれども、何を届けたいかということはわからずに書き始めることも多いし、書いた後で何を言いたかったんだろうということもある。ただ、何が表現したいのかは明確な言葉にならなくても、そこに表現したいことがあり、また明確ではない何かが言葉になることによって分かったり、またいただく反応によって沿うかこういうことがいいたかったのかと思うこともあったりする。
ただそういう、なんだかわからない系の文章というのは物凄くたくさんの読者を得るのは難しいように思う。(私には何をいっているかわからないけど読者はたくさんいる、というブログもあるけど)たいていは、いっている意図が明確な文章のほうが人は読む気になるだろう。
まあそういうわけで、私のような文章を書いている人間には本当はあまり縁がないのかもしれないのだが、表紙の帯で勝間さんが笑っている写真がなんとなく気に入ったので買ったのだった。『断る力』のどすの利いたような写真よりは、笑顔の方がこの人は魅力がある。まあたいていの人はそうだけど。
人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」 (講談社プラスアルファ新書)桜井 章一講談社このアイテムの詳細を見る |
負けない技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」 (講談社プラスアルファ新書)桜井 章一講談社このアイテムの詳細を見る |
桜井章一『人を見抜く技術』『負けない技術』(いずれも講談社+α新書、2009)。私は桜井章一の本は結構読んでいるのだが、実際には考えさせられてもなかなか納得いくというか、腑に落ちるところまで行かないことが多かったのだけど、最近「生きるということ」を書いていて、桜井の言葉を思い出すことが多く、今日も動画を検索してこちらを見て大笑いしたりなるほどと思ったりしていた。
これは結構意味のある動画だった。桜井のことは言葉やマンガだけでしか知らなかったのだけど、たとえyoutubeの動画であっても、実際に喋っている映像を見ると、その人柄や雰囲気というものは全然よくわかる。ニュアンスが全然違うのだ。そして、こういう人のいうことというのは、言葉それ自体よりもニュアンスの方が大事だったりすることが多い。たとえば、孔子が喋ったことの動画が残っていたら、『論語』の解釈も全然違うものになったのではないかと思う。私は、この動画を見る前よりもはるかにずっと、桜井という人に好感を持つようになった。その同じ日にたまたま本屋に行って新しい新書が二冊並んでいるのを見て、ここは両方読んでみようと思い、買ってみたというわけだ。
いずれもこれから読むので、内容についてはまたその都度感想など書きたいと思う。
雑誌はSAPIO。最近あまり買ってなかったのだけど、今回は買ってみた。「ゴーマニズム宣言」「新台湾論」と「天皇論追撃編」。「新台湾論」は李登輝元総統との対談。以前は中国がかなりうるさかったが、最近は李登輝の影響力が落ちてきたと見たのか、来日してもあまり騒がない。李登輝は自分が偉大すぎるのでシステムを動かす人間の問題に気づいていない、と小林はいう。確かにこれだけ偉大な政治家は東アジアにほかにいない。
「天皇論」の方は、皇室を巡る言論について。自分は上品にまとまるつもりはない、といいながら、他の論客たちを批判。正しいと思うところは評価し、問題のあると思うところには苦言を呈している。竹田恒泰氏についても苦言・支持両方を表明。Willの雅子妃バッシングを批判する一方で、花田編集長の編集手腕も正当に評価する部分もあることを書いている。以前は批判するとなったら批判一辺倒で、その悪口芸がある種の潔さがあったが、この号は是々非々で書いていて、それでも芸として成立するようになってきているのでだいぶ表現が練達してきたんだなあとちょっと感慨があった。もともと、『天皇論』を書いた動機は大塚英志に「つくる会」の運動は「天皇なきナショナリズム」であると指摘されたことだと正直に言っていて、そのへんも好感が持てる。
ただ、私と小林の意見が違うのは女系天皇を認めるか否かということで、彼の女系容認論がいまのところあまりよく理解できない。出発点は、女系でないと現実的に皇位継承者がなくなってしまう、というところにあるらしいのだが、それなら旧宮家復活の方が筋が通っていると私などは思う。ただこのへん、私はもともと歴史の方からこの問題を見ているので、系図さえつながっていればという発想になりがちなのだが、現実面から見たバランス感覚というものもあるのかもしれないとも思う。まあ難しいところだ。
帰ってきたら『月刊全生』の10月号が届いていた。表紙は細川元首相作の唐津の水指。中身は11種・12種体癖についてで、11種の病人病的な傾向というのは、確かに昔は自分にもあったし、今はそんなこといってられないので出てないが、潜在的にはあるかもしれないと思った。12種の無病病的な傾向というのもなくはない。身体調正の着手としての意味ということについて書いてあるけれども、確かに取っ掛かりという意味では個性をどう見るかという問題はあるなと思った。話の書き出しをどう書き出すか、というようなことと同じ問題だなと思う。
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